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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第2章

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03 ウィリアムにとってクリスは男友達のようなもの


 もう麻雀をやる気分ではないので、各々で寛いでいたのだが、ウィリアムが横に座って話を振ってきた。

 ここ最近ウィリアムと話していて思ったのだけれど、こいつ私と話す時女性じゃなくて、男友達感覚で話ししてくるのよね。


 まぁ、どこかの王子様と違って慧眼なのかなとも思ったんだけど、話す内容が男子高校生みたいな内容が多いのよね。現に今もほら。

 「レイチェル様もアンジェさんも素敵だよなぁ…」

 まぁ分かるが、いきなりどうした? 話の先が読めないので先を促す。

 「いや、大人の女性って素敵だよなって思ってよ。年を取ってもあんなに綺麗で美人なんだぜ。羨ましいよ」

 羨ましいだろう。そうだろう。でもそんなことを私に振って何だというのだろう?

 「リアムのお母さんだって、綺麗なんじゃないの? そんな事言って嫉妬されないの?」

 「んー……。何ていうかな、例えるなら、街中の大衆食堂の女将(おかみ)って感じだな。言うならばザ・おかんだな。だから、美人のお前のかーちゃんが死ぬほど羨ましい。あの二の腕で締め落とされたい!」

 コンプレックスを拗らせただけか。そして、性壁も昇華されている、と。

 まぁ、男所帯の騎士団長の奥さんなら、その位太ましくないとやってらんないんだろうなぁ…。


 「それで、何かプレゼントしたいんだけど何がいいかな?」

 お前、人の母親やその従者にどんな気持ち抱いてるんだよ。

 いや、知ってたよ。来るたびに羨望の眼差しが恋心に変わっていくの。この歳で熟女趣味かよって思って、気づかないフリしててあげたのに暴露するなよ。

 それに、プレゼントしても脈ゼロだぞ。まぁ、手伝うことは吝か(やぶさか)ではないけれど。


 「なんかお菓子でも焼いてラッピングしてあげたらいいんじゃない?」

 「お、それいいな。お前俺に教えてくれないか?」

 結構乗り気だね。お菓子作りは楽しいからね。私も教えるのは好きだし、次来た時に出来るように準備しておこうかな。

 「いいよ。じゃあ次来た時に出来るように材料とか準備しておくけど、何か作りたいものある?」

 「大人の女性に喜ばれるものならなんでも」

 ちょっと分からないですね。前世で彼女なんていなかった私が大人の女性の欲しがるものなんて分かる筈ないじゃない。

 それもお菓子でしょう? 高級店のチョコでもあげればいいんじゃないかしら?

 と、思ったんだけど、お母様もアンジェさんもそういうものにあんまり興味無さそうだし、子供が作るものだから、変に凝ったものじゃなくてもいいと思うんだよね。

 どうせ、あげたところで褒められるのが好感度の上限な気がするし。

 良くて頭ナデナデ位じゃないですかね?


 「クッキーとかでいいんじゃないの?」

 私も楽だし、型次第で可愛くなるし。ラッピングにもこだわれば素敵だと思うの。

 「大人の女性がクッキーで喜ぶだろうか?」

 「知らんがな」

 「んだよ、つっかえねぇーなー」

 「じゃあ大人の女性とやらに直接聞いてみたらいいじゃないのよ」

 「この部屋のメイドでそんなんいるのか?」

 「居るわよ。ミルキーさんがそうよ」

 「え?あのねーちゃんが? 嘘だろ見えないぞ」


 まぁ、そうでしょうね。あぁ見えても四人の子持ちなんだよね。よく成人したて位の年齢に間違われるらしい。青年誌で大学生の住むマンションの隣に住むお姉さんくらいの見た目しているしね。

 第四子が三年前に生まれたらしくて、まだ小さいし、他にも三人も子供いるからという理由で、お兄様の入寮についていけなかったのよね。


 それはそれはこの世に絶望したような顔で落ち込んでいたからね。まぁ、お子さんがいるのに仕事の都合で三年も離れるなんて酷だよねって事で、他の人が一緒に行ったんだけど、そのメイドさん達が狂喜乱舞して、より悔しそうにしていた。


 どの位悔しがったかというと、庭に一つクレーターが誕生する位には…。

 いつもお兄様といる時は、お兄様を後ろから抱いて胸を頭の上に乗っけているのしか見なかったけど、好きでやっていたんだなぁ。天然じゃなくて(わざ)とだったんだなぁ…。もうほのぼの〜って感じで見られないよ…。


 あ、でも身長的にもう少し伸びればウィリアムでも行けそうなきがする。

 「上手くいけばお兄様みたいに抱っこしてもらえるんじゃないかしら?」

 「まじか! 信じるぞ! 行ってくる!」

 行動力だけはあるんだよなぁ。


 勢い勇んでぼうっとしているミルキーさんにウィリアムがアタックを仕掛けるが、二、三言葉を交わして、ウィリアムがすごすごと戻って来る。

 「どうだった?」

 「下心のある方はちょっとって言われた」

 どんな聞き方したんだよ。草超えておハーブ生えますわ。


 そんなやり取りをしていると、それに気づいたレオナルドが不機嫌そうに間に割って入ってくる。

 「ちょっと、リアム! クリスは私の婚約者ですよ。何を親しげに話しているんです?」

 最近思ったんだけど、レオナルドってちょっとヤンデレの素質あるよね。

 まぁ、ここは誤解を生まない為に、さっきあった面白いことをレオナルドに共有する。


 「そうですか、それを聞いて安心しました。リアムはそのまま自分の思うまま突き進んで下さい。応援しますよ」

 「お? そうか。そういえば、レオのかーちゃんもいいよな。見た目若いし」

 その言葉に、ピクッと片眉を上げ、不快感を露わにする。


 まぁ、そうだよね。人の母親に好意抱かれたら複雑な気分になるものね。

 レオナルドの気持ちはよく分かる。だって、来る度に毎回惚れた腫れた話を聞かされるからね。

 うちの母親やメイドさんくらいならいいけど、流石に王妃様も数に入れるとなると節操ないよね。

 まぁ、言うだけならいいけど、そのうち誰かに告白するんじゃないかと、内心ヒヤヒヤしている。

 身内が絡まなければ、面白い話なんだけどね。


 そんなウィリアムにレオナルドがニッコリと冷えっ冷えの冷気を伴って詰め寄る。

 「ちょっと、聞き捨てなりませんね。リアムはそんなに節操のない人だったでしょか? 詳しくお話を聞きたいのですが…。おっと、もうこんな時間ですか…。では、馬車の中でじっくり話し合いましょう」

 「ちょっ…」

 ウィリアムはレオナルドに引っ張られるように帰って行った。部屋を出る前の表情はまるでこれから売られる牛のような顔をしていた。

 無事に生きてたら、ちゃんとお菓子作りを教えてあげようと思った。


 二人が部屋を出るのと同時にメアリーが部屋に入ってきた。

 「クリス様、今お時間宜しいでしょうか?」

 「どうしたのメアリー? また何か新しいセクハラでも思いついたのかしら?」

 「今回は違いますよ。また、旦那様より執務室に来て欲しいとの事です」

 否定しないんだ……。

 しかしまたお父様が呼ぶとは一体なんだろうか。呼ばれる時って大抵ロクなことじゃないんだよね。また変なことをお願いされたらやだなぁ…。


           *      


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