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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第9章

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04 “2”


 「クリス様申し訳ございません」

 ステラさんが申し訳なさそうに頭を下げた。

 「いや、謝る必要はありませんよ」

 「そうです。寧ろ誇っていいです」

 メアリーが口を挟むと話が拗れるから黙っててほしい。

 ステラさんにはいろいろお世話になってるからね。それに私がどうこう言う立場じゃないし。

 ステラさんは話もほどほどに、ソフィアのお世話に向かった。

 別にそのままにしておけば、そのうちまたぞろ「お腹すいた」とか言い出すわよ。

 そんな事より気になるのはヨメナさんの方だ。

 「ヨメナさんは帰らなかったんですか?」

 「ええ。あの子達はみんな行ってしまいましたでしょ? 私だけ帰っても仕事しかする事ありませんで、だったらここを綺麗にしておいた方がよろしいかと」

 大変な事押し付けて申し訳ない気分だ。


 「ああ、そんな顔なさらずに。本宅よりここの方が快適ですし、他の使用人の方々と話したりお茶を飲んだりしておりますので、退屈しないのですよ」

 「そうなんですか?」

 「ええ。それに、使用人達でゲートボールやモルック、テニスと楽しんでますので」

 見た目以上にアクティブだなぁ。まぁ、熱中症にだけ気をつけてもらえれば。

 「ところで、本日からこちらに?」

 「どうしようかな。今日は先生からの頼まれごとがあって泊まろうかなって思って」

 「そうですか。全部の部屋はいつでも過ごせるよう整えてありますので」

 「流石はヨメナさんですねー」

 それ、私のセリフ。というか、メアリーはマジでメイドの仕事しなさいよ。

 ヨメナさんの爪の垢を煎じて飲ませたいわ。効果なさそうだけど。

 後でヨメナさんには何かいいものをプレゼントしよう。


 「そうそう。老人の暇潰しで申し訳ないのですが、良かったらこれを」

 ヨメナさんがいくつかの服を手渡してくれた。

 「えっ! いいんですか?」

 「ええ。喜んで着てくださるのはクリス様だけですので」

 いやぁ。私の方がプレゼントもらっちゃうなんて。

 しかし、これホント貴重よ。

 幻のゴールデンマムの服を一つ一つ見ていく。

 今風のデザインだけど、やっぱり見たら分かるもの。これ一着で家が建っちゃうくらい価値があるのよ。それをこんなに…。

 その後部屋でずっと眺めたり着たりしていたわ。

 マジでテンション爆上がりよ!


 さて、と。今日はやる事ないからお風呂入って寝ましょうかね。

 「今夜は私と寝ましょうね」

 「メアリーは激しいからヤダ」

 「クリス様がかわいいのがいけないんです」

 それに関しては激しく同意するけど、寝かせてくれないじゃない。

 寝不足はお肌の敵だからね。毎晩毎晩メアリーの相手なんてしてられないわ。

 しっかし、なんで今更スピードにハマるのかしらね? トランプが全部折れちゃってるもの…。

 悔しがる私を見て楽しむなんていい趣味してるわ。


           *      


 翌日、寮のリビングで難しい顔をしているソフィア。

 きっとお昼何食べるかで悩んでいるのだろう。

 「お昼何食べるか決まった?」

 「何言ってんの?」

 「へ? 違うの? 何食べるか悩んでたんじゃないの?」

 「ちっがうわよ! というか、クリスが私の事どう思っているかよーく分かったわ」

 だってソフィアはお姉様と食い意地張ったキャラで被ってるから…。てっきりそうなんだと…。


 「で? そんなに眉間に皺寄せて何考えてたのよ」

 「2」

 「2? 2って何よ」

 「乙女ゲーの二作目よ」

 ああ…。そういえば、この世界乙女ゲーの世界なんだっけ?

 いろいろやらかして面影ないだろうけど、一応設定は残ってるのかな?

