31 レオナルドに見つかったよ
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そんな感じで、一緒に屋台を見て回っていたら、後ろの方から声を掛けられた。
「クリス! こんなところに居たんですね。探しましたよ」
振り返ると、レオナルドが汗を滲ませながら近づいてきた。
「朝すれ違った馬車はやっぱりクリスが乗っていたんですね」
安堵ともとれる笑顔をした後、チラッと訝しげに私の横を見る。
「あなたは確か、アンバーレイク公爵家の……」
「ソフィアよ。私、クリスとデートしてるの。邪魔しないでもらえるかしら?」
そう言って、私の腕に両腕を絡ませながら体を密着させ、ふふんと勝ち誇った顔をするソフィア。
「なっ、はぁ? デ、デデデ、デートですって? 女の子同士で⁉️」
「あら、今時女の子同士でもデートくらいするわよ。勿論、男の子同士でもね」
開いた口が塞がらないのか、反論が思いつかないのか、口をパクパクさせている。
そんな事より、ここまで追いかけて探していたのだろうか? そっちのが怖いんだけど?
「あの、レオ様はどうしてここに?」
「レオ様って、ハリウッド俳優かしら?」
「ハリウッド? なんですそれは?」
「い、いや、何でもないですのよ。おほほほほ」
「?」
自分もレオ様呼びで一瞬そう思ったことがあるから否定できない。
「まぁいいです。実は、リアムが今日は町の広場で行われているイベントに行くということで、一緒についてきたのです」
「「イベント?」」
私とソフィアが同時に首をかしげる。
「何でアンタは知らないのよ?」
「いや、何でも知ってる訳じゃないんだけど…。ところでリアムは一緒ではないのですか?」
「彼は特等席を取るとかで、既にイベント会場に行っていますよ。一緒に行きますか? というか、行きませんか? 行きますよね?」
レオナルドからソフィアを引き剥がしたいという強い意志を感じる。後半ホラーな感じするし…。
まぁ、この後の予定も特にないし、レオナルドに見つかったのならデートもお開きでしょうから、一緒に行ってみましょうかね。
それにしても、一体何のイベントをしているんだろう?
何も知らされていないし、私だけはぶられている可能性すらある。いや、それはないか…。
というか、ソフィアがさっきからずっとくっついているんだけど、そろそろ離れてくれないだろうか。
レオナルドが、歯を食いしばり、目から血を流さんばかりに見開いて睨んでくるんだよ。
気づいてるのか気づいてないのか知らないけど、これ以上刺激すると夢に出てきそうなくらい怖い顔してるんだよ。一回見てみたらいいのに。




