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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第6章

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19 これから大変


 そんなこんなで夕食を食べ終わり、それぞれが思い思いに寛いでいた。

 「クリス様、洗い物までやっていただいてすみません…」

 「いいんですよ。食べた後少し動いた方がいいんで」

 そういえば、お姉様とフィジー達の姿が見えないわね。食べて早々帰ったのかしら?

 とりあえずやる事もないから自分の部屋へ戻ったら、何やら窓の外で話し声が聞こえたのでベランダへ行ってみた。

 「オーライオーライ。はーいオーケーよー」

 「何やってるんですお姉様?」

 「あぁこれ? ハシゴを設置してるのよ」

 「見たら分かります。何でここにハシゴを?」

 上の五階とここ四階はベランダ部分が斜めになっているから、上からハシゴをかけたらベランダへ降りれるけれども。

 「態々エレベーターで降りてくるより、ここを通った方が早いでしょ」

 「私の部屋を経由するおつもりですか?」

 「いいじゃん姉妹なんだし」

 「せめてプライベートは守って欲しいんですが」

 「大丈夫よ。一人でする時は終わってから入るから」

 「しませんよ。………って違う。そうじゃなくて」

 「はいはい。」

 全くお姉様はあけすけで無遠慮なんだから。

 「まぁ本当のところはこっちのが都合がいいからね」

 「ご飯食べたいってのはカモフラージュなんですか?」

 「私としてはそっちのがメインよ」

 日中も夜も大変そうだわ。お姉様お付きのメイドさん達に心底同情するわ。


 「ほら、早速」

 振り返るとカリーナちゃんが幾つかの紙束を抱えて立っていた。

 「これから大変だと思うけど頑張って」

 そう言って取り付けたハシゴを登って去っていくお姉様。

 室内へ入り窓を閉める。

 「そんなめんどくさそうな顔しないでよ。私だってめんどくさいんだから。はい引き継ぎ」

 「そうだね。ごめん。確認するわ」

 手渡された紙束を順に読んでいく。

 「ねぇ、こんなにやるの?」

 「ルイス様もサマンサ様もやってきたので、クリス()も必然かと」

 そうだよね。うちは仕方ないよね。王国の影だもんね。はぁ…。

 学園在籍時は中央での問題を秘密裏に解決って、サポートがあるとはいえとんでもないことよね。

 平穏無事な学園生活なんて最初から無かったのね。

 「まぁ、裏の仕事限定ですから、そんなに多くは無いかと…。まぁ、問題が起きなければ動く必要もないんですから」

 「そうよね」

 「任務が無ければ、が…がが…、学園デートもできますしぃ」

 何でそこだけ上ずった声で噛むのよ。別に言う必要もないし…。

 「サマンサ様の時は人数が少なくて大変だったようですが、今回は多くの仲間が入学しているので、そんなに大変じゃないと思いますよ」

 そういえばお兄様は結構大人数で動いていたわね。

 フィジー達が疲れ切ってるのってこれが原因なのかしら?

 「主に適性にあった任務が課されるので、何でもかんでもやることはないですから、そこまで嫌そうな顔しなくてもいいんじゃないですか?」

 「あら、顔に出てた?」

 「ガッツリと。クリスは……クリス様は貴族なんですから、表情のコントロールも出来ないとまずくないですか?」

 「そうだよね。善処するわ。あ、別に様付けいらないから。カリーナちゃんも様付け苦手そうだから、いつも通りでいいわよ」

 「も? 『も』ってどういう事かしら?」

 失言だったわ。でも、別に変な事言ってないし。

 「たまたま言い間違いよ」

 「じゃあ何でそんな焦るのよ」

 「べ、別に焦ってないよ。カリーナちゃんが迫ってくるから」

 「むぅ……。後で調べますからね」

 何で私がこんな追い詰められなきゃいけないのよ。

 「まぁ、相部屋で良かったわ。報告とか隣ですもの。楽でいいわ」

 逃げ道を今のうちに作っておかないといけないわね。


 初日の報告が終わり、カリーナちゃんが部屋を出ると同時にソフィアが入ってきた。

 「なに二人でコソコソしてるのよ」

 「別にコソコソしてないよ」

 「その紙束なに?」

 あ、しまうの忘れてた。

 「これは、うちの商会の先月分の売り上げの明細とか、新商品の企画立案書よ」

 「あぁ、そういえば、カリーナは商会の娘だし、クリスはオーナーだったわね」

 「そういう事。別にやましい事してないわよ」

 「そう。なら良かったわ」

 上手く回避できたようで何よりだわ。

 「ところで何か用でもあったの?」

 「さっきお風呂入いってきたからクリスもどうかなと思って」

 「あ、そう。じゃあお言葉に甘えて入ってくるわ」

 「ん」

 カリーナちゃんからの資料をチェストにしまって、着替えを持ってソフィアと一緒に部屋を出る。

 ソフィアが私の持ち物に興味を示す。

 「なに?」

 「いや、どんな下着履くのかなと思って」

 「気になる普通?」

 「気になるわよ」

 「見せないけど」

 「何で?」

 何で? 何でって言われても恥ずかしいからだけど。ソフィアにはそういう概念無いのかしら?

 「あー、ソフィアお姉様何してるんです?」

 マーガレットが私とソフィアが一緒にいるところを目撃して、指差ししながら小走りにやってきた。

 「別に何もしてないわ。ただクリスの下着が気になっただけで」

 「もぉう。そんな事なら早く言ってくださいよ」

 ソフィアの手を掴んで無理矢理引きずるように連れていくマーガレット。

 「え…ちょ、何?」

 「私のコレクション見せますんで。どうぞ」

 「いや…」

 ソフィアは失言が多いのよ。もう少し考えてモノを言った方がいいわよ?

 さて、覗かれる心配も無くなったから安心してお風呂に入れるわね。

 そう思っていたんだけど………。


 「クリス様。お待ちしていました」

 「あ、先に入ってたのね。ごめん。出たら教えて。待ってるから」

 「ちょちょちょちょ…ちょっと待ってください。一緒に入ればいいじゃないですか!」

 慌てて私の腕を掴むメアリー。

 流石に広いお風呂だけど、四人で入るには………四人で入っても余裕ね。

 「私達が誰だかお忘れですか?」

 「メイドでしょ?」

 「そうです。つまり、クリス様の隅から隅までお綺麗にいたします」

 「いやいいよ。そこまで長風呂するつもりないし……」

 しかし、入ってしまったものの外へ出る扉の前には腕組みして仁王立ちしたロココさんとビシューさんが全裸で立ち塞がっている。

 「はーい。捕まえましたー」

 「ちょ!」

 背中にメアリーの大きすぎるものが当たっているんだけど?

 「どうしてクリス様のクリス様は大きくならないんですか? 壊れてるんですか?」

 「失礼ね。…ってかいじるな!」

 転生してから六年も毎日見続けていたら慣れるってもんよ。

 流石におイタが過ぎるので頭を後ろに当てる。

 「っつ~~~~!」

 どうやら私の頭が顎に当たったようだ。

 「もう。普通にお風呂は入れないの?」

 「入れません」

 即答!? 呆れた顔で見ていたら、流石に観念したのか三人とも渋々と言った感じで湯船に浸かり始めた。

 「流石にちょっと冷えましたしね」

 「次も控えてますし」

 「あ、ちゃんと洗ってから入ってくださいね」

 「え…えぇ」

 毎回思うんだけど、途中で飽きてぶん投げるのやめてもらってもいいかしら?


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