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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第7章

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03 文化祭の出し物を決めよう


           *      


 さて、雪像祭りの間、私のイメージが毀損され続けていたはずなんだけど、何故か信者が増えるという異常事態。

 どうしてアレを見て入信するの? こう言っちゃなんだけど、バカなんじゃないの?

 しかも学園側は、来年の文化祭の一部として雪像祭りも同時開催する事を決定するし。

 来年は絶対に作らせないわ。

 そう決意新たにした辺りで、今年の文化祭は何をやるのかとクラス内で決める事になった。


 レベッカ先生もアン先生も生徒の自主性に任せると言って、速攻で隅の椅子に座ってしまった。二人ともテーブルの前で何かをニヤニヤしながら見ている。仕事しろ。

 さて、ダメな教師二人に代わって学級委員長と副学級委員長が黒板の前に立つ。

 メガネを外すと細い目つきになって何も見えなくなるタイプの委員長と、メガネとおさげを外すとめちゃくちゃ美人になるタイプの副委員長のコンビだ。

 確か名前はクライド・サンダーボルト子爵令息とボニー・オーガパイン伯爵令嬢だったかな。頼まれたら断れないって感じしてるけど怒らせたら怖そうなのよね。

 さて、そんな委員長のクライドはやたらとペラ回るのよね。だから選ばれたんだろうけどさ。

 「えっ、じゃあー誰かなんかやりたい事ありますかー」

 しかし誰も手をあげる事も声を出す事もしない。

 みんな考えあぐねているのだろうか?

 「んー、まずさぁ、ここは色々案出していくとこじゃない? 別にほぼ確定みたいな内容言えって言ってるわけじゃないしさぁ、なんでもいいのよ。たこ焼き屋やりたいとかカフェやりたいとかなんならわたあめやりたいでもいいのよ」

 「全部食べ物じゃないすかーwww」

 ボニーがクライドに笑いながらツッコミを入れる。

 「いやさぁ、まずはディスカッションが大事じゃん? じゃあさぁ、話題を出すための会議を放課後にみんなでやるのはどうよ? そしたら色々案が出るんじゃない?」

 「あんた…それ絶対嫌われるやつじゃん」

 「じゃあお前なんかいい案あんのかよ?」

 「いや…ないっすね…」

 「は? 何? 無いのに散々文句言ってんの? やめーやそういうの。俺だって色々考えてやってんのよ? それをさぁ、頭ごなしに潰してって面白いわけ? ねぇさっきからずっと黙ってるけど何かあるならそこは反論してみるところだろ?」

 「くっ…」

 「くっ…って、女騎士かっての。え、なに? くっころしてとか言うんじゃないよね? お前にはそういうの似合わないからさ。もう少し鏡見て…」

 「うるせー」

 「痛った! え、暴力? マジで? ここでそんな短慮なことできんの? わー…すっげ……って痛い痛いまじやめ……ちょ……ほんとごめんなさい。調子乗ってました。すいませんボニーさんやめてやめて……」

 二人で漫才したらいいんじゃないかな? もう少し煮詰めれば上方漫才いけるんじゃない? え、無理? あ、そう…。


 「ねぇクリス。私あの二人で漫才したら盛り上がると思うのよ」

 諦めかけていたことをソフィアが言う。

 「じゃあ提案してみたら?」

 「そうね。はいはーい。私いい案あるわ」

 ソフィアが立ち上がり、手を挙げる。

 「おっ! 流石ソフィア嬢。ではどうぞ」

 自信満々な顔で、両腰に手の甲を当て発言する。

 「あなた達が会場で漫才すればいいのよ!」

 一瞬シーンとなる教室。

 「…は? 今なんて?」

 「だからぁ、あなた達二人が漫才すればいいのよ。夫婦漫才みたいな掛け合いしてるんだし。いいじゃない」

 「よくねーよ」「よくないわ」

 やっぱりダメだったかぁ。

 二人同時に突っ込むからイキぴったりだと思うんだけどなぁ。

 「そんな頭ごなしに否定しなくてもいいじゃない。とりあえず案は案なんだから書きなさいよ!」

 流石は設定上悪役令嬢。迫力がすごい。

 気圧された委員長が渋々黒板に書いていく。

 ・学級委員長と副委員長による夫婦漫才

 「えっと……。他には? 他にはいい案ないかね?」

 やはり誰も手を挙げない。このままでは夫婦漫才に決まってしまうかもしれないという焦りから教卓の前を右に左に行ったり来たりしている。

 「何でもいいぞ。ほらあるだろ? ん?」

 どうして私の方を見て言うのかしらね。

 しかし文化祭か。中学や高校の文化祭なんて何やったっけ? 学生の頃から一体何年経ってると思ってるのよ。腕を組んで目を閉じて思い出す。

 ……何かの研究発表会とかお化け屋敷とかカフェだったかな。体育館では漫才とかライブとか劇とかしてたね。

 「……劇……」

 耳ざといソフィアが私の小言を聞き逃すはずもなく、またぞろ立ち上がって手を挙げた。

 「はいはーい! 今度はいいのあるわよ」

 「またソフィア嬢か。で、何? 今度は俺らでコントしろとか言わないよね?」

 「ある意味近いわ」

 「近いのかよ」

 委員長のツッコミを聞いて口角を上げるソフィア。

 「劇をしましょう」


 その後、ポツポツと意見が出てきたので、多数決で決めることになった。

 ・学級委員長と副委員長による夫婦漫才 1票

 ・ソフィア脚本の劇 18票

 ・男の娘メイドカフェ 6票

 ・クリス様を讃える展覧会 3票

 ・お化け屋敷 2票

 ・屋台(食べ物) 5票

 ・担任と副担任の居酒屋放浪記 0票(教師二人による2票は無効)

 ・絵画イラスト展 2票

 ・屋台(ダーツやヨーヨーすくい等) 3票


 「あーよかったぁー…。というけで、劇に決定。シーユーアゲインバイバイ!」

 「こらこら勝手に帰ろうとしない。まだあるでしょ」

 「あ、そうだっけ?」

 「もうしっかりしなさいよね」

 「っす…」

 改めて思うけど、一応あの二人には漫才をやってもらった方がいいんじゃないかな?

 しかし、劇には決まったが、何の劇をするかは決まっていない。

 演劇なのか、ミュージカルなのか、人形劇なのか。そしてそれは次回決めるという事で、この日の議論は終わった。


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