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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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18 文化祭一日目①


     *     *     *


 文化祭当日。

 今年の文化祭は三日に渡って行われる。

 体育館を使うクラスが思いの外多かった為、二日に分けられている為だ。

 ちなみに初日は学生のみで行われ、体育館で行われるものは二日目と三日目に催され、一般開放される。

 という事で、初日はやる事もないので、見回りついでに文化祭を楽しもうと思うの。

 いやぁ。なん年ぶりかしらね文化祭って。ホントワクワクしちゃうわ。

 一応、校内放送で始まりの挨拶を学園長が話しているが、誰も聞いていない。

 一応、最後の方にいくつか良かった出し物に賞が授与されるらしい。

 何でも上位入賞すると、金一封と粗品があるんだそうだ。貴族も通う学園にしてはしょぼくない?


 まぁいいか。さてどこへ行こうかなと思ったら、いつの間にか周りを囲まれてしまった。逃げられない。

 「ど…どうしたのかな?」

 「何って私と文化祭回るんでしょ!」「私も一緒に行きたいのだけど」「何を言ってるんですか! クリスは私と回るんですよ」「こういう時くらいみんなで回ったらどうかな?」「そうですわ。折角の文化祭ですもの」「レオナルド殿下はもう少し心を広く持った方がいいよ」「あの…私もよろしいですか?」「あ、私も」─────

 クラスメイトほぼ全員が集まって行動したらそれこそ迷惑だわ。

 「流石にこの人数での移動は他に迷惑をかけますから、くじ引きで決めましょ。ね? 五人一組ならちょうどいいと思うんですが……」

 提案するが納得するだろうか?

 「まぁ仕方ないわね。みんなもそれでいいでしょ?」

 何人かずっとブツブツ言っていたけど、くじ引きなら一応は公平だしね。それぞれくじを引こうとしたところで、教室の扉が開け放たれた。

 「話は聞かせてもらったわ」

 バーンと開けて先頭をきって入ってきたのはマーガレットだ。

 その他B組を含め他のクラスの一部の生徒が入ってきた。って多いなぁ。

 まぁ、選択授業とかで一緒になってるものね。

 「私はソフィアお姉様と回りたいわ」

 「私はぁ、イイ男なら誰でもぉ」

 「わ、私は誰だっていいけどさ…」

 それぞれの思惑が絡まってるわね。

 「じゃあ、くじを作り直しましょうか」


 という事で、私はジル様とトミー様とカイラ様そしてマーガレットの五人で回る事になった。

 「よろしくお願いしますわ」

 「クリス様と文化祭回れるの嬉しいです」

 「ね。一生の思い出よ」

 「どうしてこうなった」

 唯一不服なのはマーガレットだ。

 「まぁいいか。知らない男子と一緒じゃないだけマシよね」

 「はは……」

 まぁ気持ちは分からんでもない。

 「では、早速参りましょうか」

 ジル様が先頭を切って歩いていく。縦ロールが横にみょんみょんと揺れ動く。

 そしてそれを追うマーガレット。

 「ちょっと。そんなことしてると目回すわよ」

 「そうね。ちょっと気分が…」

 言わんこっちゃない。

 さて、校舎前に来た訳だけど、本当に屋台が多い。

 正直文化祭というより市場といった方が正しいかもしれない。

 屋台が多いのもそうだけど、生徒数も多いから結構ごっちゃごちゃしている。はぐれないようにしないとね。

 「あのークリス様?」

 「トミー様どうかしましたか?」

 「アレなんですけど」

 アレとは?

 トミー様の指差す方を見て納得した。

 『今川焼』、『大判焼』、『回転焼』、『御座候』、『おやき』、『あじまん』、『蜂楽饅頭』、『甘太郎焼』、『二重焼』─────

 どうしてこんなにバリエーションに富んでるのかしら?

 ここだけそれ系のお店ばっかりね。聞いたことない名前のものもいっぱいあるわ。

 中でも『アンコリーノ』とか『ベイクドモチョチョ』って何よ。どこの地域なのよ。

 『三方焼』とかいうのは三角形なのね。へぇ…。

 「どれもこれも同じに見えますが…」

 「中身が違うんでしょうか?」

 「でもどれもがだいたいあんこ、うぐいす、クリームですね。店によって変わり種の種類が違いますけど……」

 「あ、でもあっちのおやきは中身違いますね。きんぴらに野沢菜に切り干し大根……」

 「あっちの中華まんというのも気になりますわね」

 もうそっちいったら別の食べ物なんだよなぁ。

 というか、お好み焼きですら、『関西風』、『広島風』とかあるし、『イカ焼き』、『ネギ焼き』、『とん平焼き』、『イカ焼き』、『三原焼き』、『遠州焼き』とかいろいろありすぎるわ。

 そもそもの話で、さっきの野沢菜もそうなんだけど、こっちの世界に関西とか広島ってあるの?

 私そこまで広めてないわよ?

 「ソースの香りがたまらないですね」

 「どれも美味しそうですが、どれがいいか迷いますね」

 「たこ焼きというのもあるのですね」

 ジル様、トミー様、カイラ様が目を輝かせながら屋台を巡っている。

 私とマーガレットはちょっと引いている。

 「ねぇクリス…。私この世界の事がよく分からないわ」

 「奇遇ね。私もよ。でもまぁ、楽しんだもん勝ちじゃない?」

 「まぁそうよね。あーあ。私も久しぶり過ぎてどれを食べたらいいか分からないわ」

 「確かにこんだけ合ったら迷うわね。無いものを探す方が難しいくらいだわ」

 「逆にこれ全員転生者の可能性ない?」

 「まさかぁ……」

 無いとも言い切れないけど、そしたらもっと大騒ぎしていると思うのよ。

 とりあえず、ソースの香りには抗えないので、私は食べやすそうって理由だけで『どんどん焼き』を買ってみた。

 …へぇ。クレープみたいな食感だわ。もちもちしてる。ほぼ生地だけだけど、これはこれで美味しいわね。

 ジル様はたこ焼きの熱さに苦戦し、トミー様はお好み焼きを美味しそうに頬張っている。

 カイラ様は焼きそばを食べてる。まぁ、同じソース使う料理だしね。

 そしてマーガレットはモダン焼きを食べている。

 「私は断然麺が入ってる方が好きね」

 「そうなんだ。あ、今度うちでホットプレートだしてやろうか?」

 「いいね。それ賛成」

 「何を賛成なんですの?」

 「今度うちでお好み焼きを作ろうと思って」

 「あらいいですわね。私達もご招待いただけるのかしら?」

 「もちろん」

 「あら…。ありがとうございますわ。ソフィア様だと、一回拒否が入りますからね」

 「ははは…ごめんね」

 「クリス様が謝ることではございませんわ」

 まぁそうなんだけどさ。一応同居人としてはね。

 「それよりも他にもいろいろ巡ってみませんこと?」

 「そうですよ。私他にも気になるのいっぱいあるんです!」

 「ちょっとトミー口元にソースついてるわよ」

 「あら、ありがと」

 カイラ様がトミー様の口元を拭く。ほんのちょっぴり百合成分を補給できて私は満足です。

 それで、ジル様はともかくマーガレットまで私の口元を見るのかしら?

 何にもついてないわよ?


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