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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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30 まだ食べるの?


           *      


 お店を出て、この後どうしようかなと考えてると、腰の辺りを引っ張られた。

 ソフィアさん、そろそろ一声掛けていただいてもよろしいでしょうかね?


 「何?」

 「なんか、久しぶりに美味しいの食べたら、食欲が止まらなくなったんだけど」

 「はい?」

 そんな、お姉様みたいな事言われても…。それに、今食べたばっかりだから、暫くしたら満腹感が来ると思うのだけど……。

 「あの、実は、私も…」

 申し訳なさそうに、ステラさんも同意する。シフォンさんはコクコクと頷いている。

 えぇ…。私より食べるって、この世界の女子の胃袋、凄くない?

 それに、さっきあんなに食べたのに、入るものなんて…。


 「あら、この匂い……」

 ソフィアの視線の先にはとんこつラーメンの店があった。

 いやいやいやいや…………。いくらとんこつラーメンの麺が少なめだからって入らないわよ。それに匂いキツいから食べられないんじゃないかなと思っていたら、吸い込まれるように三人が店へ入っていった。


 仕方なく追いかけようとしたら、メアリーに呼び止められた。流石メアリー。一応従者らしい事やってるわね。と、珍しく感心していたら違った。

 「すいません、クリス様。私十三時から予定があったのを忘れてまして、ちょっと抜けますね」

 そう言って、振り返りもせず足早にどこかへ去ってしまった。

 「………………」

 従者が主人置いて、予定優先させるなんてうちくらいのものじゃないかしら。


 呆れて呆然としていたが、三人の事を思い出し、お店の中へ入る。

 三人ともテーブル席に座っていた。

 「ここよ、クリス」

 さも私を待ってましたみたいな言い方してるけど、まだ食べるなんて言ってないわよ。まぁ、一杯だけ食べるけど。ハイウエストのスカート穿いてるから、食べすぎると苦しいのよ?

 私を待っている間に、ソフィアによるお箸レクチャーがあったのか、二人とも不格好だが正しい持ち方をしていた。

 この世界のメイドさんって凄いね。何でも出来ちゃうんだもの。

 

 「お待たせしましたカタ二つに、フツウ二つですねー」

 シンプルにチャーシューとキクラゲとネギが乗っているだけのラーメンだ。

 ラーメンが運ばれてくると、ソフィアが慣れた手つきで高菜と紅生姜を乗せ、ゴマを結構な回数振り掛ける。この手際の良さ。ブランクを感じさせないね。本当に久しぶりなの? ねぇ?

 でも、最初にトッピング載せる前にスープ一口くらい飲まない? 

 もしかして、ソフィアは醤油ラーメンにテーブルコショー、味噌ラーメンに七味唐辛子、ナポリタンにタバスコ、冷たいそばのツユにわさび全投入、冷やし中華にからしアホほど混ぜて、唐揚げにレモン黙ってかけるタイプの人ですかね?

 そばやうどんのつゆの底に唐辛子が沈んでるの見ると、何で掛けたって思うのよね。


 しかし、ソフィアはそんなことはつゆ知らず。そのまま麺を掴み一気に啜り上げる。

 二人ともそれにドン引きしているけれど、店内の人は全員啜っているので、初めて日本に来た外国人みたいな反応している。

 それをみたソフィアが「これが、ここでのルールよ。それにこうした方がより美味しいわよ」と、さも当たり前ですが何か? といった感じで話し、替え玉を注文する。

 「あ。すいませーーん。替え玉ハリガネでーー」

 「あいよーーー」

 私もメイドさんも気圧されながら、ラーメンを啜る。まぁ、とんこつラーメンの麺細いからね。早く食べないと伸びちゃうから仕方ないね。

 でも、正直、ラーメンが到着した時点でもうお腹限界なのよね。


 結局、替え玉四つも追加注文したソフィアが満足満足とお腹をさすりながら、店を出る。何でお腹膨れてないんですかね?

 まぁ、爪楊枝咥えて店出てこなかったことだけは褒めてあげるわ。

 「よく、そんなに食べられるわね」

 「逆に聞くけど、何で男子なのに私より少食なの?」

 本当にね。不思議よね。メイドさん二人もつられて替え玉二つ頼んでたもの。

 「ソフィア様、大変です」

 「あら、どうしたの? もしかして食べすぎて苦しいの?」

 「いえ、帰ったら今までの食事に耐えられるかどうか……」

 「レベルが違いすぎます」

 三人とも青い顔をしている。端から見たら食べ過ぎて苦しいって感じに見えるんでしょうね。


 「ねぇ、クリス? この辺のお店うちの領に持って帰れないかしら?」

 「その辺はお姉様がやってるから、そのうち出店するんじゃないの?」

 「それまで耐えられそうにないわ」

 そう言って辺りの屋台などを見て回り出した。流石にもうお腹いっぱいなのか見るだけに留めている。

 飲食店が増えた頃のお姉様みたいに全部の店を見る勢いだ。まぁ、お姉様の場合は物珍しさだったんだろうけど、ソフィアの場合は懐かしさの方かしらね。


 ここで一つ疑問が出来たので、ソフィアに問うてみる。

 「ねぇ、ソフィアの中の人って男じゃ無いわよね?」

 「失礼な! どこをどう見たら中身が男に見えるってのよ!」

 にんにく効いた料理を選んで、とんこつラーメンを普通に啜ってるところとかですかね?

 「生憎と、私前世ではちゃんと女の子やってましたよ。あなたと違ってね」

 まぁ、そういうことにしておきましょうかね。



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