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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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22 文化祭二日目①


           *      


 文化祭二日目。

 この日は外から一般の方が見にくる日だ。

 王都内外の一般人から貴族と幅広く訪れる。まぁ、全員が全員お行儀のいい人じゃないんだけどね。


 私は朝一でスミカ様に呼び出されて、今はお姉様達と一緒にある方がお見えになるのを待っている。

 本当ならクラスのみんなとミーティング等をするはずだったのだが、仕方ないね。

 「ごめんなさいねぇ。どうしても指名が入っちゃってねぇ」

 「いえ大丈夫ですよ」

 正門近くに控え待っている。

 ちなみに、私とスミカ様とお姉様以外にシグマさんとアンジェさんも控えている。

 いろんな人達が正門から続々と入ってくる。

 こうして見ているといろんな人が訪れるんだなと思った。中には確実に文化祭に興味があるようには思えないような人もいるけれど、どういった人なんだろうか?

 それと、明らかに怪しい雰囲気を持った人達も何人かいた。

 その他には見間違いだろうか? うちの使用人さん達っぽい人が私服でその人達の後を追っていたんだけど、あの人達も見た目そっち系だから似ているだけの可能性もあるし、この位置からだとよく分からないわね。

 「ねぇお姉様?」

 「大丈夫よクリス。全部手筈は整っているから」

 「そうですか」

 何が? とは言っていないのだが、私の考えている事に気付いているのか、それとも勘違いしているのか聞くに聞けない。


 そんな事を思い悩んでいたら、大きな集団がやってきた。

 私服姿の騎士団の人達とうちのメイドさん達だ。

 その中には王妃様と見知った顔がちらほらとあった。

 「あらぁ…まぁまぁまぁ。みんなでお迎えしてくれるなんて嬉しいわぁ」

 「王妃様、本日はアルマース学園の文化祭へお越しいただき、ありがとうございます」

 スミカ様が恭しく礼をする。

 「いいのよぉ。うちのレオちゃんがいるんだもの。来ないわけにはいかないわぁ。それにもちろんクリスちゃんもいるんだもの。来ない方がどうかしているわ」

 「そうですか。奇遇ですね。うちの娘も今年学園に入学しておりまして、私も楽しみなんですよ」

 「あらぁ。そうなのぉ。じゃあみんな一緒ね」

 王妃様が目の前でスミカ様と話していて見えなかったけど、後ろの方にも結構いるなぁ。

 首を動かして確認すると…お母様とお兄様。それとイデアさんとグレート様。王妃様付きメイドのラムダさんがいるね。お父様とサヴァさんはいないんだな。

 あれ? もう一人いるな。

 「実はねぇ。うちのルキちゃんも見て見たいって言うから連れてきたの。あ、夫とライちゃんはお留守番ね」

 私の方をじーっと笑顔で見ているのは、この国の第一王女ルキナ様だ。王妃様に似てめちゃくちゃ美人だよね。レオナルドが女装したところで絶対に敵わないよ。

 そして私がチラチラ見ていたからなのか、お母様がにんまりとした笑顔でこっちを見ている。

 お兄様は相変わらず完璧ですね。少し汗ばむ季節なのに、真っ黒なヒラヒラのゴスロリ衣装だ。ちゃんとボンネットのヘッドドレスもつけている。

 私は生えないんだけど、お兄様はヒゲとか生えるのかしら? 生えてるの一回も見た事ないのよね。お父様はよく無精髭を剃らないでお母様に怒られてるけれど…。

 グレート様は多分王妃様の護衛の体で、本当はウィリアムに会いにきたんだろうな。ウィリアムもおばあちゃんっ子だしね。

 というか、さっきまであんなにいた騎士団の人達やメイドさん達が誰一人としていないんだけど。護衛の任務はどうしたのよ?

 まぁ、みんなの方が強いからっていうのはあるかもしれないけど、いくらなんでも職務怠慢過ぎない?

 もしかして私服で来たのって、文化祭で楽しむためだったりする?

 チラッと屋台のある王を見ると、いるわいるわ。もうみんな色々買って食べてるわ。

 …………まぁ楽しんでいただけるなら何よりだわ。


 さて、来るとは言っていたが、本当に来たんだなイデアさん。

 他のみんなと同じくらい豪奢なドレスを着ているからか、いつも以上に神々しい。まぁ本物の女神様なんだけど、なんて言うか…凄く綺麗だわ。こう言う時馬子にも衣装って言えばいいのかしら?

 そんな凄い集団がいるからか、周りにいた生徒達も呆然と立ち尽くして見ていた。

 「え…掃除のおばちゃんじゃなかったのか」「王妃様と一緒にいるって事は…」「そんな凄い人だったの? 何者?」「なんか女神様って感じするな」「じゃああそこに女神二人いることになるじゃん」「待って前生徒会長もいるわ。かわいい」「おい。そんな事言ったら今の生徒会長に殺されるぞ?」「うわ! レイチェル様もいるー」─────

 なんか一斉に囲まれてしまったわね。有名人は辛いわ。

 「なんか失礼な事考えてそうだったけど、チャラにしてあげるわ」

 流石は本物の女神様冴えてますね。

 でもどうして私の手を握ってるんですかね?

 「じゃあ、学園内案内してくれるのよね?」

 「待ちなさいな。クリスちゃんは私と回るのよ。ねー?」

 「待て待て。クリスは私と回るんだ。親子なんだからな」

 いやぁ…人気者は辛いな。

 「何よ。レイチェルはルイスちゃんがいるじゃない。あとサマンサちゃんも」

 「王妃様はルキナちゃんがいるじゃないのよ」

 「イデア様。流石に女神とはいえここは引けませんわ」

 「そうね。ぽっと出の女神がクリスちゃんとデートなんて百年早いのよ」

 王妃様もイデアさんが女神だって知ってるんだ。まぁ、イデアさん神出鬼没だし、どこで何しててもおかしくないしね。

 「分かったわ。じゃあじゃんけんで決めましょう」

 「そうね。恨みっこなしよ」

 「決まっても文句言わないでよね」

 「「「最初はグー、じゃんけん…………」」」

 なんか高貴な人達がじゃんけんで決めているのってなんか新鮮。というか、私の意見は聞かなくていいんですかねー?


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