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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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15 文化祭の準備②

 

 それから更に数日が経った。

 衣装係が演劇用の衣装を粗方完成させたようだ。

 一応今は袖丈とか裾丈の長さの調整をしている。

 そしてついにレオナルド用の衣装も完成した為、みんなが見守る中着替え終わるのを待っている。

 簡易的な小部屋からレオナルドと着付け担当のクラスメイトが出てくる。

 魔法学園という事もあり、ローブのようなワンピースの制服だ。

 ウィッグもちゃんと被っている。

 レオナルドって美形で整った顔してるから、こうして女装するとホント美人よね。

 まぁ、私にはちょっとばかし及ばないんだけどさ。


 「へぇ。馬子にも衣装ね」

 「ソフィア、それ褒めてない」

 「え、そうなの?」

 実際失礼な言い方だしね。

 そんなレオナルドは顔を真っ赤にして、スカートの裾を両手で握りしめてプルプルと震えている。

 あ…なんだろう…。凄くそそるわ。

 私こういうのやっぱり好きなんだなぁ。男の子が女の子の格好して周知に震えてるの見ると、胸がキュンキュンしちゃうのよね。

 クラスメイトのみんなも同じ考えなのか、慈しむような顔をしている。

 「も…もういいでしょうか?」

 「何言ってんのよ。それ着て演技するんでしょう? 慣れなきゃ。ね?」

 「うぅ…」

 やっぱいいなぁ…。今日も実行委員の仕事あるけど、サボってずっと眺めていようかしら?

 続いてシェルミー様も同じく魔法学園の制服に身を包むが、なんか違うんだよなぁ。

 シェルミー様は普段から男装しているせいなのか、なんて言ったらいいんだろう。

 男がただ女物の服着てます感が強い。

 いや、実際女性なんだけど、こうも女子の服が似合わないとは…。私が男物の服似合わないのとはちょっと違くて、なんというかハレーションが起きてるような…。

 レオナルドが可愛く似合ってるのとは、本当に対照的だわ。

 ソフィアも思うところがあったらしい。

 「ねぇ、シェルミーはさ、もっとどうにかならないの?」

 「ど、どういう事だい?」

 「もっと女の子らしくならないの」

 「!?」

 凄く衝撃的だったらしい。胸を押さえて呻いている。

 「そ、ソフィア嬢…僕だって一応女の子なんだけどな」

 「役になりきるという割にはお粗末だと思わない」

 「「確かに」」

 イヴ様とジル様が同時に頷く。

 イヴ様の魔王の姿なんて、ホントに女魔王なんじゃないかってくらい似合ってて、今にも魔法をバカスカ打ちそうな感じがあるし、ジル様だって性格悪そうな女教師の格好が似合っていて、そのうち断罪されてザマァされそうな雰囲気がある。

 唯一似合ってないのが演劇大好きなシェルミー様とか何の冗談だろうか?


 「それにほら、この娘達を見なさいな。下手な女の子より女の子よ?」

 私達を指差してシェルミー様を責め立てるソフィア。指差さないでよ。失礼ね。

 「そうは言うがソフィア嬢、クリス嬢は別格として、カリーナ嬢達は学園内でもトップクラスの可愛さなんだよ? あれと同じようになんて無理な話だよ」

 まぁ、私も男の子の格好全然似合わなくて、男の子になれないから共感は出来る。

 「ねぇ、もういっその事男の子と男の子同士の話にしたら? スカートをズボンにすればいいだけなんだし」

 「そうね。どうせ私もクリスも出ないからそこまでこだわる必要ないしね」

 主役を女の子から男の子へ変更という事で話がまとまりかけていたが、二人それに反対する者がいた。

 一人目はシェルミー様だ。

 「待ってくれ。それだと僕が負けたみたいじゃないか」

 「実際そうでしょ? 似合わないし」

 「少し時間をくれないか? カイラ嬢メイクでどうにかならないかな?」

 「うーん…まだいくつかやってないのがあるので…それを試してみますか?」

 「頼むよ。と言う事でソフィア嬢、性別を変えるのは保留にしてほしい」

 「まぁいいけどさ」

 「ソフィア、私からもお願いします」

 「レオナルドがそっちにつくなんて珍しいわね。どういう心境の変化よ」

 「いや、何と言いますか…新しい扉が開けそうな気がしまして…」

 「あっ…。……そう。なら、仕方ないわね、でも時間もそんなに多くないから、やってダメなら諦めてね」

 「ありがとう。みんなもすまないが、もう少し待ってほしい」

 シェルミー様が微笑みながら、レオナルドがはにかみながらお願いすると、男子生徒含めたクラスメイトから吐息が漏れた。

 

 もう少し見ていたいのを我慢して文化祭実行委員の仕事へ行く。

 今日はカリーナちゃんも手が空いたのか来るようだ。

 「任せっきりにしてごめんね?」

 「いやいいよ。こっちも暇だし」

 「暇じゃないんだよなぁ…」

 委員長がため息まじりに呟く。

 今日は両手に花だからね。もう仕事にならないや。

 「確かにそこまで大変じゃないわね」

 「でしょう?」

 「それは君達が慣れているからじゃないかな?」

 まぁ、確かに私もカリーナちゃんも普段から仕事してるからね。このくらいなんて事ないのよ。

 しかし、さっきから委員長の小言が気になる。

 ここは、カッコいいところ見せちゃおっかな?

 「じゃあ委員長、残ってる仕事全部下さい」

 「いいけど。出来るのかい?」

 テーブルの上にドンと置くけど、まぁ想定の範囲内かな。

 「余裕ですわ」

 「手伝うわ」

 カリーナちゃんと一緒に残りの仕事をこなしていく。前世会社員舐めんなよってね。

 電卓を叩き、各々上がってきた金額を計算していく。

 要望を精査し纏めていく。必要なものと不要なものを分けていく。

 まぁ、判断力や決断力が求められるんだろうけど、こういうのって、場数をこなしてないと難しいよね。

 隣で目をキラキラさせながら見ているテオドールたんに応えるようにやっていたら、いつの間にか終わっていたわ。

 カリーナちゃんも私の速度によくついて来れたわね。

 「はい、委員長終わりましたよ」

 「お…おぅ。確認しよう」

 委員長含め役職者四人で確認していく。

 「うわぁ。完璧…」「去年はもっとかかったよね」「しかも見やすい…」

 最後に委員長が「俺いる意味あるのかな?」なんて言う。多分あると思いますよ。

 「まだありますか?」

 「いや、もうないよ。あるとすれば、各クラスや部活などで何かトラブルが有った時くらいかな。正直これが終わらないと先に進めなかったから助かったよ。来年もやってくれると助かるよ」

 来年はどうだろうね? うちのクラスの出し物次第かな…。


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