21 食欲の秋だしね
9月末から体調崩してました。
なんとか復活したので、ラストスパートまで頑張りたいと思います。
学園の寮へ戻る途中、どうせ何かせがまれるだろうと思い、たい焼き屋さんへ向かったら、紙袋いっぱいにたい焼きを買ったカリーナちゃんとあった。
「え、何…パシリにされてるの?」
「違うわよ。ゲームに負けた罰ゲームよ」
「そうなんだ」
「何でそう思ったのよ」
「カリーナちゃんそんなに量食べないし、食べるのはソフィアとメアリーじゃん?」
「そうね」
こんなに買ったのなら、私が買っていかなくてもいいわね。
「ところで、なんのゲームやってたの?」
「…っ!」
顔を真っ赤にして黙ってしまった。
ああ。多分エッチな事書いてあるカードゲームとかジェンガみたいのやったんだな。
多分イータさんがコロナさん辺りと悪ふざけで作った非公式のやつだろう。
そういえば、この前ボードゲームみたいのをニマニマしながら持ってきてたわね。あの新作をやったのかしら?
ちょっと気になるわね…。
どうせ青の洞窟専売だろうからうちにいる時に見に行けばよかった。
しかし、相変わらず真っ赤な顔で泣きそうになっている。
優位に立つどころか、足を引っ張ってるじゃない。
「大丈夫?」
「な、何が? べ、別になんともないわよ」
声が震えている。こういうところがかわいいのよね。
カリーナちゃんと歩き、曲がり角を曲がったところで、大きな紙袋を抱えたメアリーとソフィア達一行と出会した。
え、何? あなた達も負けたの?
まぁ、メアリーは知識ないから分からんでもないけど、ソフィアも負けるとは…。グループでも組んでたのかしら?
「おや、クリス様。お見送りご苦労様です」
ほんとはあんたも居ないといけないんだけどね。
まぁ、お見送りだけだしね。
それに、メアリーがいると、いろいろめんどくさそうだし。
「ところで、凄い量ね」
「ちょっと負けちゃってね。まさかこの二人がこんなに弱いとは思わなかったわ」
「そ、そう…」
ポテトを頬張りながら、不満そうにいうけど、大きな紙袋を抱えているのは、勝者であるはずのステラさん、シフォンさん、プレオさんだ。
「なんで勝ったのに…」とプレオさんがぶつぶつ言っているからね。
「一体何をそんなに勝ったのよ」
「ん? 私はハンバーガーよ。折角だから三店舗分の月見バーガー買ってきたの。食べ比べしようと思って」
「さいですか」
確かにいろんなハンバーガー屋さん出来たのよね。
「メアリーは?」
「お米の美味しい季節なんで、おにぎり買ってきました」
「新米出たしね」
「はい!」
ニッコニコしながら返事するメアリー。
二袋も抱えて、相変わらず力持ちねぇ。
というか、罰ゲームになってないわよ。
「ふむ」
「シフォンさんどうかした?」
「クリス様は不参加で不戦敗だから、クリス様も何かを買うべきでは…」
何を言っているのかしらね。よく分からないわ。
しかし、ソフィアのとこのメイドさんだわ。
平然と理不尽な事を言う。
「そうね。クリスは不戦敗だから、罰ゲームは受けないとね」
「そうですね。私は肉まんか唐揚げがいいです」
「あら。いいわね」
「いいわね」じゃないよ。何で私が買ってこないといけないのよ。
こんなに食べるのあるんだから十分でしょ?
結局、肉まんと唐揚げとカレーパンまで買わされてしまった。
でもここのカレーパンは私も好きなのよね。
揚げたてで結構辛くて美味しいのよね。
今時、149カラットで買えないし、今もたまに買ってるわ。
確かロザリーが監修したのよね。カレーに関してはどこでも食い込んでくるわね。
しかし、これだけの量をレジで頼むのが恥ずかしかったわ。
お店の在庫は多分なくなっちゃっただろうし。
そもそもあの量の肉まんを蒸す時間が申し訳ないわ。
店内大忙しだし。私がめちゃくちゃ食べるって思われてそう。
「学園前のコンビニなら、私達がよく行くから蒸し器三台あったのに」
初情報なんですが、それは。
「情報古いですねソフィア様。この前五台になりました」
「ホント!」
何を喜んでんのよ。
というか、こんなに買って…お月見でもするのかしら?
もうとっくにお月見の時期過ぎてるわよ?
そして、寮の部屋へ向かう。
二年になっても部屋が変わらなかったのは、相部屋だからか、それともソフィアの権力によるものなのか。はたまた学園側がめんどくさがってそのままにしたかよね。
「ただいまー」
「おかえりー」
やっぱこのヴィジュアル慣れないわ。
出迎えてくれたマーガレットは筋肉モリモリで、着ているドレスもパッツパツ。
まぁ、これでも少しシェイプアップして見やすくなったけど、相変わらず凄いわね。
「最近はマーガレットも食べるからねー」
「体が資本ですからね」
うちのエンゲル係数が毎月右肩上がりになる訳だわ。
マーガレット付きのメイドさんは元に戻っているのにね。
いや、マトリカリアさんはまだ眉毛太いままだったわ。
そんな時、チャイムが鳴ったのでドアを開けるとアンさんが暗い顔をして立っていた。
いつもなら開けると同時に抱きつこうとしていたアンさんが俯いたままた。
「話、いいかしら?」
とりあえず、何があったのか聞こうと私の部屋へ案内した。




