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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第9章

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03 何事もほどほどに


 ほぼほぼ丸投げ状態でテストを作っている。

 他の先生は殆ど来ておらず、居るのは私を呼びにきたレベッカ先生とジギー先生の二人だ。

 もしかして、くじ引きってそう言う事?

 まぁ、この四人だけだったら私も怒り狂ってた可能性あるけど、同じく騙されて呼び出されたであろうアンジェさん、シグマさん、アンさん、クライブさん、クオンさん、プロフィアさんがいた。

 というか、よくよく考えたら他の先生も何人か海外行ってたわね。

 ただこんなに優秀なメンツがいるのに、レベッカ先生が真っ青な顔しているのは、ソフィアが母親であるスミカ様も連れてきたからだろう。

 現在、副学園長を務めているらしく、忙しい筈なのに、こうして手伝いに来てくれた。

 いや、有る事無い事ソフィアがチクった可能性もあるわね。


 「ふ…副学園長にまで手伝っていただいて恐縮でふ…」

 最後噛んだけど、絞り出す様に言いながら頭を下げていた。

 「いいのよ。レベッカ先生には聞きたいことがいっぱいあったからね」

 そう言われて、うちのお父様の様にしょぼしょぼと小さくなるレベッカ先生。

 小さくなった状態で行方をくらまさないだろうか?

 そして、こんな事聞いてないと、シグマさんとクオンさんは不満を漏らす。

 「折角いい男見つけたのに…」

 「黒ギャル目指してたのに…」

 クオンさんは健康的な小麦色になってますね。そのくらいでやめといた方がいいと思いますよ?

 「あなた達、一応教職についているのですから、これも仕事ですよ?」

 「そうですよ。今までの事を考えると楽な方じゃないですか」

 アンジェさんとプロフィアさんがやんわりと嗜めるが、プロフィアさんのは、なんか社畜感が染み付いてる気がする…。

 「そんな事よりも、どうして私を呼んでくれなかったのよ。聞いたわよ。ちっちゃな子供達と遊んだんですって」

 「そうだ。半裸の子供達と戯れる絶好の機会をっ」

 この二人はもうダメだ。通報して暫く牢に入れておいたほうがいいよ。


 しかしなかなかどうして優秀なのかしら?

 分担してやったら初日で殆ど終わってしまったわ。

 「はっや!」

 レベッカ先生何もやってなかったですよね?

 「あとは、ミスがないかの確認だけですね」

 「そうですね」

 「それでは後はこちらで確認しますね」

 スミカ様が残りのチェックを引き受けてくださるそうだ。

 「皆さん、休暇中に申し訳ありません。ちゃんと報酬はお出ししますので」

 やっぱ、副学園長にもなると違うなー。

 「レベッカ先生は残ってください。お話しがあります」

 「はぃ………」

 タダで手伝わせようとした事とか、そもそも全然やってなかった事とか、あとは休暇中にハメ外しすぎたとかかな?


 「いやー、終わった終わったー」「どうする? 焼肉行く?」「いいですねー」「あ、私も行きたい!」「みんなで行くっしょー」「お酒はアリ?」「クリス様はお酒ダメですよ」

 めんどくさい事が終わったので、王都にある焼肉屋さん(うちのグループ会社の支店)へ行く事にした。

 やっぱり夏といったら焼肉でビールよね。

 アンジェさんとかを酔いつぶしてから飲みましょう。

 行きたそうにうずうずしているスミカ様と、泣きそうな顔でこっちを見るレベッカ先生。

 「一緒に行きますか?」

 パァっと顔を明るくする二人。

 「おほんっ…。では、レベッカ先生は明日、私の所へ来てください」

 「わっかりましたー」

 これバックれるんじゃないかしら?

 まぁ、そしたら、怒られる量が増えるだけなんだけどね。

 とりあえずみんなで焼肉屋さんへ向かったのだが、結局私はアンジェさんとスミカ様に挟まれてお酒を飲む事が出来なかった。


 焼肉屋さんを出て、先生達と別れる。

 どうせ学園でやる事もないので、このまま汽車で家まで帰ってもいいんだけど、今の時間だと夜遅くなっちゃうのよね。

 もう学園にいるつもりで着替えとか諸々用意してきてしまったし、ソフィアも食べ過ぎたのか、苦しそうに「ヒッヒッフー」と荒い呼吸をしていた。

 という事で、歩くのもやっとなソフィアを介抱しながら学園の寮へ向かった。


 コンシェルジュさんに預けていた荷物を引き取り、部屋へ入る。なぜか電気が付いていた。なんで?

 そしてそのままリビングへ進むとメアリーがいた。それも、めちゃくちゃ不機嫌な顔で。

 「クリス様!」

 凄い剣幕だ。

 「なんで私を置いて行ったんですか!」

 情緒不安定かよ。自分で行かないって言ったんじゃん。

 そんなメアリーは、私とソフィアを見て眉間に皺を寄せる。

 ソフィアは苦しそうにしていて気が回らないようだ。

 「まさか…。子供っ!」

 「そんな訳ないでしょ!」

 「でもこんな大きなお腹してますし…」

 「大体いつものソフィア見たら分かるでしょ? 食べ過ぎだって」

 「あ、そっすね」

 苦しそうなソフィアは半分目を開けて「覚えてろ」と言わんばかりに睨みつけてくる。

 嫌ならそんなに食べなきゃいいじゃない。

 そもそも、毎回あの薬で私とソフィア逆転してるんだから、ソフィアが妊娠する訳ないのよ。あ…。

 それを知ってか、メアリーが嫉妬してるのね…。


 しかし、もうメアリーにとっては別の事が気になるらしい。

 「すんすん…」

 犬の様に匂いを嗅ぎまくる。最近犬度が上がってる気がする…。

 「この匂いは焼肉ですね!」

 またぞろ私にくってかかるメアリー。

 「そうよ。私とソフィアと先生達で行ったのよ」

 「なんで私はそこにいないんですかぁ!」

 「知らないわよ。来ないって言ったし、来てるなんてもっと知らなかったし。そもそもなんでいるのよ」

 ガクガク揺らされながら問いただされていると、同時にソフィアも揺らされるので、ソフィアが青い顔をして呻く。

 「ちょ、大丈夫?」

 「きもちわるい…」

 バタバタ暴れているメアリーをそのままに、ソフィアをソファへ座らせる。

 「うぅ…」

 「大丈夫ですか?」

 ステラさんがソフィアに声を掛けた。

 メアリーに気を取られてて気が付かなかったけど、ステラさんいたんだ。

 というか、ヨメナさんもいる。

 「お水ですよ。飲めますかー?」

 「うぅ…」

 「お腹さすりましょうか?」

 「お願いー」

 ステラさんとヨメナさんがソフィアを介抱している間にメアリーに問う。

 「で、なんでいるの?」

 「ステラさんに聞きました」

 ソフィアが一人で荷物を用意する訳ないもんね。

 しかし、メアリーにそこまでの知恵が回るとは思わなかったわ。


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