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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第8章

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20 え、私じゃないんですか?


 「やぁ。来てくれてありがとう。さ、さ。そこに掛けてくれ」

 テオドールたんのパパこと宰相のドワイト・ジェイドフォレスト様に執務室のソファへ座るよう促された。

 「じゃあ、早速だけど履歴書いいかな?」

 「えっ!?」

 え、何? 次期宰相候補として政務に携われって事?

 「はは。冗談だよ」

 ホントやめてよね。ここに来るまでそういう話ばっかりだったんだから。

 しかし、宰相候補ということはテオドールたんと結婚の可能性が…。

 「いたっ!」

 後ろにいたソフィアに思いっきりチョップて頭を叩かれた。

 「何すんのよ!」

 「くだらない事考えてそうだったから」

 だからって、チョップはないでしょうに。これ以上背が縮んだらどうすんのよ。

 というか、ソフィアの勘はなかなかに鋭いわね。

 その様子を笑いを堪えながらテオドールパパは見ていた。

 「ところで、アンバーレイクのお嬢さんはどうしてメイドの格好をしているんだね?」

 「どうも。お久しぶりです宰相閣下。今日の私はクリス様のメイドでございますわ。おほほほほ」

 「すいません。どうしてもついてくるって言うので」

 テオドールパパは得心したといった感じで鷹揚に頷いた。

 「まぁ、ソフィア嬢は少しそういうところがあるからね。まぁ、そんなところに立っていても仕方ないだろう? 気にせず座ってくれ」

 「では、お言葉に甘えまして」

 私の横にポスンと座るソフィア。結構座り心地いいよねこれ。ところで歯医者さんのソファってどうしてあんなに沈むんだろうね?


 しかし、最初ソフィアがメイド服を着てきた時はびっくりしたわ。

 まさか、私のメイドとして宰相様と会おうとするんだもの。どうしてそんな発想になったのかしら?

 そして、そんなソフィアに気軽にメイド服を貸した王城のメイドさん達にもびっくりだわ。さっきもそうだけど、いつの間にそんな仲良くなったのかしら?

 別にソフィアなんだから堂々といればいいと思うのよね。


 「ところで、お話というのは…」

 「あぁ。そうだったね」

 その為に態々来たのだ。まさか暑中見舞いなわけないものね。何も持ってきてないし…。

 「実は、うちの息子…いや娘? うん…テオドールの事なんだがね」

 「テオドールたんの事ですか? あっ」

 ついいつもの癖で呼んでしまったわ。

 「はは。構わんさ。私もテオドールの事は可愛くて仕方ないからな。正直、学園の制服を男子の方で用意した事を後悔しているくらいにな」

 手で目元を覆い俯くテオドールパパ。

 まぁ分かるわ。私も最初見た時ガックリきたもの。

 「ねぇ。そのテオがどうしたのよ」

 「!? ちょ! ソフィアいつからそんな仲良い感じで呼び合ってたのよ!」

 「話進まないから。別にクリスもそう呼べばいいじゃない」

 まぁそうなんだけどさ。

 「ところで、そのテオたんがどうしたんです?」

 「早速…」

 もう。ソフィアったら、いちいち突っ込んでたら話進まないわよ?


 「ああ。実はね、テオドールの婚約の話でね」

 「はい」

 「相手はクリスじゃないわよ」

 分からないわよ? 次期宰相として、テオたんを娶るかもしれないじゃない。

 「そうだね。まぁ、私も先日の件で強く言えないが、流石に男同士ではねぇ。後継(あとつぎ)もあるから…」

 じゃあもう解散でよくない?

 そんな私を見てため息をついたソフィアが、テオパパから話を聞いていく。

 「それで? テオの相手を探したいって事?」

 「まぁ、それに近いかな」


 「ほら、シャキッとしなさいよ」と、ソフィアから肩を叩かれたので、一応聞いていく。

 「うちのテオドールは、あの通りとても可愛いだろう?」

 「はい!」

 「アンタねぇ…」

 「それで、当の本人も可愛いもの好きでね。少女趣味と言うのかな? テオドールの部屋もうちの娘の部屋以上に女の子っぽい部屋なんだよ」

 これは、テオたんの部屋へのお誘いなのかしら?

 「ただまぁ、格好までは女の子じゃなかったんだが、いつの間にか聖女になっていたのはビックリしたよ」

 まぁ、あの可愛いさは聖女級よね。

 「ありがとう」と、テオパパが頭をさげるので、「どういたしまして」と、私も頭を下げる。

 「何? コントやってんの?」

 違うわよバカ。テオたんがどれだけ可愛いかを語り始めたところでしょうが!

 「はぁ…。で、その聖女様をどうしたいんですか? 宰相閣下」

 とうしてソフィアはそんな呆れ返っているのかしら?

 「あ、あぁ…そうだね。コホン…。まぁ、あの見た目と趣味、そして聖女という事で誰を嫁に迎え入れたらいいか悩んでいてね」

 「クリスは無理だからね!」

 私が何かを言う前に釘を刺されてしまった。

 流石にそのくらい分かってるわよ。…ホントよ?

 ガッカリとしながら話を聞いていく。

 「それでね、実はテオドールには一人好きな子がいるんだよ」

 「私ですか?」

 「んな訳ないでしょ!」

 またぞろ、ソフィアにチョップされる。暴力系ヒロインは今日日流行らないわよ?

 それにヒロインじゃないけど、お姉様で間に合ってるんだから、そろそろキャラ被りを気にして欲しいわ。

 「はは。友達としては好きだと聞いているよ」

 友達……。

 「それで、その好きな子って誰なんですか?」

 私が気落ちしながらも、痛む頭をさすっていると、ソフィアがどんどん話を進めてしまう。


 「ちょっと、難易度の高いというか、癖のあるというか」

 どうも歯切れが悪いわね。

 「小さい頃から遊んでいた子でね。多分、テオドールが原因で、その子の性格が変わってしまったかもしれないんだ」

 何やら話がめんどくさい方向に進んでいる気がする。

 しかし、テオたんの小さい頃…。さぞ可愛い事だろう。写真がないのが悔やまれる。

 「それで、両方に面識のあるクリス嬢に間を取り持ってもらえないかなと思ったんだ」

 「ええ…」

 テオたんと引き剥がされたと思ったら、今度はテオたんの相手と仲をとりもてって事?

 「それに、ソフィア嬢もいるのは心強い。どうかお願い出来ないだろうか?」

 「それで、その子って誰なんですか?」

 ソフィアが尋ねると、テオパパはその子の名前を口にした。


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