 「で、それがどうしたの?」

 「いやほら、二年目って二作目の年だったなーって思って」

 「ふーん」

 「ふーんって何よ。そんな興味なさそうにして…」

 「いやだって、ねぇ…。もう原作の面影もないくらい世界観変わりまくってるんでしょ?」

 「それはそうなんだけど、他国は違うわけじゃん?」

 「他国?」

 「そう。二作目は海外のイケメンが留学してくるの」

 うわぁ…他の国が絡むとか超絶めんどくさそう。政治とか絡んできそう…。

 「そんな難しく考えなくていいわよ。それぞれのルートでしかその国に行かないし。行っても最後の方だし」

 ソフィアも大分記憶が薄れてきているのか、大雑把なあらすじで説明してくれた。

 ちなみに他国のヒーローはみんな留学設定らしい。


 一つ目は広大な領土を持つルビー帝国。

 黒髪赤目のイケメンで、留学中に皇帝の隠し子という事が判明する。皇位継承を狙ってヒロインと帝国に乗り込んで、皇帝と駆け引きするのだそう。

 選択肢によっては王国と帝国で戦争になるとか。

 どっちか潰れるまでやめなそう…。


 二つ目は旧エメラルド王国。過去の戦争の影響で、二つの国に分かれたグリーンベリル連邦共和国(旧西エメラルド王国)とレッドベリル民主共和国(旧東エメラルド王国)からそれぞれ緑髪金眼のイケメン二人の話。

 二人は実は生き別れの双子でかつての王国の生き残り。どちらかを選んで祖国統一を目指すストーリーらしい。壁でも壊せばいいんじゃないかな?


 三つ目は、海を挟んだアレキサンドライト女王国から、暗殺された母親の謎を巡って女王陛下と対決するらしく、好奇心旺盛な攻略対象の助手となって緻密に絡み合った問題を片付けながら真相に迫っていくストーリーらしい。何それ一番面白そう。


 四つめは、西側の半島部分にあるサファイア帝国で、七つの海を制覇して帝国の繁栄を築いた皇帝一家が謎の奇病により次々亡くなっていく中、病に陥ったヒーローが死なないよう奔走する話。掟を守るのか破るのかで内容が変わるらしい。近親相姦しなければいいんじゃないかな?


 五つ目は、ダイアモンド王国から、広大な領地を持つ辺境伯が謀反して独立を目指そうとするのを阻止する話らしい。

 辺境伯の次男と力を合わせて、他国からの圧力も躱しながら平和を模索していくストーリーらしい。板挟みになりながらも真の平和を模索していくんだとか。長続きしなそう…。


 どれもこれもめんどくさそうだけど、現時点でいくつか起こり得ないだろうというのは分かる。

 「ちなみに今回のヒロインもマーガレットよ」

 マーガレットも大変ねぇ。

 まぁ、乙女ゲーなんてそんなものよね。

 「ちなみに隠しキャラの一人はレオナルド。いらないのにね」

 可哀想だから、そう言う事言うのやめてあげて?

 ちなみにそんなレオナルドは、王位継承しており、他国からの侵略や妨害をヒロインと共に防いでいくのだそう。


 ちなみに今作は戦略シミュレーションゲームらしく、ソフィアは殆どやっていなくて、ソフィアのお父さんに丸投げしたんだそう。

 まぁ、ソフィアは細かいのとか戦略立てるのとか無理そうだもんね。すぐ怒るし。

 「私はスチルさえ見れればいいのよ」

 因みに一作目とゲーム性が変わった為に二作目で終わりなんだそう。一作目程売れなかったのだそう。

 私的には面白そうだとは思うのよ?

 まぁ、ゲームでの話だけどね。リアルでそんなの起こったらなるべく関わり合いたくないわね。


 「今回クリスはお助けキャラで攻略出来ないのが唯一の欠点だったわ」

 「ははは…」

 今もある意味お助けキャラですけどね。

 ソフィアが言うには、そのクリスは学園の教師になっていて、便利屋兼道具屋兼ヒントだったらしい。

 「ずっと一緒にいれるのに攻略出来ないとかバグかよ」と思い出したかのようにぶつぶつ文句を言っている。

 私にとってのお助けキャラはソフィアなんだけど、それを言ったら怒られそうだから黙ってましょう。

 それにしても、留学してくる他国の生徒なんて…。

 どうか面倒な事が起きませんように。


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