11 ソフィアも転生者だった
*
「どう? 落ち着いた」
「はい……」
何とか、地獄から生還できたようだ。といっても、まだまだ満身創痍の状態。いつ危篤状態に陥っても不思議じゃない。
しかし、あんなにツンツンしてたのに、急に具合が悪くなったら屈んで手を握ってくれるとか、意外と根はいい人なのかもしれない。
「冷めちゃったわね。新しいお茶淹れてもらうわね」
「いや、いいです」
「え? 何で?」
「いや、あの…。美味しくないんで…」
「……………。もしかして、それで泣いたの?」
「はい………」
「嘘でしょう? そんな泣くほど? もしかしてアナタ子供舌なのかしら? 砂糖とかミルクとかいれればいいじゃないのよ」
そういうレベルじゃないんだよなぁ。飲めるレベルのものじゃないのよ。
お茶でも、渋いとか苦いとかいろいろあると思うのよ。辛いってのは初めてなのよね。辛いっていうより、痛いが正しいかしら? 私だけがおかしいのかしら?
しかし、ソフィアはよく平気で飲めるよね。もうそこが信じらんない。
「まぁ、いいわ」
そう言うと、部屋の中に居たメイドさん達に退室を促す。
ソフィアはソファに座りなおし、佇まいをただす。
「今から言うことに何か心当たりはあるかしら」
異端審問でも受けている気分だ。一体何を言われるのだろう。
「大塚、巣鴨、駒込、田端、西日暮里、日暮里、鶯谷……」
「何で、山手線の地味な辺りの駅なんだよ! そういうのは普通、日本は? とか首都は何処? とか、首相は誰? とか聞くもんなんじゃないの?」
「あら、すんなりその言葉が出るってことは、アナタ転生者なのね?」
今から何を言われるのかドキドキしながら待っていたら、とんだ拍子抜けだよ!
もし、これが関西圏だったらどうするの? 大阪環状線の駅でも言うのかな?
「ということは、ソフィアもそうなの?」
「えぇそうよ。私と上の兄三人とも転生者よ。今から七年前にね、思い出したのよ」
なんと! あの街の様子を見るに、誰かしらそうなんだろうなとは思ったけど、まさか四人も転生者とは。
しかし、前世の記憶を持っていたとしても、そこまで発展するかね?
「そんな七年であそこまで、発展する? というかやりすぎだと思うんだけど」
「まぁ、私も、今思うと同意見だわ。兄達がそれぞれの分野で優秀なのもあると思うんだけど、平民の人たちのバイタリティとかが凄かったのよ。ちょっと恐怖を感じたくらいよ」
中国だって、そこまで一気に発展してないぞ。でもまぁ、平民の方が凄いはあるな。うちの領だってそうだし。




