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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第6章

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47 お茶会に行く準備をしよう④


 気がつくと、コスプレ衣装やドレスの海で目覚める。

 前にもこんな事があったわね。

 みんな疲れて眠っている。

 時計を見ると八時を回っている。嘘! 訓練の時間過ぎてるじゃない。

 というか、お茶会の時間まで一時間半くらいしかない。

 起き上がって辺りを見渡すと、衣装という衣装がそこら中でぐちゃぐちゃになっている。ヨレヨレシワシワでこんなの着ていけないわ。どうしましょう。

 というか、髪の毛は寝癖でぐちゃぐちゃになっている。とりあえずお風呂入って……。時間足りるかしら?

 急いでお風呂に入って、お湯を沸かして入る。

 出てきたらあと、三十分くらいしかない。うわぁ、髪の毛乾くかしら?

 一人で焦っていたら、ヨメナさんが声を掛けてきた。

 「クリス様、お手伝いしますよ」

 「あ、ありがとうございます」

 ここに来てから1ヶ月くらいかな? ドライヤーの使い方にも慣れたようで、あっという間に髪の毛が乾いた。

 そして、髪の毛もセットしてくれた。普段少女らしい姿がとても大人びて見える。凄いわ。

 あ、でも着ていく服がないわ。

 「何を着ていけば……」

 「もし宜しければこちらをどうぞ」

 ヨメナさんが持っているのはシンプルなドレスだった。

 だが、私には分かるわ。これめちゃくちゃ高い物だと。

 「これ…こんな凄いものいいんですか?」

 「えぇ。マーガレット様はもう少し可愛らしいものの方がお好きなようで」

 「勿体無い。こんな洗練されたデザインの服中々ないですよ。それにこの生地…。下手したら家一軒買えちゃうんじゃ……。それにこの丁寧な縫製に刺繍と………」

 「お分かりになりますか?」

 「えぇ勿論。こんな素晴らしいものお借りしてもいいんですか?」

 「構いませんとも。もし、良ければそのままお持ちいただいて構いませんよ」

 「本当ですか?」

 「えぇ。当家にあっても着る者はおりませんので、着ていただけるなら本望ですので」

 「ありがとうございます。大切にしますね」

 「こちらこそ。貰って頂きありがとうございます」

 しかし、こんな凄い物を持っているなんてヨメナさんって何者なんだろう?

 ヨメナさんから貰ったドレスを着て、手首までの手袋を嵌める。

 そして、ファシネーターを髪の毛に付けて、姿見を見る。

 自分で自分に惚れてしまいそうなくらい大人びた女性が写っている。

 「美しい……」

 「えぇ、本当にお美しいです。クリス様」

 「えーそうですかぁ? 私はもっと可愛らしい感じが好きなんですが」

 「ん?」

 振り返ると、普段は起きてこないであろうメアリーが立っていた。

 昨日買って食べてなかったんだろう。今川焼きを頬張っている。

 「何よ。私の美意識にケチをつけるの?」

 「そんな事言ってませんよ。ただ、自分の好みを言っただけですー」

 そう言いながら今川焼きを私とヨメナさんに一個ずつ渡してくる。あのメアリーが食べ物を分け与えるなんて今日は台風か冬将軍でも来るのかしらね?

 まぁ…お腹空いてるから食べるけどさ……。

 「あら、これ美味しいわね。薄皮でつぶ餡ぎっしり。それなのに甘すぎない」

 「本当ですね。これなら何個でも食べられそうです」

 「ねぇ、どこで買ってきたの?」

 「お茶会が終わったら行きましょうか」

 「そうね。そうしましょう」

 これは本当に美味しい。中々教えてくれないってことは、そこまでの道のりとかお店の名前とか忘れてる可能性あるわね。

 「ふふ…クリス様とデート」

 「デートじゃないでしょ?」

 「まぁまぁ。そんな事よりつまらないお茶会なんてちゃっちゃと終わらせちゃいましょう」

 「メアリー、そういう事は口が裂けても言わないようにね?」

 「勿論です」

 信用ならないなぁ…。

 「じゃあヨメナさん行ってきますね」

 「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

 送り迎えをしてくれたヨメナさんに「行ってきます」を言って部屋を出る。

 エレベーターの中で気になる事をメアリーに問う。

 「メアリーお風呂入った?」

 「な…なんでそんな事聞くんです?」

 「いや、なんか若干臭うというか…」

 「何て事を言うんです。メアリーはバラの香りしかしませんよ!」

 バラはバラでも豚バラの間違いじゃないかしら? というか、昨日はみんな食事の後、夜遅くまで着せ替えしまくっていて、お風呂に入っていないのよね。当然メアリーも入ってないわね。

 「まだ時間あるからお風呂入って着替えてきたら?」

 「そうします……………」


 その後、寮のエントランスで待つ事十分。

 「お待たせしました」

 「おい。何でメイド服じゃないのよ」

 「折角なのでドレス着てきました。どうです? クリス様の服と合うようにしてきました」

 まぁ、侍女ならメイド服着ないから別に構わないんだけど、メアリーの場合服に着せられてる感ありありなのよね。

 それに、そのドレスだって私のと同じでヨメナさんのよね。色やデザインは違うけど、メアリーサイズのドレスまであるなんて、ヨメナさんは本当に何者なんだろう。

 というか、メアリーが侍女って絶対に無理よね。だって仕事しないんだもの。

 「なんか失礼な事考えてますね?」

 「いや別に」

 「別にいいですよ。私はメイド服しか似合いませんよ」

 「そんな事言ってないじゃないの」

 「長年クリス様のメイドをやってきたので分かりますよ」

 そんなに私の事分かるなら、もう少し配慮してくれてもいいと思うんだけどね。

 そういえばふと思い出したんだけど、王城で侍女って見なかったなぁ…。

 上級メイドってのがそれに当たりそうなんだけど、あの人達も仕事あんまりしてなかったし、もしかして王妃様の趣味なのかな? 私もソフィアも。なんならスケキヨさんもメイドさんやらされてたからね。

 なんか懐かしいな。たった一年くらい前なのにね。


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