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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第9章

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47 エピローグ


 あれから大変だった。

 何でも皇帝陛下であるルスランさんとお姉様でいろいろと計画を立てていたのだそうだが、私がヴェイロンに乗って乗り込んだことで、計画が全て吹っ飛んでしまったのだそうだ。

 そして、それに乗じて工作していたメイドさん達からも仕事のやり直しだと、散々非難されてしまった。

 お母様と王妃様も何やら動き出そうとしていたところで、私に全部いいところを取られたと拗ねてしまった。

 そして、今回の件で一番めんどくさい事になってしまった。

 それというのも、何か私がドラゴンの巫女って事になっている事。お姉様がヴェイロンと双子で、ロザリーが二人の眷属という話になっていた。一体何がどうなったらそうなるのだろうか?


 あの後、レオナルドは私に駆け寄るなり、女の子みたいな悲鳴をあげて私の頬に触れた。

 「ああっ! 私のクリスがこんな傷物にっ!」

 「すまない…」

 「あなたの仕業ですか! 一体どう責任をつけるんですか!」

 「私が…責任を持って妻に」

 「ダメです。クリスは私の婚約者です!」

 「待ってくれ、彼女…いや、あのこは男……」

 「それが何だというのです」

 「!?」

 なんていうやりとりがあった。レオナルドの男らしい物言いにはキュンときたのだけれど、やはりその独占欲みたいのはいただけないわね。というか、ほんとルスランさんっていい人っぽいわね。

 そんな様子をニマニマした表情で眺めている王妃様やお姉様。

 唯一、お母様は私の短くなった髪と傷をみてオロオロしていた。


 事後処理も含めて今回の件をどう落とし所を見つけるのだろうか? と、思っていたら、どうやらハロウィンという事にしようって話になった。

 そんなんで、信じると思いますか? 私達の楽しんでるハロウィンと帝国てのハロウィンって違うと思うのだけど、そこはうちの優秀なメイドさん達だ。簡単にそういう話にしてしまった。

 目の前で起きた事なのに、簡単に信じるなんて凄いとしか言いようがないわ。


 ところで、ルスランさんがやろうとしていた事ってのは、お姉様と結託して、帝国と皇室を終わらせようとしていたのだそうだ。

 そのやり方はあまりにも犠牲を強いる内容だったので、結果として私がぶち壊して良かったのかもしれない。

 でも、やっぱりルスランさんはいい人なのだろう。帝国民に被害が出ない様に、わざと皇都を守っていた騎士団やら護衛やらを国境に送ったのだそうだ。

 騎士団が守っていたら、クーデターを起こす前に切り倒されていたかもしれない。

 そんな帝国の騎士団だが、国境付近でエンジェルシリカの兵士達とぶつけようと画策していたのだそうだが、エリー達の判断で、勝手にうちと戦うというシナリオに変えたんだそうだ。

 結果としては、帝国の騎士団は戦意喪失。エンジェルシリカとオパールレイン双方はフラストレーションを発散できて良かったとか。まぁ、実際戦うにしてもヒョロヒョロガリガリの帝国兵じゃ勝負にならなかったでしょうけどね。


 そしてその後はというと、ダイアモンド王国が後ろ盾となって、ルビー帝国は解体するに至った。

 勿論、それには時間がかかるし、急にやれば綻びが出来てしまう。

 今までルビー帝国の皇室や貴族が支配していた構造によって、帝国民はかなり辛い暮らしをしていたのだそうだ。

 態とクーデターを起こさせて、一般人に勝利させようとしていたのだそうだが、正直失敗したらギロチンよね?

 まぁ、お姉様は首と体が離れてもデュラハンみたいになって生きながらえそう。なんなら直ぐに首が元に戻るまであるわね。

 ちなみにルスランさんは、隣国の王族を拉致監禁したって名目で、ダイアモンド王国で裁かれるってシナリオになっている。勿論シナリオであって、実際にはやらないのだろう。

 だって、ルスランさんは元々はダイアモンド王国の王子なのだから。一六年もの間誘拐されていたのだから、まぁ、ニュアンス的には帰国ってのが近いかもしれない。

 そういう訳で、事後処理とか諸々打ち合わせるために帰ってきたのだけど…。

 「きゃぁああああああっ!!! 私のクリスがぁっ!!!!!!!」

 まさかソフィアがレオナルドとおんなじ反応するとは思わなかったわ。

 「……でも、ある意味原作準拠なのよね…」

 騒いだかと思えば、顎に手をやり考え出す。忙しいわねぇ。

 「それにしても、髪の毛が短くなっても、男の子には全然見えないわね。一体どうなってるの?」

 「そんな事言われても知らないわよ」

 普通女の子でも男装していれば、それなりに男の子っぽく見える筈なんだけど、私の場合には何をどうやっても男の子には見えないのよね。不思議よね。


 剣でぶつ切りにされて、毛先が不揃いだったので、整えるために切ったはいいが、やはり男の子には見えない。

 左頬にはうっすらと傷が残っている。

 屋敷に戻ってからというもの、メイドさん達や使用人さん達全員がSAN値が下がったかのような反応をしていた。

 そんな時、王城から呼び出しがあった。

 きっと、今回の件についての説明や事後処理に関する話だろうか?

 いつの間にか戻ってきていたお父様はお兄様とお母様と共に王城にいる。

 お姉様はというと、あれからずっと家でダラダラしていた。ロザリーを顎で使ったり、ヴェイロンと何かと勝負したりと自由気ままにすごしていた。

 そんなお姉様は呼ばれず、私だけというのは何があるのだろうかと戦々恐々としながら王城へ向かった。


 王城へ着くと、侍従のマックスさんに王城の広い方の中庭へ案内された。

 そこにはレオナルドしか居なく、他には誰も居なかった。

 「やぁ。待ってましたよ」

 レオナルドが振り返り微笑んだ。

 「本当はクリスに助けてもらいたかったんですがね」

 そんなどこかの姫みたいな事を言う。まさかそんな事が言いたかった訳ではないだろう。

 レオナルドは私の目を見て、真剣な表情をする。

 「クリス、あなたが好きです。男とか女とかそんなのは関係ありません。どうか、私と結婚してくれませんか?」

 その表情はまっすぐだが、どこか恐れているようにも見えた。

 レオナルドが言い終わると同時に風が吹き、私の短くなった髪を揺らした。

 これはちゃんと答えないといけないわね。

 だから、私はまっすぐとレオナルドの顔を見て答えを告げた。

 「まずは、ありがとう…」

 どこぞの番組の告白のような切り出し方でレオナルドに、その答えを告げた。


約二年、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


まだ書きたい事は色々あるのですが、一度ここで筆を置かせていただきたく思います。

何かありましたらコメントをいただければ幸いに存じます。

別の話とか続編とか機会があれば書いていきたいなと思います。

希望等ございましたら、コメント欄にお願いします。


次の番外編が最後となります。

長い間ありがとうございました。

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