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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第8章

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07 プールで遊ぼう②


 プールに入るとヒンヤリと気持ちいい……。

 そういえば、この世界に転生してから泳いだ事ないけど、泳げるだろうか?

 「………」

 あ、平泳ぎは余裕で出来るわね。じゃあ大丈夫そう。クロールとか背泳ぎは、場所が無いから後で試してみよう。

 そのまま平泳ぎで進んでいく。水をかき分ける感触が気持ちいい…。

 「っ!」

 いきなり何か柔らかいものに当たったなと思ったらボール……。いやおっきな胸だった。

 「お! クリスっちったら。へぇ…意外と大胆じゃん…えっち…」

 どうやらクオンさんにぶつかってしまったようだ。おかしいな前には誰もいなかったはずなのに。

 クオンさんが、なぜかニヤニヤしている。なんでだ?

 腕で胸を隠すポーズをとっているが、これまた際どい水着を着ているわね。

 ギャルっぽい格好してるから一番魅力的に見えてしまう。たゆんたゆん。

 一緒にいたプロフィアさんも似たような水着を着ていた。たぷんたぷん。

 周りにいた子供達も顔を真っ赤にして眺めている。

 何? ここには教育に悪い人しかいないのかしら?


 「いやぁ…。プールっていいよね」

 クオンさんがニコニコしながら言う。泳ぐの好きなのかな?

 「昔よく眺めに行ったっしょ」

 あ、これ違う目的で行ってるわね。

 「私もプールは好きですね。よくナイトプールに行ってました」

 この人も違う目的で行ってたのね。

 「でもまぁ、こうして遊んでるのが一番っしょ」

 「そうですねー」

 二人とも背を下にしてリラックスし始めるが、浮力が強いのか、かなりの面が水の上にある。双子島が二つも…。

 「っ!」

 今度こそボールで後頭部をぶつけられた。

 振り返ると、ソフィアが不機嫌そうな顔でこっちを見ていた。

 「クリスったら…」

 別に私変な事してないわよ?


 近づいてきたソフィアに気づいたクオンさんとプロフィアさんが、ボールを見て口角を上げた。

 「これでうちらと勝負する?」

 「あら、いいわね。折角だしやりましょうか」

 「折角だし罰ゲーム有りにしない?」

 「いいわよ。で、何にするの?」

 「そうねぇ…。プロっちなんかある?」

 「え、考えてないんですか?」

 「いやーノリで言っただけだし。そっちのがそういう経験豊富っしょ?」

 「ふむ…。じゃあ…あそこのスライダーから降りる時、裸で降りましょう。降りた先に水着を置いとけばいいかな…と」

 何考えてんのこの人。清楚そうな顔してとんでもない事言ってるわね。昔のテレビでもそこまでやってないわよ。やってないわよね?


 流石にソフィアもクオンさんもドン引きしている。

 「いやー、それは流石にないっしょ」

 「そうね……。あっ! 安全性に問題がないか、試しにクリスやってみて」

 「お、いいじゃんそれ。クリスっちやってよ」

 「言い出しっぺですが、いいアイデアだと思います」

 ソフィアのとんでもない提案に二人が乗っかってくる。

 「絶対にやだ」

 「おかしいわね。昔のクリスなら二つ返事でやってくれたのに…」

 悲しそうな顔をしてるけど、今の一度だってそんな事した記憶ないんだけど。勝手に記憶の捏造して既成事実化しないでもらえるかしら?


