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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章
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05 手紙の内容


           *      


 一週間後―――――


 改めてお父様の執務室に呼ばれた。

 コンコンとノックをするが、返事がない。

 返事がないのなら仕方がない。日を改めて出直すとしよう。踵を返して部屋へ戻ろうとすると、蚊の鳴くよな声で「どうぞ」と返事があった。どうしてすぐに返事をしないんですかね? そんな事を問うても仕方がないのでため息をつきながら部屋へ入る。


 「お父様、入りますよー」

 「もしかして、返事をしなかったら部屋へ戻ってたのかい?」

 ギクッ! そ、そんな事ないですよ。いくら、お父様の呼び出しが面倒臭い事しかないと分かっていても、ちゃんと来ますよ。多分。


 というか、最近、私の行動パターンを読まれている気がする。そんなに分かりやすいだろうか?

 「サマンサよりは読みにくいね」

 心の声を読まないでくださいな。


 そう思って、お父様の顔を見ると、非常に顔色が悪い。きっと、一週間前に食べた激辛料理が胃と腸と肛門に大打撃を与えた結果でしょうね。それが尾を引いているから辛いものは程々にしようねって事で呼ばれたのかしら?

 「いや、違うぞ? いや、体調が悪いのはそれなんだが、呼んだのはだね、最近不審な人物が領内に入ってきているという報告と、アンバーレイク公爵から手紙が来てね、是非うちの領に来て欲しいとのことだそうだ。ただ、一つ気になる記載があってね…」

 だから、そんなピンポイントで心を読まないでくださいな。


 「何ですか? そんな言いにくそうなことが書いてあるんですか?」

 普段から、もったいぶった言い方するのに、今回は特に言いにくそうにしている。ファイナルアンサーとか言っておいた方がいいのかな?


 「【クリストファー様も是非お越しください】と書いてあったんだ」

 「え……」

 会ったこともない人にどうして呼ばれたんだろう。それに私の以前の名前まで。


 お父様に渡された手紙に目を通すと、確かにそう書いてあったが、そこだけ筆跡が違う気がした。

 「これ、私行かないとダメですか? 何か怖いんですけど」

 「まぁ、鉄道の件で問い合わせたのだから、行かないわけにはいかないだろうね。というか、パパ一人で行きたくないんだけど」

 「死なば諸共の感覚で私を連れて行こうとしてます?」

 「……………」

 お父様、そこはすぐに否定してくださいな。


 手紙の件でスルーしていたけど、不審な人物も要注意だ。以前みたいにレオナルドを誘拐する別の組織が入り込んできてる可能性もあるからね。


 「そういえば、不審な人物と言ってましたが、どんな感じの人なんですか?」

 「なんか、赤と白のボーダーの棒を持ってる人と三つの足がある道具を置いて覗いてる人が、公爵領からうちの領都の間で複数人目撃されていてね」

 それはただの測量じゃないですかね。何でうちの領内でやっているのかは分からないけれど。


 というか、この世界でも測量くらいあるでしょう? 地方の村々でもやっていたんだから……って、お父様その辺関わってなかったわ。私に全部丸投げだったわ。じゃあ知らなくてもしょうがないわね。


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