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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第9章

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18 お姉様に婚約の話?


 「えっ!? お姉様に求婚? 一体どこの誰が血迷ってそんな事を…。罰ゲームにしたってやりすぎですよ?」

 「クリス、よく私の前でそんな事言えたわね。昔はもう少し遠慮してたわよね?」

 「いや、だって…ねぇ? お母様?」

 「ホントよね。育て方をどこで間違ったかと何回も自問自答したもの」

 「お母様まで…。流石の私も泣くわよ?」

 お姉様が不満そうに腕を組む。明らかに泣く体勢じゃない。


 「僕、サマンサが泣いたところって一回も見た事ないや」

 「私も無いわね」

 お兄様とキャロルさんも思い出す様に語る。

 「私達もありませんね」

 「泣かされる事はよくありましたが…」

 アンジェさんとミルキーさんも遠い目をして呟く。

 「私が普段どう思われていたのか、初めて知ったわ」

 「初めて!?」

 「何よクリス。どういう意味よ! というか最近また生意気になったんじゃないの?」

 「そんな事ないですよ。というか、みんな口に出さないだけで…」

 お姉様が私にとびかかり、ほっぺたを引っ張る。

 「やめなさいサマンサ。いい歳して何してんのよ」

 「だってお母様、クリスが生意気なんですもの!」

 「事実なんだから、受け入れなさい」

 「お母様!?」

 お母様がピシャリと言い切ると、お姉様は呆然とソファに崩れる様に座った。

 他のみんなも苦笑いしていた。

 まぁ、仕方ないよね。普段のお姉様を見てたらそうなのるよ。


 「ところでお母様、一体どこの世間知らずがお姉様に婚約を申し出たんです?」

 「お兄様まで…」

 「それがね…」

 言いにくそうな顔をしている。

 ヒョイとお姉様が手紙をひったくると、眉間に皺を寄せた。

 「この前の男じゃない」

 お姉様に声掛けた蛮勇な人いたかな?

 「へぇ…意外と見る目あるじゃない」

 嬉しそうな顔でお姉様は手紙を読んでいる。

 それ、振込詐欺の手紙なんじゃないの? 或いは投資詐欺とかロマンス詐欺とか。

 この歳まで浮ついた話一切聞かなかったお姉様に恋バナなんて、あり得るわけないじゃない。

 お姉様に婚約って、病気で意識朦朧としてるか、お酒呑み過ぎて記憶失ってるか、脅迫されて死か結婚か選べとかじゃないとないんじゃないかな?

 辛うじてロザリーさんと結婚するかなとも思ったけど、その可能性も最近じゃなさそうだし…。

 他のみんなも同じ考えの様で、不審そうに眺めていた。


 「それで、誰からなの?」

 キャロルさんがこの空気の中、意を決して口を開いた。

 「ルスランって書いてあるわ」

 「それって…」

 「ルビー帝国、次期皇帝ルスラン・インペラートル・ルゥビーン…。あの時の人ね」

 お母様意外の全員が立ち上がった。それくらいの衝撃だ。

 「ふぅん。まぁ次期皇帝なら私の相手として及第点ってとこかしらね」

 ねぇ、どの口でそういう事言ってるの?

 お姉様に選ぶ資格なんてないでしょうに…。

 申し込まれただけでも奇跡なんだから、もう少し謙虚にした方がいいんじゃないかな?


 「そ…それで、お姉様はどうするんです?」

 「ん? んーどうしよっかなぁ…。ルビー帝国って寒いじゃん。逆にこっちに来い。みたいな?」

 それ、本人いなくてよかったね。いたら大激怒よ?

 まぁ、怒ったお姉様に勝てる人なんてそんなにいないけどさぁ…。

 お母様と、アンジェさんと、ミルキーさんと…辛うじてメアリーかな?

 しかしらなんだかんだ言っても女の子ね。凄く嬉しそうな顔してる。

 素直になればいいと思うのよ。ツンデレ拗らせるとこうなるいい見本よね。

 「とりあえず顔見せにでも行ったら?」

 「そうね。気に入らなかったら、ついでに国を潰してくるわ」

 お姉様なら本当に出来そうで怖い。

 国際問題になりそうだから、やめてね?


           *      


 急遽学園から呼び出されたと思ったら、まさかお姉様の婚約の話だとは思わなかった。

 満更でもない顔をしていたけど、やっぱりちょっと気になったので、お姉様の自室を訪れた。

 「お姉様…」

 「なぁにクリス? もしかして心配してるとか?」

 「いや、まぁ…そうですね」

 いくら鋼メンタルのお姉様とはいえ、次期皇帝との婚約は気が重いのではないだろうか?

 「そんなに心配しなくていいわよ? 実際嬉しかったのは本当だし」

 乙女の顔をしているお姉様。

 「まぁ、この国に私と付き合おうなんて骨のあるやつなんていないしね」

 もしかして、婚期を逃しているのが、そんなに堪えていたのだろうか?


 お姉様は後ろ手を組んで振り返る。

 「本当はね、クリスと結婚したかったのよ」

 「え?」

 「まぁ、ライバル多いしね。流石に私には分が悪いし」

 まさか、お姉様がそんな事考えているなんて思わなかったわ。

 というか、姉妹で結婚なんて出来る訳ないでしょうに…あ、私男か…。いやいや、それでも無理でしょ。

 お姉様の考えてる事は本当に分からないわ。

 でもまぁ、お姉様が幸せならいいのだけど、お姉様が絡んでるから、どうにも胸騒ぎがするわ。


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