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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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19 ソフィア回想する④


           *      


 私の私室へ連れてきたはいいけれど、どう話を始めたらいいか分からないわ。

 とりあえず、お茶を勧めて落ち着いて、雑談辺りから始めましょうかしら。

 そう思って、ステラの淹れたお茶を一口飲み、目を閉じる。


 ふぅ…。さて、何から話しましょうかしら、って思って目を開けると、目の前でクリストファー様を騙るクリスティーヌと名乗る女が、涙目で震えていた。

 「えっ…? ちょ、ちょっと、どうしたのよ。ご、ごめんって。きつく言い過ぎたわよね。……ちょ、ちょっと大丈夫?」


 どうしよう。どうしよう。私そんなにキツイこと言ったかしら? 女の子をこんなに震えさせるなんて、まるで悪役令嬢の様じゃないのよ。

 「ちょ、そんなに泣かないでよ。私が悪かったわ…」

 ここまでするつもりはなかったので、謝るが、震えが治まらないらしい。


 でも、こんなに可愛い子が泣いてるのを見ると、絵になるというか、ちょっとそそられる。美少女の涙って素晴らしいわね。あれ、私Sっ気があるのかしら…。

 とりあえず、落ち着いてもらわないと、話にならないので、クリスティーヌの前に跼み、手を握る。

 どうかしら? これで少しは落ち着いてくれるといいのだけど。


           *      


 結局、泣いて震えていたのは、うちのお茶とお菓子が不味いからだったらしい。アホくさ。心配して損したわ。

 このお茶なんて昔から飲んでいるし、このお菓子だって、ずっと食べてるからそんな違和感なんてないのだけど、そんな泣くほどかしら?

 割りかしどの地域でも、食べ物なんてこんなもんだと思うのよね。


 ふと、そこで一つの仮説が頭を過ぎった。

 もしかしてだけど、この子転生者の可能性ないかしら?

 だとしたら、この食べ物が合わないということもあるわよね。

 一応、家族や、大体の使用人は私達四人が転生者だということを知っているけれど、この子が転生者だという情報は一先ず隠しておいたほうがいいかもしれないわね。というか、この家の住人達は受け入れるの早すぎるから問題ない気もするのだけどね。


 ということで、部屋の中に待機していた私の侍女のステラとシフォンには部屋の外で待っていてもらうことにした。

 「何かありましたら、お呼びください」

 二人とも頭を下げて部屋を出て行った。


 さて、これで気兼ねなく尋問…、じゃなかったお話ができるわね。

 何を言えば伝わるかしら。

 「……大塚、巣鴨、駒込、田端、西日暮里、日暮里、鶯谷……」

 「何で、山手線の地味な辺りの駅なんだよ! そういうのは普通、日本は? とか首都は何処? とか、首相は誰? とか聞くもんなんじゃないの?」

 「あら、すんなりその言葉が出るってことは、アナタ転生者なのね?」

 確かにそうだわ。セオリー通りならその辺が無難よね。でもね、普通の質問してもつまらないじゃない?


 それから私は、自分と兄が転生者だったこと。クリストファー様が私の推しだったこと。そして、この世界が乙女ゲームの世界だということを伝えた。


 あんなにかっこよかったクリストファー様が、何でこんな美少女になっているのかしら? 確かに中性的なキャラデザだったと思うのよ。それに、とってつけた様な頬の傷がちょっと男らしさをアップする程度だったし。もしかして、もともと女顔よりなのかしら? いや、でもそれにしたって女装しないでしょう? 親や姉が無理やりさせましたってのなら分かるんだけど、嫌がってるそぶりもないし。


 そういえば、クリストファー様って、設定上スパイで子供の頃から特殊な訓練とかしてた筈よね。ということは……。

 「ねぇ、もしかして、何かの潜入中だったりするの?」

 「いや、全然」

 「……………そう。ふーん」

 秒で否定されたわ。

 まぁ、そうよね。私が呼んだんだもの。潜入なわけないわよね。

 こんなにも華奢だし、剣なんて触ったこともなさそう。



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