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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第9章

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11 早めに帰ってきた理由


 さて、うちの屋敷の応接室にレオナルド、ウィリアム、王妃様、ソフィア、そして私がそれぞれソファに座っている。

 他の人達はそれぞれ思い思いに過ごしている。まるで自分の家かのように。

 ミルキーさんがお茶を出し、一礼して出ていく。


 「いやぁ、やっぱり帰ってくるといいもんですね」

 「そうだな。やっぱりここが落ち着くな」

 レオナルドとウィリアムが、肩の荷が下りた様な顔でほのぼのとしている。

 出されたお茶を飲んで、「これだよこれ」とか言っている。実家かな?

 そんな二人を慈しむような表情で眺める王妃様。

 「レオちゃんとリアムちゃんは、結構得るものがあったのね」

 「勿論です。母上」

 「ええ。とても勉強になりましたね。学園では体験出来ませんからね」

 「そう。良かったわ。でも、予定より早いわね」

 「そうですね。急遽予定を早めて戻ってきました」

 何か航海中にあったのだろうか?

 予定ではあと一月弱向こうにいるはずよね。


 「ルキナから連絡があったのが一月前ですかね…。私と婚約破棄したから、クリスに婚約を迫ったよってあったんですが、どう言う事なんですか! あれ以降連絡ないんですが、まさか…もう…」

 王妃様がニコニコした顔のまま固まる。

 まぁいい機会だと、婚約の話を進めたのは王妃様ですしね。そりゃあ、言えませんよね。

 「ちょ、母上…。く、クリス…どうなんですか?」

 いや、残念な事にルキナ王女はテオたんと婚約してしまったのよね。

 だから、私とは()()なかったわ。

 私が軽く下を向くと、レオナルドが狼狽する。

 だが、悪い顔をしているソフィアが、面白がってまたぞろ演技しだした。

 「レオナルド…」

 「な、何ですかソフィア…。その顔、もしかして…」

 「ええ…。残念だけど…」

 「あー、聞きたくない聞きたくない! そこから先は聞きたくありません」

 自分で振っといて、それはどうなの?

 両耳を抑え、頭を下げ、首をブンブンと振っていた。

 クスクスと笑うソフィアに、ウィリアムが気づいたのか口パクで嗜めると、ソフィアはニンマリと口角を上げた。


 「レオナルド〜、ルキナ王女はねぇ…」

 「あーあー…」

 「テオドールと婚約したのよ」

 「へぇあ?」

 レオナルドの様子に、呆れた表情で頬に手を当て傾げる王妃様。

 嘆息してソファに深く凭れるウィリアム。

 「あっはっはっは」と腹を抱えて笑い出すソフィア。

 「クリス?」

 「はい。いろいろあって、ルキナ王女はテオたんと婚約してしまいました」

 「テオたんとは…。あ、いや…そうですか。それは…良かったです」

 急に顔を明るくしたレオナルド。心のつっかえが取れたかのような顔になった。


 「そうですか…。最大のライバルが脱落しましたか」

 「一番手強かったものね」

 レオナルドとソフィアが、何やらうんうん頷きながら話している。ライバルとは…?

 テオたんはそういうのじゃないのよ。私にとっての天使みたいな? あ、聖女だったわね。

 「という事は、クリスは今フリーなんですね?」

 「いや、どー……ですかねー…ははは…」

 「そうね」

 「待ってくださいクリス。ソフィアと何かありましたか?」

 「いや、特には…」

 「でも、私が一歩リードしてる事には変わりないわよ」

 「!?」

 「何でそんな余計な事言うの?」

 「だって事実じゃない」

 「「「!?」」」

 三人同時に驚いて前屈みになる。


 「え? 嘘…ですよね?」

 「まぁ、前からそういう風になるだろうなって空気はあったけどさ…」

 「待ってクリスちゃん。それはダメよ…」

 そんな事言われてもなぁ…。

 そして、そこで火に油を注ぐかの如くソフィアが補足した。

 「私の後ろにはメアリーがいるわ」

 つまり、あなた達はライバルではないのよって言っているようなものだ。

 どうしてこうなった。

 「め、メアリーが? ただ食っちゃ寝してる()()メアリーが?」

 「一番の強敵じゃーねか…」

 「ただのマスコットだと思っていたけど…」

 「確かにそうね。なんであんなのがライバルなのかしら」

 メアリーの評価最低だな…。事実だけど。


 「でもまだ諦めませんよ私は」

 その中で一人レオナルドが一人奮起する。

 「一旦婚約破棄…の演技しましたが、一応保留ですし、その為に海外へ行ったのですから」

 ああ…。そういえばそうだっけ…。

 ただバカンスに行った訳じゃなかったのよね。忘れてたわ。


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