 そんなバカなやり取りをしていたら、ど貧乳イタズラ三人娘もやって来た。これは収集がつかなくなりそう。

 「何? ボール持ってるけど、何か勝負する感じ?」

 「あ、罰ゲーム入れたらいいじゃん」

 「それ、さんせー」

 ほらぁ…。

 アリスとメタモが、悪巧みしてそうな顔をしているもの。

 「だそうよクリス? だからってその罰ゲームは嫌だ」

 「あら。クリスはもう負ける気でいるのね。何の罰ゲームかは知らないけど」

 知らない方がいいんじゃないですかね。


 結局なし崩し的に、二組に分かれてやる事になったんだけど……。

 「バカな事やってるわねぇ」

 「あっちのチームじゃなくて良かったわ」

 プールサイドに上がって、ベンチに座って他人事のように話すお姉様とソフィア。

 ちゃっかりテーブルの上には飲み物と食べ物がある。

 そして、スライダーの上では涙声で叫ぶアリスとメタモ。プールの中では必死に水着を探すクオンさんとプロフィアさん。

 水着はさっき子供達が拾ってどっか持って行きましたよ。

 人の嫌がる事は提案すらしない方がいいと思うの。どうせ自分に振り返ってくるんだから。

 お姉様とソフィアはあっちの四人よりも食べ物に夢中になっている。花より団子ってやつね。

 なんか、二人見てたら私もお腹空いちゃったわね。何か食べようかしら。


 屋台というか、ちゃんとコンクリートみたいので調理スペース作ってあるのね。中にはエアコンまで付いている。

 「クリス様。お久しぶりですね」

 調理といえば勿論この人ベルシックさん。ベルさんも水着だけど、やっぱりおっきいな。

 「何にしますか?」

 「そうねぇ」

 かなりメニューがあるわね。

 ラーメン、蕎麦、うどん、焼きそば、アメリカンドッグ、フランクフルト、フライドポテト、肉まん、かき氷、ソフトクリーム……。

 「肉まんちょうだい」

 「はーい。あ、これパッド代わりにしてプール入らないでくださいね?」

 「そんな事しないわよ。というか、誰かそんなバカな事やった人いるの?」

 いるんだろうなぁ…。苦笑いしてるもん。

 「はいどうぞ。お熱いので気をつけて下さいね」

 「ありがとう」

 渡された肉まんはかなり大きい。そういえば、昔子供の頃はプールに行くと大抵肉まん買ってたなぁ。懐かしい。


 そうそう。肉まんといえばカラシよね。ギョーザのタレっぽいのかけてもいいけど。それの味になるし、生地がベチャるのよね。

 「あ、クリス様はカラシ派なんですね」

 「そうだけど、ベルさんは?」

 「私もカラシ。それも和芥子派ですね」

 「あら、気が合うのね」

 「そうですねー」

 そうよね。だって買うとカラシついてくるものね。

 肉まんを持ってお姉様とソフィアのところに戻る。

 「あら、肉まんにしたの?」

 「ええ。好きなんで」

 「そう。それ熱いからパッド代わりにしちゃダメよ? 水に濡れたらベチャベチャになっちゃうから」

 私犯人分かったかもしれない。

 「そういえば、クリスは肉まんに何かつけるの?」

 「私? 私はカラシつけるわよ」

 「そうなんだ。よくカラシつけてもらうけど、私はそのまま食べちゃうなぁ」

 ソフィアは何もつけない派かぁ。

 「そうなんだ」

 「カラシってツーンてするじゃん」

 「つけ過ぎなんじゃない?」

 「つけ過ぎるのが美味しいと思うのだけれど」

 おっとお姉様はたっぷりつける派ですか。

 「たっぷりのカラシとソースつけるわ」

 「え、ソース? 醤油とか酢醤油じゃなくて?」

 「合うの?」

 私とソフィアもちょっと驚いている。

 「な、何よ。試してもないのに否定しないでよね」

 そりゃそうだわ。お姉様の言う通り、試さずに否定するのは良くないわよね。

 「じゃあ、機会があったら試してみます」

 「ん」

 でも、ソフィアはぶつぶつ何か言い続けていた。

 気にせず、まずは一口。

 …!?

 うっまぁ。流石ベルさんの作る肉まんだわ。これは何も付けなくてもいいわね。

 食べながらプールの方を見ると、子供達が水着を持って投げたりしている。そしてそれを四人が真っ赤な顔で追いかけていた。

 楽しそうでなによりだわ。


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