21 クラス発表②
さて、クラス分けされているんだけど……。
「番号札みたいのもらってなくない?」
「名前で書いてあるんじゃない?」
「あ、そっかぁ」
同姓同名がいたらどうするんだろうと思いつつも、とりあえず左端から確認して………あったわ。すぐ見つかったわ。
「Aクラスか」
「あら私もだわ。やったわ」
「私も同じね」
どうやらソフィアとカリーナちゃんは同じクラスのようだ。
「そんな…私がBクラス……嘘よ…嘘よ嘘! なんでよ! こんなにもソフィアお姉様を愛しているのにっ!」
マーガレットは残念ながら隣のクラスだったようだが、ソフィアと一緒になれなかった事でかなり自暴自棄になっている。クラス分けに愛は関係ないと思うけどね。
「ガチャを引きなおさないと……ガチャ石……」
ふらふら〜と何処かへ行きそうなマーガレットを引き止める。
まぁ、確かにショックなんだろうけど、そういうもんだし。
「お、お前らどうだった?」
後ろから、着崩したウィリアム、エリー、テオドールたんが来た。
「リアム……」
「! わ、分かったよ」
慌てて着直すウィリアム。最初からそうしてなさいよ。
「テオドールたんは…」
「なぁに?」
「何でもないわ」
はぁ…。やっぱり夢じゃかなった…。男子の制服だわ。まぁ、これはこれでいいんだけど、できる事なら、テオドールたんにはふわふわな感じの服を着てもらいたいわ。
「んっふ。ところでぇ…どこのクラスだったのぉ? 私はぁ、Dクラスだったんだけどぉ」
「あら、そうなの?」
じゃあ、私達はたまたまで、普通はばらけるもんなのよ。
「お! Bか」
「僕もBだ!」
何ですって?
「ね、ねぇクリス、これ交換できないかしら?」
「私も同じ事考えてたわ」
「何言ってんのよ! そんなに私と一緒が嫌なの!?」
「いや、テオドールたん…」
「あんたねぇ…」
ソフィアが呆れた顔をしたが、仕方ないじゃない? まぁ、カリーナちゃんいるからまぁいいか。
「おはようございます。クリス」
「おはようございます。レオ様」
様付けに一瞬ピクっとしたけど、慣れてくださいな。
「皆さんはどこのクラスだったのです?」
「あ、Aクラスです」「私もよ」「私もAです」「くっ…Bよ…」「俺はBだわ」「僕もBだった」「あら、私だけDぃ?」
「そうですか」
何故が嬉しそうな顔のレオナルド。
「実は私もAだったんですよ。ふふ…一緒ですねクリス」
「クリス、異議申し立てにいきましょう」
「!?」
「ちょ、ソフィア?」
「お供しますわ。ソフィアお姉様!」
私の手首を掴んでどこかへ行こうとするソフィア。あんなに変えるのを拒否していたのにこの手のひら返しよ。
そして、ソフィアなら何とか出来るとおもったのか、マーガレットも意気揚々とついていこうとする。
「なんて事言うんですかソフィア。ちゃんと公正公明に振り分けられたのですよ。従うべきです」
もしかして、レオナルド何かしましたか?
レオナルドがソフィアの前で右に左にと行く手を阻んでいる。
しかし、そんなバカな事をやっているのに、後ろのオーディエンスは黄色い声を上げ続けていた。
私が見ているレオナルド達とは別人なのだろうか?
「きゃあっ! 私レオナルド殿下と一緒よ!」「私も一緒だわ!」「もう死んでもいいかも」「え? 私死ぬの? 一生分の運使ったんじゃない?」「これから先身がもたないわ」「素敵すぎる」
意外とレオナルドって人気あるんだね。まぁ、端から見たらイケメンだもんね。夢見過ぎよ。というか、今目の前で繰り広げられていたものを見ていないのかしら?
