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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

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69 悪夢


 「た…ただいま……」

 「あ、お帰りなさいクリス様ー。どうしたんですか? すっごくお疲れのようですけど、そんなに王妃教育って辛いんですか?」

 「ん? んん…。そうだね。精神的に疲れたわ……」

 客室へ戻り、ベッドの上に飛び込みたかったが、案の定メアリーがお菓子を頬張りながら寝そべっていたので、仕方なくソファにうつ伏せで突っ込んだ。

 なんて言うかね…もうホント疲れたわ。

 仕事して疲れるんならいいんだけど、仲間のつまらない話をずっと聞かせられるような倦怠感だ。ライ○も適当な返ししかしてないのに、延々と返信してくるみたいなね。


 明日も同じだったらどうしよう…。流石に二日連続でBL講義は受けたくない。これが百合とか薔薇百合ならいくらでもいいんだけど、門外漢な事はちょっと…ね。

 ていうかあれボーイズラブ言うんか? 濃すぎるしハードコア寄りの内容じゃないのよ。あれなんて言うのかしらね。まぁ、深く追求はしたくはないわね。

 暫く目を瞑って休もうと思ったんだけど、さっきまで見せられていたBL本の内容が瞼の裏に鮮明に蘇る。

 モザイクとか申し訳程度の黒い棒なんてないからね。細部まで丁寧に筋とか皺とか描き込んであるんだもの。リアルであんなのある訳ないでしょうに…。

 一瞬無くなった自分のモノに思い馳せる。

 そこまで立派じゃなかったわね…。

 とりあえず、違う事…違う事を考えないと………。


 ……ダメだ。さっきから頭の中は立派な棒と穴に刺さった棒しか出てこない。

 しかも、その持ち主は、レオナルドだったり、アーサーだったり、うちの使用人達だったり。

 何でこういう時にテオドールたんは出てこないのかしら?

 みんなキマリきった笑顔で、ぶんぶん振り回しながら、私を囲んでいく…逃げ場がない……。アレが、どんどんと近づいてくる……。視界いっぱいにアレが脈打ちながら林立している……。

 上からも左右からも、無言でアレが襲いかかってくる……。


 全然休めないでいたら、いつの間にか横にいたメアリーが私の顔を覗いていた。

 「なんか魘されていましたけど、大丈夫ですか?」

 「もしかして寝てた?」

 「はい」

 悪い意味で淫夢を見るとは思わなかった。疲れてるんだな。

 疲れている時程悪夢を見やすいけど、これは過去一低俗な悪夢だったわ。

 無意識に身体を抱くと、濡れている。

 妙に身体が熱いなと思ったら、全身寝汗ですごい事になっていた。

 一回お風呂に入った方がいいわね。

 「ところで、今日の夕飯どうするんですかー。食べられますかー?」

 「食欲ないー」

 「えぇっ! 私はお腹ペコペコりんですよー」

 うぜぇ…。疲れてる時に飯の要求するんじゃないわよ。

 「………じゃあ、運んでもらって」

 「分かりましたー。ちなみにメニュー表とかないんですかね?」

 そんなホテルのルームサービスじゃないんだから無いんじゃないかしら?


 「……ス………リス………………」

 「……う……ううん…………」

 「クリス………大丈夫?」

 「ん? うん?」

 メアリーとご飯食べる食べないって話をしている最中だった気がしたんだけど、いつの間にかまたぞろ寝落ちしていたらしい。ずっとうつ伏せのままで寝ていたのだろう。ソファは私の寝汗と涎でぐしょぐしょだ。汚い。

 お風呂入れないくらい疲れてたんだな。

 そして、そんな私をディンゴちゃんが心配して起こしていたらしい。

 というか、言葉遣い戻ってるね。

 「あ……クリス様、大丈夫ですか?」

 「直ぐに修正出来て偉いね」

 「えっ? そ…そうかな…えへへ」

 うちの駄メイドは全く直す気がないからね。うちの二十五歳児には見習ってもらいたいわ。


 「すごく疲れているようだから、食事をこっちに運んだんだけれど…」

 「あぁ…ごめん。ありが…………と……」

 テーブルの方を見ると、パーティーでも始めるんか? ってくらいの量が乗っていた。

 「多くない?」

 「え? 頼まれた量を運んだんだけれど…」

 メアリーさぁ………。

 まぁいいや。能天気なメアリー見てたら疲れも吹き飛んだし、食べて寝て忘れましょ。

 「それにしても多いから、食べてってよ」

 「えっ! いいの?」

 「いいよいいよ。流石にこの量全部メアリーが食べきれるわけないもの。ね?」

 メアリーは毎回目測を誤るし、残っても私が食べられないからね。

 それに今日のディンゴちゃんの仕事とか聞いてみたいしね。


 でもその前にお風呂に入りたい。

 ディンゴちゃんも同じ事を思ったのかお風呂に入るよう促してきた。

 「そ…それよりっ、さ…さささ先にお風呂入った方がいいんじゃないかりゃ?」

 そんな慌てて言う事でもないでしょうに。

 「じゃあ、入ってきちゃうわ」

 「じゃ、じゃあ私が一緒に…」

 「え? いや、一人で入れるから大丈夫だよ?」

 「いや…でも…」

 お風呂そんな大きくないし、そもそもこんな汗だくで汚い状態で迷惑かけたくないからね。

 でもなんでそんながっくりきてるのかしら?

 「そういえばメアリーどこ行ったか知らない?」

 「え? あぁあの人なら、そろそろ戻って来ると思うわよ」

 「え? どこか行ってるの?」

 「厨房で料理長とバトルしてたわ」

 あいつ何やってんよ……。


 私がお風呂から出てきたら、何か大勢の人がいた。どう言う事?

 何でも、私が一緒に食べていいと言う話をどこかで聞いたのか、メイドさんや厨房の人達。それと、何人か騎士団の人もいる。どうしてこうなった。

 まぁ、この人数なら、料理の量も納得だわ。

 これを見越してこの量なのね。

 もしかして、これ日に日にふえるんじゃないでしょうね?

 案の定二人きりになれないと文句たらたらのメアリーだけど、なんかごめん。私も、ちょっと予想外だわ。


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