表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

440/546

07 文化祭の出し物について①


 そして、今日も文化祭の出し物を決めるのだそうだ。

 前回同様、ダメ教師二人は端っこで何やらフリーペーパーのようなものを捲りながら話している。

 飲みに行くのか分からないが、電卓で計算したり、メモ書きしたりしている。

 先生達でどこか飲みに行くのだろうか?

 そういえば、そろそろ桜が咲く時期だものね。花見でもするのかしら? まぁ、こっちでもそういう風習があるのかは知らないけどね。

 ちなみにうちとソフィアとマーガレットの領では桜祭りを毎年開催している。

 まぁ、梅や桃の花でもやるし、なんならこの後の藤や紫陽花でもやっている。

 随分と日本っぽい文化に染まってしまったなぁと思うけど、領民も楽しんでるからいいよね?

 まぁ、花見と言ってもお酒を飲んで騒ぐのが目的でしょうから、私は聞かれても参加しないようにしないとね。自制出来ないから。


 さて、あの二人はほっておいて、漫才コンビの委員長と副委員長が黒板の前に立つ。

 「この前言い忘れたんだが、誰か二人文化祭実行委員やってくれないかな?」

 文化祭実行委員。基本的には文化祭を催す際の準備や雑用よね。

 あれ、前世でもやったけど、結構大変なのよね。

 まぁ、学生の時はそれが楽しかったりするんだけどさ。

 …………………そういえば、ソフィアの提案した劇になったんだよね。

 多分、演劇になるんだろうけど、ソフィアの事だ。絶対にキスシーンを入れるに決まってるわ。

 私がその役になる可能性が多分にある事を考えると、これはなるべく避けた方がいいわよね。

 となればやる事は一つよ。

 「はいはーい。委員長! 私。私やりまーす!」

 勢いよく手を挙げ立候補する。

 「お! いいのかい?」

 「えぇ。もちろんよ」

 「ありがとう。じゃあ、あと一人……」

 そう委員長が言ったところで、おずおずと手を挙げた人がいた。カリーナちゃんだ。

 他にも何人か挙げかけた人はいたけど、カリーナちゃんが早かった。

 「お! カリーナ嬢か。これで決まりだな。いやぁ早く決まってよかったよ」

 えぇ。私も妨害される前に決まって良かったわ。

 「カリーナちゃんもいいの?」

 「え? えぇ…。(クリスと一緒に出来るならなんだって……)」

 しかし、そこで委員長が変な事を言う。

 「まぁ、別に実行委員になったからといって、出し物に参加しなくていいって話じゃないからね」

 「へ?」

 気の抜けた声を出してしまった。どゆことよ?

 声にも出してないのに、委員長が続ける。

 「学校側と生徒会と僕達の橋渡しをするけど、生徒なんだから出し物には当然出るのが筋だろう?」

 えぇ…。じゃあやり損じゃない。だから誰も手を挙げなかったのね? ハメられたわ。

 「じゃ、出し物を決めていこうか。ね、ソフィア嬢」

 「ふふ…そうね」

 委員長の元でプレゼンをするソフィアのせいで演劇に決まってしまった。それも恋愛もの。

 必ずキスシーンは入れると宣言したことによって、教室内のボルテージは最高潮に達した

 問題は誰と誰がキスをするのかと言う事だ。

 このままソフィアに任せていたら危ない。

 「はいはい。ここから先は文化祭実行委員の私とカリーナちゃんで仕切るわよ」

 「へ?」

 上の空のカリーナちゃんの手首を掴んで教卓の前まで引っ張る。

 「何よ。私が脚本書くんだから、別にわざわざ来なくていいのよ」

 「いやいや。これ以上ソフィアのお手を煩わせるわけにもいかないじゃない?」

 「いやだからいいって……」

 無言でソフィアとゼロ距離で見つめ合う。

 「……わ…分かったわよ…。そんなにやりたいんなら譲るわよぉ…」

 なんかソフィアの顔が真っ赤だったが気にしない。私の口唇がかかっているのよ!

 というか、なんでカリーナちゃんはそんな後ろ手にナイフ持ってそうな表情で私を見ているのかしら? なんか目が怖いんだけど。

 そしてなぜか騒つく教室内。ダメ教師二人もこっちをじっと見ている。あなた達はそっちで酒場情報でも見ていてくださいな。

 もしかしてキスシーンだけを先に決めろとでも言うのかしら? そんなもの無理に決まってるでしょうに……。


 「コホン…。えーっと、今からなんの演劇をやりたいかアンケートをとるからそれでいいかしら?」

 「ソフィア嬢の書く話でいいだろう」「そうそう。オレ達の誰がキス出来るのかが重要なんだ」「それが無くなるってんなら協力出来ないぞ」「ぶっちゃけキスさえできればいいんだ」

 猿かこいつら? 盛りのついた雄ザルなの? 男子からの非難がすごい…。

 「そ…ソフィアはもうやりたい話決まってるの?」

 「え? 全然」

 その一言で教室内がシーンとなった。

 「いやぁ、どれにするか迷うのよねぇ。白雪姫にするか、シンデレラにするか、美女と野獣にするか。あるいは……」

 私とマーガレットは分かるけど、他のみんなはポカーンとしてるわよ。

 「じゃ、じゃあその予定してる作品のあらすじを書いて配ってみたら? それで投票すればいいんじゃない?」

 「いや、今口頭で言うわ」

 そうしてソフィアが各作品のあらすじを言っていった。

 しかし、みんなどれもピンとこなかったようだ。

 という事で発起人のソフィアがある程度のお話を作ってくる事になった。

 「じゃあ、話の内容は次回という事で、今回はおしまい」

 今日はこれで解散になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