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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第6章

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51 二人の王子様②


 「そういえばシェルミー様は今日は何をしていたんですか?」

 クレープ屋さんへ行く道中、あの場所に居た事が気になって聞いてみた。ちなみにレオナルドがあの場所に居た事に関しては深く突っ込まないようにしている。

 「今日は愛馬の世話をしていてね」

 「シェルミー様は馬に乗れるんですか?」

 「勿論さ。騎士の家系だからね。小さい頃からよく乗って遠くに出かけていたよ」

 私は馬に乗った事ないんだよね。多分誰かと一緒じゃないと難しいかもしれない。

 「じゃあ今度一緒に乗るかい?」

 「いいんですか?」

 「クリスクリス、私も乗れますよ」

 レオナルドが割って入ってくる。

 「そうなんですか?」

 「えぇ。ですので最初は私と乗るべきだと思うのです」

 「いいんじゃないかな。ところでその時は僕も一緒に遠乗りしたいんだけど」

 「そ…そうですね。その時は是非に」

 あ、これ乗れるけど移動は出来ないってやつじゃないかな? カッコイイところ見せようとして逆に失敗してる感じがする。だって、目が泳いでるんだもの。

 まぁ、ここは深く追求しないようにしましょうか。


 それからしばらくしてクレープ屋さんについたんだけど、これもアンさんの親族がやっているのかしら?

 お店の名前は『ブラックキャット』だった。

 前のたい焼き屋さんもそうだけど、ここもかなりの人が並んでいる。

 こう言う時、いかにもな貴族だと割って入るんだろうけど、ちゃんと順番通り並んでいる。

 しかし、ここに来るまでの間もそうだったんだけど、今待っている間もずっといろんな人に見られている。

 まぁ無理もないかな。キラキラしい王子様が二人もいるんだもの。

 注目を浴びないわけがないわ。

 そして受け取ったクレープを食べる姿も、実に王子様って感じがする。見ていた人達や店員さんが「ほぅ…」ってため息を吐くくらい美しい。その瞬間たけ時間が止まっているかのようだわ。

 「いや、僕よりクリス嬢の方が注目を集めていると思うよ」

 「そうですよ。まるで女神のようですし」

 「またまたそんなぁ。おだてたって何も出ませんよ?」

 「そう言う事じゃないんだけどな」

 でも一番注目を集めているのはメアリーだと思うのよね。

 「メアリーそれ何個目?」

 「多分十か十一ですかね?」

 「そんなに食べてご飯食べられなくなるわよ?」

 「甘いものは別腹ですので大丈夫です」

 本当にメアリーの場合別腹がありそうなのよね。胃が四つくらいあっても驚かないわ。


 クレープ屋さんが予想以上に人が多くなってきてしまった為、学園に戻ることにした。

 戻る途中でも大勢の人達に注目されてしまった。よくよく考えたらこの国の王子様がいるんだもの当然っちゃ当然よね。

 そんな王子様より王子様らしいシェルミー様もいるし、仕方ないよね。

 しかしこうして見ると本当にキラキラしてるなぁ…。こっちが本物って言われても信じちゃうわ。

 そんな感じで学園に戻ってきた。

 黄色い歓声が門のすぐ近くまで聞こえている。どんだけ人気なのよ。

 「レオナルド殿下、シェルミー様、本日はありがとうございました。お先に失礼致しますわね」

 「私も久しぶりに楽しめました。まぁ、二人きりならもっと良かったんですが」

 「僕も楽しかったよ。今度は僕と二人でどこかへ行こうね」

 これよ。この差よ。シェルミー様のちょっとキザっぽい言い方が乙女ゲーの攻略対象感あるのよね。

 「ではまた明日」

 カーテシーをして寮へと向かう。

 しかし、本当にあのクレープは美味しかった。生地を楽しむってああいう事を言うのね。



 クリスとメアリーを見送ったレオナルドは、クリスがいないのであれば、今日はもう何もすることが無いなと思い、シェルミーへ自分たちも帰ろうと提案する。

 「では私達も帰りましょうか」

 「あ、レオナルド殿下、この後少し話をしたいのだが、時間をいただいてもいいだろうか?」

 何やら神妙な顔で問うものだから、無下には出来ないと判断する。

 「構いませんよ」

 「良かった…。断られたらどうしようかと思っていたよ」

 普段男装している彼女にしては、珍しく乙女のような顔をしていたが、クリスにしか興味のない彼にはその事に微塵も気付けなかった。

 「そんなに重要な話なのですか?」

 「そうなんだ。…ここではなんだから、どこか落ち着いて話せる場所へ移動しよう」

 「ここではダメなのですか?」

 「恥ずかしい話が、私的な内容でね。流石にこんな往来の真ん中で話せるような内容じゃないんだ」

 軽く辺りを見回し頷くレオナルド。

 「仕方ありませんね。あっちの方にガゼボがありましたよね。そこでいいですか?」

 「あぁ。構わないよ」

 やはり乙女のような表情で返すが気づかない。

 「(私ではダメなのだろうか)」

 「何か言いましたか?」

 「いいや。何でもないよ」

 普段堂々としている彼女にしては珍しく困ったよな顔をしていた。

 そうして、二人は話をする為に学園内の中庭へ歩いていった。


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