表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

459/543

26 文化祭二日目⑤


 あの後、流石に開始前に行かないのはまずいなと思って、みんなの所へ行った。

 汗と埃まみれだったけど、もし聞かれたら転んだ事にすればいいでしょ。

 「参加できなくてごめんなさい」

 「大丈夫ですよ、クリス。うちの母上の相手をしていたんですよね?」

 「ええまぁ。いろいろ案内してましたが」

 「でしたらしょうがないですよね。その制服の汚れも何かあるんでしょうし」

 レオナルドにはお見通しだったかな? やんわりと王妃様のせいって事になっている。まぁ、大体合ってるんだけどさ。

 ちなみに中々参加できない事には、他のクラスメイトも納得している。ほんと申し訳ないわ。

 でも、そんなに恐縮していてもしょうがないのよね。恐縮しすぎても嫌味になっちゃうし。

 それにしても、みんな衣装に着替えているが、凄いな…。

 「これ、完成度凄いわね」

 「でしょう? トミー達が頑張ってくれたのよ」

 ソフィアがトミー様の肩に手を置いてニカッと笑っている。

 「やっぱり、妥協できないですからね。遠くから見ても分かる様にしてあります」

 衣装チームの本気度が凄い。トミー様もドヤ顔でいろいろ説明してくれた。

 あと、メイクもすごいな。カイラ様達メイクチームもすごい。シェルミー様もレオナルドもちゃんと女の子になっている。

 普段の彼等を知っていたらみんな驚くだろうな。

 みんな準備万端でやる気に満ちている。なんか、これだったらもう少し参加した方が良かったなぁ…。ちょっと疎外感を感じる。


 あ、そうそう、これだけは言っておかないと。

 「レオナルド殿下…」

 「はい! なんでしょうクリス!」

 凄い勢いで近づくレオナルド。そんなかわいい格好で来られたらドキッとしちゃうわよ。

 そんなレオナルドは、一瞬眉間に皺を寄せると、私の首の辺りに顔を近づける。

 「なんかメアリーの匂いがしますね」

 こっわ…。なんでそんなピンポイントで当てられらの?

 まぁ確かにキスしたり、お姫様抱っこされたりしたけど、だからって…。

 「え…えぇ。一緒に回っていましたので。それにしてもよく分かりましたね」

 「えぇ。クリスにしてはやたらと食べ物の匂いがついていたので。あとメアリー特有の香りと言いますか…」

 こっわ…。

 私の周りにはどうしてこんな人ばっかりなのだろう。

 ……うん。先程の爆弾騒ぎの事でも思ったけど、改めてレオナルドには言わないといけないわね。

 でもまぁ、演劇前にそんな事言って演技に支障が出たらいけないから、これは後で言うとして…。

 「レオナルド殿下、ルキナ王女もお見えになってますよ」

 「えっ! ルキナが…」

 こうして見ると、やっぱりレオナルドはかわいいんだけど、やっぱり男の子の部分あるよなぁ。ルキナ王女がかわいいというのはあるんだろうけど、ウィッグとメイクをしても、意外と似ないんだなぁ。

 というか、それ無しでもかわいい私が異常なのかしらね?

 そんな事をレオナルドを見ながら考えていたら、レオナルドがおずおずと口を開く。

 「出来れば、ルキナには私が出演している事は黙っていて欲しいのですが…」

 「バレてますよ? 王妃様も王女様もレオナルド殿下目当てですし。頑張ったください」

 一瞬目線を下にして着ている衣装のスカートを掴んだ。

 そして、再び私の目を見てニヤリと笑った。

 「では、見ていて下さい。私が完璧に演じて見せますからね。後でちゃんと女性らしく出来ていたか評価してくださいね」

 「えぇ、分かりました」

 その後、他のクラスメイト達と二、三言葉を交わして、王妃様の待つ席へ向かった。


 体育館の中はかなりの人数で、恐らく私の席は無いだろうから、護衛みたいな感じで立っていようと思ったら、ちゃんと席がとってあった。

 「クリスちゃんここよ〜」

 王妃様が立ち上がって、片腕を上げて手を振っている。近所のおばちゃんみたいな感じね。

 「まさかあるとは思いませんでした。ありがとうございます」

 「いいのよ〜。レイチェルが必死に死守してたからね」

 お母様の方を見ると、ドヤ顔で座ったいた。

 「ほらやっぱり娘と並んで見たいじゃない?」

 お母様の左側が私。右側がお兄様(お姉様)だ。

 まぁ、二人とも女装してるけど、一応は息子なんだよなぁ。まぁ、私もお兄様もそんな気はさらさらないんだけどさ。

 そして王妃様の右側にはルキナ王女とイデアさんが座っている。

 「あれ、お姉様は?」

 「あそこよ」

 お母様が指し示す方には一箇所立派なバルコニー席があった。あんなのいつの間に作ったのよ。というか、本来なら王妃様をあの場所に座らせるべきでは?

 でもまぁ、お姉様だしね。通常運転よね。それに多分言っても辞退しただろうしね。

 それにしても多いな。体育館後方にはカメラが何台も設置してあった。もうメチャクチャね。

 「なんでしたかしら、ライブビューイングって言うそうで、入れない人用に何箇所かに大きな映る板を置いて見れるようにしているらしいですわ」

 ルキナ王女が、顎に指を当てて考える様に話す。

 あぁ…。モニターね。凄いな。多分ソフィアのところが噛んでるんだろうけど、多分実行委員長がアンバーレイク家と交渉したんだろうな。

 ソフィアから何も聞かされてないし。もう何も突っ込むまい。

 「ほら、そろそろ座ったら? 始まるわよ」

 「そうてすね。では失礼して」

 うちのクラスの舞台が始まる。練習風景も殆ど見ていないから凄く楽しみだわ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