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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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17 ソフィア回想する②


           *      


 例の第二王子殿下が来た日、私は、図らずもこの世界があの乙女ゲームの世界だと思い出した。第二王子ことレオナルドが、お父様と挨拶している時、私の心臓の動悸は治まらなかった。それどころか、呼吸が苦しくなり、軽く目眩を覚えた。


 なんてことだろう。何で今まで忘れていたのだろう。私が、この乙女ゲームの悪役令嬢で目の前のレオナルドに断罪され不幸な結末を迎えるということを。


 今朗らかに笑顔を向けているこの少年は三年後に私に婚約破棄を告げるのだ。

 ならば、婚約されないよう塩対応したらいいのではないだろうか?

 凄く短絡的な思考だと思う。でも、自分の為に、そして断罪されて困るお父様の為にも。


 どうせ、兄達のように、私も研究優先な考え方なので、多少不躾な対応をしても問題はないだろう。その辺はお父様が上手くフォローしてくれるかもしれない。

 何としてでも、このレオナルドには気に入られないようにしなければいけないのだ。


 結果は何というか、肩透かしを食らった気分だ。

 私が内心、ビクビクしながら、お父様の陰に隠れながら塩対応していたのに、あの王子は常に上の空。

 正直、視察もちゃんとしているのか、こっち側から尋ねたいくらいだ。ただ、そんな事をすると、会話が発生して好感度が上がってしまうかもしれない。それはダメだ。

 お父様がそんな感じの事を振った時は、内心焦りまくり。何とか専門用語と早口で乗り切った。まぁ、聞いているかは終始怪しかったけどね。


 結果、めでたく婚約者にはならなかったが、何とも複雑な気分だ。

 もしかして、私達がいろいろやらかした結果、シナリオが変わったのだろうか? それとも既にヒロインとくっついたのだろうか? その辺の情報はまだ届いてない。


 そして、最も重要な事を視察の後に思い出したのだ。私のイチオシのクリストファー様。今なら、私と同じ少年時代。何とかレオナルドと婚約しなかったので、今すぐにでもクリストファー様の元へ赴いて婚約を交わしたい。

 今すぐにでも逢いたいけれど、この時代の移動手段は馬車。領都内での交通手段は発達しているが、他の地域やそれ以外の領では発達していないだろう。つまり、移動に凄く時間がかかるという事だ。


 正直、地理に関してはあんまり考えてなかったので、どのくらいの時間で着くかわからなかった。

 なので、いつでも逢いに行けるようにしてから猛アピールしようと決めたのだ。


 そこで、兄達に協力を仰ぎ、ほぼ出来ていた機関車をオパールレイン領まで通そうと考えたのだった。

 何で機関車かって? そっちのがロマンがあるじゃない。というか、私が機関車好きというのもある。写真を撮るのも、実際に乗るのも、前世では休日によく行っていた。まぁ、毎回日帰りで帰ってたから、疲れが取れなかったのも、倒れた原因かもしれないわよね。

 日光、真岡、秩父にみなかみ。そうそう、横川に大井川も行ったわね。遠かったわ。できる事なら、軽井沢まで機関車で行ってみたかったわ。もう叶わないけどね。


 それで、あとは線路を敷くだけという事になって、領内何箇所かには引いたんだけど、勝手に隣の領には引けないから、手紙を出そうとしたところに、オパールレイン領から手紙が届いたのよね。

 まさしく、これは私の思いが届いたって事よね。

 逢える日が凄く待ち遠しい。そう。あの応接室で逢う直前までは…………。



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