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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第8章

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10 新鮮な顔ぶれ


 あの後ソフィアは怒って家に帰ってしまった。

 バカンス気分だったステラさんがぺこぺこ頭を下げて一緒について帰っていった。

 一体何が不満だったんだろうか?

 だって、女装してる子を見て色めき立つなんていつもの事なのに。


 「シフォンさんは一緒について行かないんだね」

 「ステラがいれば大丈夫です。折角のバカンスですよ? なんで仕事に振り回されなきゃいけないんですか?」

 この考え方、うちのメイドさん達に相通づるものがあるわね。主より自分優先。まぁ、私は何でもできるからいいんだけどさ。

 そんなシフォンさん含め一同は今、うちの応接室でソファにゆったりと沈み込んでいた。

 シフォンさんはアイスティーを飲みながら寛ぎ、スケキヨさんとプレオさんはアイスティーをがぶ飲みして、ぐったりとソファに身体を預けていた。

 シェルミー様とジル様はソファにゆったりと身体を沈め悠然としている。後ろには一緒に来た従者の方々が整然と並んでいた。

 やっぱりちゃんとした貴族だと、佇まいとか全然違うね。なんというか、ただ座っているだけなのに、神々しいオーラが見えるもの。


 しかし、こうして見ると新鮮なメンツだな。

 「ところでシェルミー様にジル様はどうしてこちらに?」

 「ソフィア嬢が抜け駆けしてるんじゃないかと思ってね。案の定当たっていたけれど…」

 シェルミー様が歯切れの悪い言い方をする。

 「ええ。急いで来たのですが、やっぱり距離があると不利ですわね」

 ソフィアに対抗して何をするつもりだったんだろうか?

 「それにしても…、分かっていたつもりだけど、さっきのアレは良くないんじゃないかな?」

 「えっ?」

 「いや、彼女…いや、彼かな? 態度が違かったじゃないか」

 「すいません。かわいい男の娘には目がないもので」

 シェルミー様とジル様が互いに見やって何かコソコソと話し出した。

 「(なぁジル嬢、私も女の子の格好した方がいいだろうか?)」

 「(シェルミー様はメイクとかで相当に誤魔化さないと女性に見えませんから諦めた方がよろしいかと)」

 「(そ…そうか…。しかし、何だね。クリス嬢の趣味というのも中々に特殊だね)」

 「(貴女がそれをいいますの?)」

 「(いや、これは父の…いや、なんでもない…)」

 シェルミー様ががっくりと項垂れた。

 その横でジル様がいつも持ってる扇子で口元を隠す。

 「とりあえず、暫くお世話になりますわね」

 「えっ…あ、はい。今すぐお部屋とか用意させますね」

 「よろしくお願いしますわ」

 凄く嬉しそうな顔をするジル様。こういうかわいい顔も出来るんだな。なんかドキッとしちゃった。

 一瞬ジル様の眉が動いた気がしたけど、気のせいかな?

 私が振り向き目配せすると、後ろにいたビシューさんとロココさんが恭しく礼をして出て行った。


 「あ、シェルミー様とジル様の従者の方々にも部屋を用意してますので、うちではゆったりと寛いでくださいね」

 そう言うと、一切に頭を下げるメイドさん達。やっぱりちゃんとしたところのメイドさんはしっかりしてるなぁと思っていたんだけど…。

 「うっしゃあ!」「こっち来て良かった」「こっちが正解だったわね」「流石クリス様」「そういえば外に泳げる場所あったわよ」「マジで!」等と一気に浮かれモードになっていた。

 シェルミー様とジル様が苦笑いしていたけど、どこの従者も同じなのね。

 チラッとシフォンさんの方を見る。

 「何ですか?」

 「いや、何でも…」

 ない…と言おうと思ったが、今日のシフォンさんは随分と可愛らしいガーリーな服装をしている事に気付いた。


 「その服って…」

 「あ、これですか? アマベルさんとエペティスさんにコーデしてもらいました。あの二人の選ぶ服はどれもかわいいですからね、公爵家のメイド達からも一目置かれてるんですよ」

 そういえば、アンバーレイク家のメイド服っていつの間にか、うちのメイド服みたいにコスプレ感強めのかわいいのになっていたけど、あの二人が関わっているんだろうか?

 私の着る普段着もあの二人が選んでいるしね。まぁ、納得ではあるわ。

 「スケキヨ様ももっと可愛くなれますよ」

 「えっ…いや、僕は…」

 いきなり振られて、ぐったりしていたスケキヨさんが青天の霹靂みたいな顔してるけど、女装してる時点で分かってましたよね?

 相変わらずプレオさんは上を向いてぐたーっとしていた。


 そういえば、メリーちゃんはどこ行ったんだろうか?

 そう思っていたら、丁度グリさんグラさんの二人を伴って部屋に入ってきた。

 そして、二、三シェルミー様と話して、シェルミー様の膝の上にちょこんと座った。

 顔を真っ赤にして「えへへ」と言いながら嬉しそうに座っている。

 後ろで侍るメイドさん達も、ほっこりしている。

 メリーちゃんはああいう王子様好きなんだろうなと思ったんだけど、シェルミー様一応女の子よ?

 自己紹介でも女性と言っていたけど、忘れてるのか、納得してるのか分からないわ。

 しかし、シェルミー様の近くにグリさんとグラさんもいるけど、あそこだけハリウッド映画のワンシーンみたいだ。

 これから恐怖に陥る映画の導入みたい。


 それから暫くメリーちゃんがシェルミー様にいろいろ質問攻めしており、ジル様が一人ポツンとなっていたので、私が話し相手になって過ごしたのだった。



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