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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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28 文化祭二日目⑦


 文化祭の演劇とかってこんなに面白かったのね。

 これは次も気になるわね。

 次は誰が出るのだろうかと見ていたら、幕が開き、ドラムやキーボード、アンプなどが置かれていた。

 今度は演奏なんだなと思っていたら、颯爽と細身のダークスーツを着た集団が現れた。

 !?

 え? マジで? ボーカルソフィアじゃん。

 金髪にスーツ姿で登場するなんて…。かっこいいじゃん。

 よく見たら、ギターの一人はクオンさんだ。左側は金髪。右側は黒髪に染めていて、誰に影響受けてるか分かりやすいわ。

 対するもう一人のギターはプロフィアさんだ。こっちは髪の毛が赤い。二人ともがっつりメイクしてる。

 ドラムはギガさんだ。珍しく女の子っぽい髪型になってる。意外。

 ベースはシグマさんがやるんだ。髪の毛をゆるくアップにしてうなじが見えるようにしてるけど、そこだとあんまり意味が無いのでは?

 最後にアンジェさんがキーボードをやるようだ。アンジェさんのスーツ姿も新鮮だわ。いつもと違って編み込みの多い髪型をしている。

 ソフィアはいつもと変わらないかと思ったけど、編み込んでいるわね。

 「あら、ソフィアちゃんが歌うの?」

 「ソフィアは歌も演奏も上手ですよ。学園でも有名ですし…。まさかここで歌うなんて思いもしませんでしたが…」

 「あらそうなの? 楽しみね」

 「へぇ…あの子がねぇ……」

 イデアさんはなぜかしみじみと見ていた。


 会場は一気に暗くなり、ギターのかき鳴らす音が聞こえた。

 あれ…このイントロ聞いたことがあるぞ。まさかね……。

 「ウォウウォウー! ウォーウォウウォー……」

 やりやがったわね。まさかあの曲をやるなんて。

 というかいいの? ねぇやっちゃっていいの?

 心の中で呟いたところで誰も答えてはくれないのだけれどね…。

 演奏に合わせた照明がソフィア達を照らす。

 この世界でロックの演奏なんて初めてなんじゃないかしら?

 そしてソフィアが歌い出す。

 歌詞に合わせて私の方を見つめて指を差すソフィア。私の周りにいる生徒達が「キャーキャー」言いながら盛り上がる。

 しかし、あの人達も演奏巧いなぁ。というかギターとかベースとかよくあったね。多分ソフィアのところで用意したんでしょうけど、何でもありね。


 演奏が終わると会場全体が縦に揺れる。

 いや、さっきもみんな立ち上がって盛り上がってたんだけど、今は熱気が凄い。

 というかですね、野暮かもしれないけど、日本語と英語で歌ってるんだけど、今更よね。

 「ありがとー。みんなありがとー。盛り上がってるー?」

 ソフィアの問いに対して、みんな叫びながら返していた。

 「まだまだやるわよー。今日はねー特別ゲスト呼んでるわー」

 そう言ったと同時にマーガレットが現れた。もちろんスーツ姿だ。

 まぁ、みんなソフィアとマーガレットが仲良しなのは知っているんだけど、こうしてこういう場所に出てくるのは意外だわ。

 二人が抱き合うと、黄色い悲鳴があちこちから聴こえてきた。

 そんな二人が向かい合うと、特徴的なドラムのイントロが始まった。

 ソフィアとマーガレットが向かい合って見つめ合う。

 そしてマーガレットが歌い出す。

 普通にマーガレットも巧いなぁ…。

 ソフィアも合わせるように歌い出す。07年のアレみたいよね。最近もアンコールで共演したしね。

 周りを見ると、もうみんな慣れているのか特徴的な腕の振りをしている。順応性高すぎじゃない?

 二番になるとソフィアから歌い出した。

 やっぱいいなぁ…この曲。さっきのもそうだし、これもそう。青春ど真ん中なのよね。

 ソフィアが解除に向けてマイクを突き出す。

 「ソダーイ!」

 何で知ってるんですかね?

