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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

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61 メアリー大好き


           *      


 その後、気まずい空気の中、出されたデザートを食べてから客室に戻ってきた。

 自分で教えておいてなんだけど、今日の焼きパンナコッタ は美味しかった。

 真っ先に平らげたメアリーが、私の分を物欲しそうに見ていた。どうせ、私は食べないと思ったんでしょうけどね。乙女は甘い食べ物が大好きなのよ。

 まさか、全部食べると思わなかったのか、悲しそうな目で私を見て、「もっとゆっくり食べればよかった……」なんて呟いていた。

 どうして私がメアリーにあげるなんて発想になったのかしらね?

 ライオネル殿下もルキナ王女も目を見開き、絶賛していた。

 そういえば、国王夫妻の分が二つ残っていたはずだけど、食堂には運ばれなかったな。きっと、今頃厨房では死闘が繰り広げられているに違いない。


 さて…と、今日はもうやる事ないから寝るだけかしらね。

 メイドさん達と一緒に働いていた時は、結構ワイワイ楽しくやっていたんだけど、ここだと暇つぶしになるものを持ってきてないから退屈だわ。

 そう思っていたら、メアリーが何かを後ろ手に隠し、ニコニコしている。

 どうせメアリーの事だ。ロクでもないものだろう。

 「クリス様、これ欲しかったんですよね?」

 メアリーが差し出したものは、国王様が持っていた酒瓶だった。

 「! よくやったわメアリー」

 「えへへ…。クリス様はどうしてそんなにお酒が飲みたいのか分かりませんが、主人が欲しいものを用意するのはメイドとして当然です」

 初めてメアリーをメイドとして認識したわ。


 「あと、これも必要ですかね?」

 そういって更に差し出してきたのは、ナッツ類とスモークチーズとサラミだ。

 「これで、一杯やりましょうか」

 「凄い! 凄いわメアリー。好き! 大好き! 愛してるわ!」

 「はっはっは……。初めて好きって言われましたけど、こんなことでぇ?」

 何が不満なのよ。ちゃんと私の意を汲んでくれたんだから、好きって言っただけなのに。


 テーブルの上に、おつまみとグラスを用意しする。

 私としては、ロックでもいいんだけど、やっぱここはストレートでしょう。なんかいかにも飲んでます感が出るし。

 ……まぁ、以前ロザリーに隠れて飲んだ時はストレートだったんだけど、意識失ったのよね。あれから少し大きくなってるから多分大丈夫だとは思うのよ。それに、この部屋そこまで暖かくないから、ハイボールや水割りだと寒いから論外。

 ロックも氷入ってるから、グラス持ってると手が冷たくなるしね。

 という事で、私はストレートでいただきましょう。そうしましょう。


 メアリーはどうするんだろう?

 「メアリーはお酒飲めるの?」

 「当たり前です。だって成人してますからね」

 その答え方だと、飲んだ事ないのかな? ちょっと不安。

 「クリス様と同じ飲み方でいいですよ」

 あっ…これ、知らないな。ウイスキーをストレートで飲むなんて、慣れてない人には拷問だと思うんだけど、メアリーがいいっていうならいいか。

 少しだけグラスに入れて乾杯する。

 まず、グラスをスワリングして香りを楽しむ。

 あぁ…いい匂い。なんの樽で熟成したんだろう。


 チラとメアリーを見ると、見よう見まねで匂いを嗅いで、顔を顰めている。やっぱり飲んだ事無いんでしょ。

 まぁいいか。一口口に含む。

 ………あら、結構辛口ね。意外……。ほんのりカシスの香りがする。

 で、メアリーはというと、目をバッケにしてベロを出していた。

 「無理しなくていいわよ」

 「いえ! クリス様の好きなものは全部好きになっておきたいので!」

 少し酔っているんだろうか? 声のトーンがおかしい。

 「そう? 水とか炭酸水で割ったら飲みやすいわよ」

 「そうします」

 あっさりと首肯した。やっぱり無理してたんじゃない。

 そんなメアリーは、口の中の風味を変えたいのかおつまみをめちゃくちゃ頬張っていた。

 ……うん。多分、メアリー的にはこっちがメインだったんでしょうね。


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