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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第9章

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02 どうして私が?


 夏季休暇もあと二週間といった頃、今日も自室で寛いでいた。

 なぜか半月前からやたらとべったりくっついて離れないメアリー。一体どうしたというのだろうか?

 そして、ソフィアが訪れると威嚇する猫の様な顔をする。

 休みの前半はあんなにのんびりしていたのに、どういう心境の変化かしら?

 それと、ウチではシェルミー様とジル様を筆頭に、連日ずっとレッスンをしていた。

 孤児院のホールがレッスン場に変わっていて、既に十数人もの人が挫折せずに頑張っている。

 お母様だけではなく、王妃様とサヴァさんとスケキヨさんがインストラクターをしていた。

 あの人達貴族なのよって言っても誰も信じないだろうなぁ。

 もう、アイドルの合宿みたいになってるし。

 そんなこんなで、私まで参加させられそうになるのをやんわり断っていた。


 そうそう。テオたんと王女様がめでたく婚約したらしく、近々婚約パーティーを開きたいとの事。

 決定でないのは、レオナルドがまだ帰ってきてないかららしい。

 レオナルドにとってもサプライズになるのではないかしら?

 そういえば、テオたんの事、アーサーのバカも好きだったわね。

 ざまぁ…なーんて事を思っていたら、自分にも跳ね返ってきそうだから思っていても口にはしないわ。


 私の横を占有するようにメアリーが寝そべっているけど、そんなメアリーの耳がヒクヒクと動いたかと思うと、上半身を起こしてドアの方を見る。猫かな?

 ドアがノックされたので返事をする。

 「どうぞ」「いません!」

 メアリーが被せる様にふざけた事を言う。

 「し…失礼しますっ…」

 半笑いでメイドのアマベルさんが入ってきた。

 「いないって言いましたよね?」

 「いるじゃない」

 「私とクリス様の時間を奪うんですか?」

 「何言ってんだお前?」

 私の言いたい事を、アマベルさんが代わりに言ってくれた。ホントにそう思うわ。

 「で、何?」

 メアリーを放っておいて、話の続きを促す。

 「ソフィア様だったら追い返してください」

 「仮にそうだとしても出来ないわよ。それでですね、学園から使者が来てます」

 「へ? なんで?」

 「さぁ? 私に言われたも…」

 そりゃそうか。それにしても私何かやらかしたかしら?

 とりあえず話を聞きにいきましょうか。

 応接室へ入ると、ソフィアもいた。ずっとうちに入り浸っているからね。

 メアリーを置いてきて正解だったわ。

 応接室には、レベッカ先生とジギー先生がいた。

 レベッカ先生だけだったら、遊びに来ていた可能性もあるけど、二人だからなぁ。

 何を言われるか怖いわ。


 「ごきげんよう。本日はどういったご用件で…」

 そう言った瞬間、二人の先生が頭を下げる。

 「なっ!?」「ちょっ!?」

 私とソフィアが同時に驚く。

 「一体どうしたんですか?」

 「その…」

 ジギー先生が歯切れの悪そうな感じを出すと、気にせずレベッカ先生が続きを話す。

 「テスト作って」

 「は?」「は? テスト?」

 「そう。クラス分け用のテスト」

 「それって先生の仕事では?」

 「いや、今年は超優秀な二人がいるからお願いしたいなーって。ねぇジギーセンセ?」

 「う…うむ。全会一致でな。それでくじ引きに負けて我々が…」

 そういうところは言わなくてもいいと思うんですけどね。というか、どうして私が?

 あと二週間ゆっくり過ごしたいのに…。

 「報酬はあるの?」

 ソフィアが尋ねる。

 「ふっ…ないわ」

 「じゃあ、やーよ。ねぇクリス」

 「そ、そうね」

 席を立とうとしたところで、テーブルを乗り越えてレベッカ先生が縋り付いてきた。

 「ねぇ、お願いお願いお願いよー。今回全然出来てないのよー」

 「知らないわよそんなの。そっちの都合でしょ」

 ピシャリとソフィアが断るが、尚も駄々っ子の様に喚くレベッカ先生。

 こういう時、うちのメイドさんが気を利かせて入ってきたりするんだけど、そんな気配しないわね。

 「どうするのよクリス…」

 「もうやるしかないんじゃない? ジギー先生、勿論やるメリットはあるんですよね?」

 ニッコリと。でも威圧感のある笑顔で尋ねる。

 「も…勿論」

 「じゃあ、その内容次第ですね。納得出来なかったらやりません」

 「二人の為に専用の部屋を用意した」

 「二人きりっ!?」

 ソフィアが食いついた。まぁ確かに最近ずっと邪魔が入るとぼやいていたしね。

 それに、専用と言っただけで、別に相部屋とは言ってないわよ。

 「分かったわ。やるわ。ねぇクリス」

 「ソフィアが言うなら」

 「(二人きり…二人きり…)」

 何やら勘違いしているソフィアがぶつぶつ言ってるが、先生方も何かヒソヒソ話し合っている。

 「(ね? ソフィアさんを攻略すると簡単でしょ?)」

 「(後で怒られても知らんぞ)」

 「(ちゃんと二人一部屋にしとけば怒られないわ)」


 そうして翌日学園へ向かう為準備を始めたのだが

…。

 「クリス様、まだ休みありますよね?」

 「なぜかテストを作る側になっちゃったから早めに行かないと行けないのよ」

 「あっ、そうですか。じゃあ、私達は学園始まる頃に行きますね」

 完全にバカンスを楽しむ気ね。

 まぁいいけどさ。

 「ふふっ。ソフィア様も一緒にいられなくて残念ですね」

 ああ…。ソフィアも一緒に行くって言ってないんだった。

 まぁ、下手に言うとめんどくさいから黙ってましょ。

 メアリー的には不貞腐れて帰った様にしか見えないだろうしね。

 「じゃあ、あとよろしくね?」

 「はい。クリス様の分までダラダラしておきます」

 メイドの仕事しなさいよ。って、それはもう今更か…。


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