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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

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36 今度は厨房


 それから数日。上級メイドの人達からの嫌がらせは止まる事なくずっと続いている。

 まぁ、私的には大した事無いし、寧ろかわいいとすら思ってしまう位の事なんだけど、流石に毎日現れてはちょっかいをかけてくると、他のメイドさんにも迷惑がかかるとの事で、本日付けでまた部署移動になってしまった。


 私の教え方で城内は常に光り輝く位保たれているので、抜けても大丈夫との事。

 まぁ、気を使って言ってくれてるとは思うのよ。メイド長とか頭痛薬と胃薬が手放せないって言うくらいだし。

 ここは一旦私が離れて、あの人達が諦めるのを待つしかないんだろうね。


 「それで、今度はどこに行けばいいんですか?」

 「寧ろどこがいい?」

 まさかそんな返しをされるとは思わなかった。

 寒いから、ランドリーメイドとかいいかなと思ったんだけど、そこにも現れてるっていうし…。ホント好き勝手やりすぎじゃない?

 昨日は寮の前まで来ていたくらいだし。暇なの?

 そうそう、アーサーが勝手に作った雪像だけど、めげずに頑張って作ってたのに、今ではあの人達に壊されてたのよね。

 よく諦めないなと思う反面、敢えて壊されるようにしているって事ないわよね?

 そんな古代ギリシャ彫像もどきが無数に林立していて、ちょっとアカデミックな気持ちになる。


 別に希望とかないからどこでもいいんだけど、違う事を考えていたら、後ろから頭をポンポンされた。

 「そんなら料理得意なんだから、厨房に行ったらいいじゃんよ」

 「あぁ、それもあるわね」

 何の気なしにサガさんが提案し、ウィラさんが追随する。

 「それはありかもしれませんね」

 「いや、ダメにゃ」

 「お、プトラが止めるなんて珍しいな」

 「そんな事したら、夕飯の唐揚げどうするにゃ」

 「「「………………」」」

 メイド長、サガさん、ウィラさんが互いに見合って黙ってしまう。どんだけ唐揚げ好きなのよ。


 「あの…唐揚げとか街に行ったらいくらでも食べられると思うんですけど」

 「クリ坊…。あたしらはね出稼ぎで来ているから、稼ぎはみーんな仕送りに出しちゃってるんよ」

 「だから、街でどんなものが売ってるか知らないんだよな」

 「あ…なんか、ごめんなさい…」

 「いや、いいんだよ。クリ坊が作ってくれた料理で十分満足だからね」

 「そうだな。寮監と一緒にいりゃあいいんだが、あいつらここまで押し寄せてくるからな」

 「では、私の方から話を通しておきます」

 「今日の夕飯はどうなるにゃ?」

 「クリスちゃんからレシピもらってるから大丈夫よー」

 間延びしたエタさんの声に四人がぱあっと明るくなる。

 「ちなみにぃ、今日はヒレカツよ~」

 「「「「おおおおおおおおおっ!!!!」」」」

 それを聞いた瞬間、みんな席を立って雄叫びをあげた。

 みんな揚げ物大好きだねぇ。


 この王城では使用人はそれぞれの寮で食事をとったりお風呂に入ったりするのだが、そんな中で料理を専門に扱う場所というのが、ここ調理課だ。

 ここの王城ではそれぞれの部署が『課』になってるそうで、なかなか聞きなれないと最初は思ったものだ。

 それで、その調理課は、使用人用の食事を作る場所ではなく、王族用の厨房なのだ。

 ただ王族の食事を作るだけではなく、パーティなんかを催した時の食事なども作っている非常に重要な場所だ。

 万が一、食中毒や王族の体調に何かあったら真っ先に疑われるであろうこんな大層な場所に新人の私が配属されるってどういう事なのよ。

 緊張して震えて手切っちゃうんじゃないかしら?


 そんな感じで昼食の準備前の時間帯に急遽紹介させられた。

 「はい。今日から新しく配属になったクリスさんです。最近巷で噂になっている期待の新人さんだ。頼りにしているよ。みんな拍手」

 え、待って。私そんな噂になってるの? 困るんだけど。というか、最初からプレッシャー掛けまくりじゃないの。

 そんなプレッシャー掛けまくりの熊みたいな大男のセブリングさんから、ここの場所の大まかな説明をしてくれた。


 丸太みたいに太い腕で隠れて見えないところもあるので、右に左に動きながら見ていたら、気を使ってくれたのか、突然私を抱えて案内してくれた。

 私それなりに大きいと思うんだけど、子供みたいに軽々と抱えるなんて、すごく力持ちなのね。めちゃくちゃ恥ずかしい。

 でもこんなに力持ちなら、中華鍋とか余裕で煽れそうね。


 ある程度案内してもらったので、そろそろ降ろしてほしいなと思っていたら、厨房の入口から息急き切って一人の黒髪の少年が入ってきた。


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