そんな生徒達も何かに気付いたのかサッと左右に道を開けた。
向こう側から王者の風格を醸し出しながら、三人の女性が悠然とやって来た。
九月なのに桜の花びらが舞っているように見えるわ。
「おや、公爵家のご令嬢方ではないですか」
「ご機嫌よう。私、レオナルド殿下とご一緒の教室になれて、とても嬉しく存じますわ」
縦ロールのいかにもな、THE・お嬢様な人。圧倒的に胸が大きい。
「僕も同感だね。レオナルド殿下とはいい関係を築いていきたいものだね」
男装した癖っ毛の女性だ。◯スカルみたいな人だ。服の上からでも分かるくらい大きい…。
「私も一緒になれて良かったわ…」
顔が若干髪の毛で隠れている人だ。毛量も多いし何よりむっちりしている。そしてなにより(ry。なんか錬金術とか出来そう。
「えぇ、私もあなた達と一緒に学べる事を嬉しく思います」
借りてきた猫のように綺麗な笑顔で話すレオナルド。こんな顔も出来るんですね。
「嬉しいですわぁ。……ちなみにそちらの方々は…」
「あぁ、一緒に学ぶ友人達です」
「あら、そうですの。…自己紹介が遅れましたわね。私、ガーネットクロウ公爵家が三女、ジル・ブラッドフィールド・ガーネットクロウですわぁ」
「僕は、ストーンローゼス公爵家が五女、シェルミー・トレジャーコフィン・ストーンローゼス。よろしく頼むよ」
「私はイヴ。ピンクサファイア公爵家四女。イヴ・ルースレスウィザード・ピンクサファイア……」
公爵家の人なのか。どうりで堂々としていていてスタイルもいい訳だ。
チラッとソフィアを見る。
「何よその顔は…」
「いや、同じ公爵家でもこうも違うんだなって思って」
「悪かったわね! 出るとこ出てないで!」
「いたっ! やめっ! 悪かったわよ」
私の両頬をひっぱるソフィア。性格も違うようだ。どこがなんて言っていないのに。
「ふん。クリスだってぺったんこのくせに……」
私はちゃんとパッド入れてるわよ。見た目はソフィアと変わらないけどさ。
「あら、あなたが殿下の婚約者の」
「あ…、クリスティーヌ・オパールレインです」
慌ててカーテシーをする。
「ふぅん…。面白そうな方ですわね」
「そうだね。まぁ、これから一緒なんだ。是非私とも話をして欲しいな」
「とても興味深い方ですね」
なんだろう。凄い威圧感がある。
「まぁまぁ、私の婚約者を虐めないでくれよ」
「ふふ。そうですわね。でも、私達もまだ諦めておりませんの」
「僕もだよ。姉達には負けていられないからね」
「……………」
この上だけ暗雲が立ち込めているわ。いまにも雷混じりの土砂降りが降りそうなくらい気まずい。
「では、私達はお先に失礼致しますわね。おーっほっほっほ」
「では、失礼するよ。はっはは」
「ではまた……ふふ……」
去る時も花びらが舞っているかのようだった。
周りの生徒達も目をキラキラさせて眺めていた。
「俺はあいつら苦手だわ」
「ふんふん…」
「私もぉ…ちょーっと距離感じちゃうわぁ…」
エリーの喋り方って、さっきの盾ロールさんと似てるから、もしかしたらエリーも良い所のお嬢様の可能性があるわね。
「まぁ、こんなところで立ち話もなんですから、教室に行きましょうか」
「そうですね」「そうね」「そうですわねぇ」「だな…」「うん!」
教室へ行こうと歩き出したところで、背中を引っ張られた。
振り返るとマーガレットが目を見開いて凝視していた。
「私とクラス交換してくれるって言ったわよね?」
怖い怖い。何ホラー属性習得してるのよ。確かに交換したいけど、もう無理な所まで来ちゃったから諦めて欲しいんだけど?
「あの離してほしいなーなんて……はは…」
「縺懊▲縺溘>縺ォ繧�k縺輔↑縺�」
え、なんて?
「ほらほら、クリス構ってないで行くぞ?」
「行くよぉ」
マーガレットが、ウィリアムとテオドールたんに引き剥がされ引きづられるように去っていった。新しい靴なのに踵のところ凄い勢いで磨り減りそう……。
マーガレットに構っていたら、私まで置いて行かれてしまったわ。
「女神様」
早く行かないと、またソフィアになんて言われるか。
「あの…女神様? 私目の声が届いておりませんか?」
関わりたくないから、スルーしていたのに。
「何よ?」
「おぉ! 我が女神様おはようございます」
「えぇおはよう」
調子狂うわね。
「で、何?」
「私のクラス気にはなりませぬか?」
「全く」
アーサーがどこの教室だろうと興味ないわ。
「これが俗に言うツンデレというやつですね」
違う。私はアーサーに対しては未来永劫0%よ。
そのまま歩き出すと、横から離れずついてくる。
「私、Jクラスだったのです」
わぁ! 私と一番遠い教室ね。良かったわ。
「あら、そうなの? ふーん。頑張ってね」
塩対応で去ろうとするが、まだ付いてくる。
「私、悲しいのです。女神様も聖女様も離れ離れ。でも、これも与えられた試練だと思うと、大変興奮いたします」
燃えるんじゃなくて興奮するところがいやらしい。
「はぁ…。まぁいいけど、変な事は絶対にしないでよ?」
「もちろんですとも。私、女神様と聖女様の喜ぶ事にしか興味ありませんので」
嘘つけ! 嫌がる事しかしていないじゃない。
最初会った時から、どうしてこんなにも歪んでしまったのかしら?
今度は流石についてこなかったので、そのままA組へ向かう。




