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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第8章

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05 水着を選ぼう


  お父様の執務室を後にして、自室へ戻るとソフィアが目をキラキラさせながら勢いよく近づいてきた。

 「ねぇねぇクリス!」

 「わ! ど、どうしたのよ…」

 「プール! プールがあるのね」

 「プール?」

 そんなのあったかなと思って、ベランダに出て庭を見回すとあった。

 それもかなり大きいプールが奥の方に作られていた。おっきな滑り台みたいのもある。

 帰ってきてヴェイロンにしか意識が向かなかったから気づかなかったわ。

 そのプールでは子供達が大勢楽しそうに遊んでいた。多分お姉様もあの中にいるのだろう。

 「ね、ね! 私も入りたいんだけど」

 「いいけど水着あるの?」

 「ないわ」

 そんな堂々と言われても。

 無かったら裸で入るつもりだったんだろうか?


 「話は聞かせてもらいました」「早速興味を示されると思ったので用意しております」「ずっとスタンばってました」

 うちのメイドのアマベルさん、エペティスさん、ザスターさんがそれぞれ天井裏、床、クローゼットから飛び出してきた。

 なんかもうね。毎回こうやって登場するんだけど、私のプライベートって無いのかしら?

 続けて扉からちゃんと入ってきたミホさん、モワさん、マーブルさんが、三つハンガーラックを持ってきた。

 そこにはかなりの種類の水着が掛けられていた。

 「クリス様、ソフィア様。どうぞお気に召すものをお使いください」

 「わぁ! ありがとう。クリスのところのメイドさんってホント気が利くわよね。欲しいものを直ぐに用意してくれるんだもの」

 「とんでもございません。主の欲するものを用意するのはメイドとして当然の事でございます」

 「例えばこれなんてどうでしょうか」

 「あらかわいい!」

 三人のメイドさんがそれぞれソフィアに水着を見せている。

 ただね、『主の欲するものを用意』なんて言ってるけど、ただ単にあなた達が着せたいものとソフィアの考えが一致してるだけだと思うのよ。


 「では、クリス様も水着選びましょうか」

 ザスターさんがニマニマしながらそんな事を言うが、その手にしている。紐しかない水着は却下よ。

 あと、エペティスさんの持ってるその貝の水着も却下。何でそんなものがあるのよ。誰よ作ったのは…。

 「全く二人はそんなネタ枠の水着をクリス様が着るわけないでしょう?」

 そんなアマベルさんが手に持っているのはスク水だった。旧スクの方じゃなくて新スクの方。胸元に『くりす』とひらがなで書いてある。

 「これを作ったのは一体誰なのよ……」

 呆れて、つい声に出してしまった。

 「あ、これはプールを施工してもらった時に、シド様とムック様から教えていただきました。他にもバリエーションありますよ?」

 ハンガーラックを手前に寄せるとちゃんといろんな種類のスク水がかけてあった。そうね。着るとしたらそのスカートがついてるタイプでしょうね。アソコが覆い隠せるもの。

 というか、案の定あの二人が絡んでいるのね。

 「あら。お兄様にしては珍しくグッジョブだわ」

 ソフィアがふむふむ言いながら近づいてきた。

 「一回着てみてよ」

 「え、やだけど…」

 「なんでよ!」「なんでですか!」「着てくださいよー」「この為に用意したんですよ?」「できる事なら全部着てください」「態々クリス様の名前まで書いたのに」「洗濯の心配はご無用ですよ」

 みんな一斉にツッコんで来るのやめて。毎回のパターンだけどさ。

 というか暑苦しいわね。

 これは適当に選んでプールに行った方がいいわね。


 「知らないわよ。あー…、これ! これでいいわ」

 とりあえず手に取ったのはセパレートタイプのピンクの水着だった。幸いフリルのスカートが付いているので、下半身に関しては問題ないわね。

 「試着しないのですか?」

 「しない。してたらプールに入る時間なんて無くなっちゃうでしょ?」

 「「「「「「「あー…確かに……」」」」」」」

 何でみんな一斉にハモるのよ。

 「それよりソフィアはどれを選んだの?」

 「ん? 私? 私はこれ」

 それは大人っぽい真っ赤な水着だった。よく海外のリゾート地で見るようなタイプのものだった。

 「ふふ…。これを着た私を想像してるわね?」

 「え? 全然」

 「………………」

 「ちょ! いたっ…痛いって…」

 バシバシと叩いてくるソフィア。

 何よ。何でそんな叩いてくるのよ。そしてどうして涙目になっているのかしら?

 あと、メイドさん達がみんな呆れた顔をしているのはどういう事なの?


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