 クオンさんもプロフィアさんも楽しそうに弾くわねぇ…。

 そしてまた曲が終わり、ギガさんがドラムを叩き続けている。

 そして、ソフィアとマーガレットが同時に腕を振り下ろして曲は終わった。

 これをやったんならあと一曲あるよね?

 予想は的中したようで、ソフィアがイントロ無しで歌い始める。

 90年代のクルクル回るMVの曲三曲やったのね。

 なぜかクオンさんが棒を咥えているけど、タバコじゃないわよね?

 これもソフィアとマーガレットが交互に歌い、それぞれコーラス部分も歌う。

 マーガレットがふざけてソフィアの頬にキスをすると、会場がはち切れんばかりに黄色い絶叫が轟いた。

 「……ァーーーィズ……トゥートゥットゥトゥートゥーー………」

 凄い盛り上がりね。よく体育館が壊れなかったわ。

 王妃様もお母様もルキナ王女もイデアさんもお兄様もみんな立ち上がってノッていた。まぁ、気持ちは分かるわ。だって私もノッてたんだもの。軽くジャンプしたりね。

 「ありがとー。ライブハウス体育館へ来てくれてありがとー」

 それ言いたかっただけちゃうんか?

 流石にアンコールの文化が無いからか、そのまま終わると思われたが、どこからか「アンコール」と聴こえた。

 時間大丈夫なんだろうか?

 三曲で十分ちょいだけど、どうなんだろう?

 遠くの方で先生らしき人が大きく腕で○を作っていた。

 これにはソフィアも苦笑い。

 ソフィアがクオンさん達と何やら話し合っている。多分何の曲をやるかってことなんだろうけど……。

 同じくクルクル回るものだと、暗い部屋でゆっくり動く物とか、ポリゴ○ショックみたいな目に悪いのとかあるよね。あとは、この流れだといろいろ候補があるわね。


 お。どうやら決まったようだ。

 「じゃあ最後に聞いてください……」

 プロフィアさんがギターを弾いていき、ソフィアが歌い出す。

 ……あぁこの曲かぁ。

 1/3も伝わらないって…、ソフィアは誰かにそういう感情でもあるんだろうか?

 歌い終わると、再度みんな立ち上がって盛大な拍手を送っていた。

 メンバーもみんな手を振ってハニカミながら退出したところで幕が下りた。

 なんか凄いものを見た感じがする。

 ソフィアもよくあれだけ声を出せたなぁと感心する。

 高いところは勿論、低いところもちゃんと出せている。最近の人って高いところばっかりなのよね。まぁ、いろいろ言いたいことはあるけど今は言うことじゃないわね。

 それにしても楽器隊もよく弾けたわね。

 転生三人娘は前世の記憶があるから弾けるんだろうし、それぞれ推しの髪型と色にしているから分かってて協力してるのよね。

 アンジェさんもうちではたまに弾いてるの見るから出来るとして、一番驚いたのはシグマさんだわ。

 ベースなんて弾いたことも無かったでしょうに。

 というか普通にかっこよかったんだよなぁ。あの路線でいけば絶対に結婚出来ると思うのよ。

 あと、マーガレットの参加もびっくりしたわ。

 校内でも話題の二人だしね。抱き合ったりキスした時は黄色い悲鳴が多かったのも頷けるわ。

 ……うん。あっという間だったわ。

 今日の演目はさっきので終わりみたいだ。

 「なんか凄いものを見たわね」

 「ほんと凄かったですわねお母様」

 「なんか私もやりたくなってきちゃったわ」

 「お母様、私もですわ」

 王妃様と王女様は早速興味を示されたようだ。アイドルからロック歌手へ転身ですかね?

 「ねぇクリス? 私もやってみようと思うのだけど」

 おっと。うちのお母様も興味を持ったようですね。

 「いいんじゃないですか?」

 「クリスも一緒にやらない?」

 「やりたいのはやまやまなんですが……」

 私音痴なのよね。楽器も下手だし。練習すれば出来るかしら?

 そんな感じで興奮冷めやらぬ会場は、熱気に包まれたまま終わりを迎えた。


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