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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第8章

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11 日焼け止め


 あの後、私はいいって言ったのにプールで遊ぶ事になった。

 特にジル様は興味津々だったようで、水着選びから、プールに行くまでずっとウキウキしていた。

 「私、同人誌で勉強しましたの。夏に海やプールに入る時は日焼け止めローションを塗るのだと。塗らないとお肌が焼けてしまうと」

 参考にしたものが同人誌っていうのは目を瞑るとして、お肌に気を使うのはいいと思うの。


 「それでですね、私、背中に手が届きませんの。クリス様是非、塗ってくださらない?」

 「はい。いいですよ」

 「ありがとうございますわ〜」

 普通はジル様お付きのメイドさんにお願いするもんだと思うんだけど、そんなジル様とシェルミー様お付きのメイドさん達は、さっさと日焼け止め対策をしてシフォンさんや、うちのメイドさん達と既にプール内で遊んでいる。

 楽しそうだからいいけど、主ほっといていいのかしら? うちやソフィアのところみたいに緩いとは思えないのだけど…。

 「あんっ♡」

 「あ、ごめんなさい。変なところ触っちゃいましたか?」

 プールを見ながら塗っていたら、艶めかしい声がした。背中しか触ってないはずなんだけど…。

 「ふぅ…♡ ありがとうございますわクリス様」

 「いえ…」

 後半ずっと喘ぐような声出すんだもん。恥ずかしいったらありゃしないわ。

 凄く感じやすいんだろうけど、もう少し抑えてほしい。

 近くにいた子供達も顔を真っ赤にしているし、大きめの男の娘は股間を押さえてるし…。


 「では次はクリス様の番ですわね」

 「えっ?」

 「僕も手伝おう」

 「えっ!?」

 「いや、私は大丈夫ですから…」

 ジル様が次は私の番だと、手をワキワキさせている。そして、なぜか鼻息荒くシェルミー様も手伝うと言い出すし。

 嫌な予感しかしない。

 逃げようとしたところで、メアリーにがっちり押さえ込まれてしまった。地面が熱い…。

 「ちょっ!? メアリー、あなたは私の味方じゃないの?」

 「すいませんクリス様ー。流石に公爵家の方には逆らえませんって」

 普段ソフィアには好き勝手言ってるくせに…。

 「いやぁ。ありがとうメアリー君」

 「ありがとうございますわ。では、クリス様塗り塗りしましょうね」

 「そうですよ。ちゃんと塗り込んでおかないと、クリス様の綺麗なお肌がダメになってしまいますからね」

 現時点で地面に押さえつけられているのは無視なのかしら? これも結構ダメージあると思うんだけど…。


 その後、渋々シートにうつ伏せで寝たんだけど、背中だけでいいのよ? なんで全身弄るように塗るのよ。しかも三人で…。

 「ちょっと! そこは必要ないでしょ!」

 「もしもの可能性があるじゃないか」

 「そうですわ。シワの一つ一つにまでケアしないと…」

 「お二方の言う事は正しいですよクリス様」

 「無いです! そういう事するなら、もう遊ばせませんよ!」

 「「「すいません……」」」

 流石に悪ふざけが過ぎると思うの。

 私が強めに怒ると、ジル様とシェルミー様が素直に謝る。

 メアリーも同じように謝るけど、絶対に反省してないと思うの。

 だって、申し訳なさそうな顔してないし。なんなら舌を出してるしね。


 あーあ。プールに入る前にもう全身ビショビショだわ。

 不愉快な気分になっていたのだが、そこにメリーちゃん一行がやって来た。

 随分と時間がかかったね。だが、そんな四人を見てそれも納得だと思う。

 グリさん、グラさんは大人な水着を着ていて、メリーちゃんは可愛らしいフリフリのワンピースタイプの水着を着ていた。

 それよりも一番気になるのは…。

 「…な、何で僕がこんな格好を…」

 旧スクを着たスケキヨさんだ。胸元にはひらがなで『くりす』と書いてある。

 旧スクの上の方を必死に下に下げようとしている。意味ないのになぁ…。

 そんなスケキヨさんを見ていたら、胸がジーンと熱くなるのを感じた。

 「わぁ! とってもお似合いですよスケキヨさん!」

 「…全然嬉しくない…」

 「またまたぁ…。あ、スケキヨさんも日焼け止め塗らないと、折角の白い肌が台無しになってしまいますよ」

 「…いや、僕は…」

 「ダメです。マナーですから」

 そんなマナーやルールがあるのかは知らないが、私に力で勝てる訳がないのよ。

 あっさりとスケキヨさんをうつ伏せに寝かせて、少し脱がせて塗っていく。ふふふ…。

 それにしても、普段から引き篭もってるせいか不健康に青白い。逆に少し焼いた方がいいのでは?

 「クリス嬢、言ってる事とやってる事が…」

 「そうですわ。私もお手伝いいたしますわ」

 「ジル嬢!?」

 「やっぱりクリス様は…」


 外野がうるさいな。私は今楽しんでるから、そっちはそっちで遊んでてくださいな。

 途中参戦したジル様と二人でスケキヨさんの全身にくまなく塗り込んでいく。

 終わった頃には、真っ赤な顔で涙を流していた。水着もはだけているし…。そそるわぁ…。

 「素晴らしいですわ」

 「えぇ。全くです」

 「…もうやだ…」

 ジル様と熱い握手を交わして微笑んだ。ジル様も相当いい趣味をお持ちで…。

 ちなみに一部始終見ていたメリーちゃんがちょっとドン引きしていた。

 グラさんとグラさんの二人は、その様子をビデオカメラで撮っていた。後で下さい。


 「ふっ…。では、次は僕の番かな?」

 そう言ってシートに仰向けで寝るシェルミー様。

 この人はホントに男らしく堂々としてるわね。

 「で、では…僭越ながら、私が…」

 「よろしく頼むよ」

 メリーちゃんがおずおずと申し出ると、王子様スマイルで承諾するシェルミー様。

 「ジル様はやってあげないんですか?」

 「どうして私が?」

 「いや、なんでもないです…」

 仲良いのか悪いのか分からないなぁ…。


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