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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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12 どうやらこの世界は乙女ゲームの世界だそうです


 ソフィアは遠い目をしながら話を続ける。

 「私としては、アナタに逢いたくて、やったのもあるのよね。それが、どうしてこんなことに……」

 「何でそんなに私に逢いたかったのよ?」

 「アナタが私の推しだったからよ!」

 推し? 何のことですかね。アイドルになった覚えはないのよね。

 「あの、言ってる意味がわからないんだけど?」


 「この世界はね、私がやっていた乙女ゲームの世界なのよ」

 乙女ゲームって、女性向けのイケメンとの恋愛ゲームでしょう? やったことないんだよなぁ…。

 「その顔じゃあ、知らないんでしょね」

 その顔ってどっちの意味で言ったんですかね?

 まぁ、ツッコムと話が途切れるから黙ってるけど。


 「いい? この世界はね 《ジュエル・ラディアント〜宝石の国の王子様》ってゲームの世界なのよ。

 で、基本的に攻略対象は五人。

 この国の第二王子、腹黒の 《レオナルド・レッドグローリア・トリニティ・ダイアモンド》。

 騎士団団長の息子、俺様系 《ウィリアム・クロムウェル》。

 宰相の息子、庇護欲ショタっ子 《テオドール・ジェイドフォレスト》。

 この国の教皇の息子、堅物頭でっかち 《アーサー・カーネリアンダウン》。そして、私の王子様…。」

 そこまで一息に言って、あの不味い紅茶で口を潤す。


 でも、納得だわ。やたら都合のいい世界で、中世や近世、近代がめちゃくちゃに混ざってるし、食べ物や飲み物だって当たり前の様に揃っているんだもの。ゲームの中って言われたら腑に落ちるところが沢山あるわ。

 一息ついたソフィアが私の目を見ながら続きを話し出す。


 「ミステリアス系冒険者 《クリストファー・オパールレイン》。

 中性的な顔立ちで、それが本人的にはコンプレックスらしいのよね。それもあってか、粗野で突き放すような言動があるんだけど、ゲーム中に困ることがあると、必ず駆けつけて助けてくれるの。

 ついつい手を差し伸べてしまうその様はまるでツンデレ王子! 左頬に傷があるんだけど、それを隠すように左の前髪は長いの。でも全部は隠れてなくってね。それが、凄くかっこいいの。

 で、設定上は冒険者なんだけど、実はスパイで、学園内にいる裏切り者を探すために転校してくるの。

 最初は近寄るなオーラが凄いんだけど、シナリオが進むにつれて、心の氷が溶けていく様子が素晴らしいのよ。

 たまに吐く弱音に心を鷲掴みされるの。あぁこの人にも弱いところがあるのねって。

 でね、最終的に『お前を守るためなら、この国だって救ってみせるぜ』って言って、一人戦地に行ってしまうのよね」

 身振り手振りを交えて、饒舌に語るソフィア。それはもう恋する少女のように、コロコロと表情を変えながら、説明してくれる。


 しかし、知らなかったなぁ…。将来冒険者でスパイになるのか。いや確定じゃないと思うんだけどね。そこに至るまで色々と紆余曲折があると思うの。

 そう、未来は無限に広がってるんだもの。そんな危険な事しないでのんびり生きたいわ。


 「で、私が一番好きなのは、ファンディスクのシナリオよね」

 ファンディスクが出るなら、相当人気なんだろうな。


 「主人公とルビー帝国に潜入したときに、クリストファー様は、ドレスで女装するの。それが、カッコよくて、似合ってて、ファン投票第二位だったのよ。私としては、どうして一位じゃないのか、すっごく不満だったんだけどね。だって一位はあの腹黒メンヘラ王子なんだもの」

 レオナルドは原作でもメンヘラ準拠なのか。やだなぁ…。早く婚約破棄したいなぁ…。


 「最終的には、無事に帰ってきて、街の小さな教会で二人だけで結婚式を挙げて、二人で街のお花屋さんで慎ましくも幸せな生活を送るのよねぇ…」

 しみじみと語り尽くしたー感出してるけど、何か、足洗いました感がありますね。

 あ、別にそういう意図を持って言ったわけではないですよ。


 そこで、ふと思い出したかの様に真顔になったと思ったら、申し訳なさそうな表情で尋ねてくる。

 「ねぇ、もしかして、何かの潜入中だったりするの?」

 もしかして、私の事スパイだと思ってる? この女装はシナリオに関係あるとでも?

 ナイナイ。だって趣味だもの。ライフワークだもの。

 「いや、全然」

 「……………そう。ふーん」

 一気に興味が失せた様な態度に戻る。

 どうもすいませんね。現実と理想が違いすぎて!



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