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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

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26 見た目の良さと味って一致しない時あるよね


 どの花をどこに置いていくか、パズルゲームのような面白さもあるのだが、植えると大きくなる種類もあるので、その辺の組み合わせが難しい。


 ああでもないこうでもないとパターンを考えながえているのだが、別のところをやっているディンゴちゃんはフィーリングで組み合わせているようだけど、何という事だろう。絶妙に調和がとれている。


 あっちの二人はどうだろうかと見てみると、意外や意外。あっちも素晴らしい出来になっているわ。

 もしかして、私だけが遅れてる感じ?

 やっぱりこういうのって、ファーストインプレッションとかフィーリングが大事よね。私も思うがまま作っていきましょうか。


 そんな感じで一心不乱に植えていった。

 またもお昼を食べ忘れたと思っていたら、なんとテオドールたんがお弁当を持ってきてくれていた。ありがたい。

 しかも、テオドールたんの手作りだ。一心不乱に作業していたから分からなかったけど、途中で抜けていたらしい。

 折角なので、中庭の真ん中にテーブルと椅子を置いてお昼を食べる事にした。

 まだまだ完成形には程遠いけど、それなりの形にはなっている。


 ディンゴちゃんの担当したところは田舎出身なのも相まって、自然の野山の感じが出ているし、テオドールたんの担当したところは、本人の可愛さ通り、色の組み合わせが優しい感じになっている。

 タロンさんのところは流石というべきか、プロの庭師が作るとああも完璧なまるで絵画のような感じになるのね。参考になるわ。


 私のところはというと、なんかありきたりな感じになってしまった気がするんだけど、三人からの評価は一番高いようだ。

 「クリスのところはすごいわね。何ていうかおとぎ話の世界観みたい」

 「うん。クリスのところは妖精さんがいるみたい」

 「やっぱりクリスさんのセンスには敵わないよ。どうやったらあんな風にできるんだい?」

 そんなにべた褒めされるとは思わなかったわ。ただ思うがまま植えていっただけなんだけどな。


 お礼を言って、三人の作ったところも素敵だと褒めながら、テオドールたんの作ってくれたお弁当箱を開ける。

 中には本人と同じくらい可愛らしいサンドイッチが詰められていた。色とりどりの具材が入っている。一体なんだろうか。楽しみだわ。

 タロンさんに至っては開けるなり奇声を上げている。疲れているのかな?

 ディンゴちゃんはというと、「くっ…」となにやら呻いている。


 テオドールたんがニコニコしながら見ているので、一つとって食べてみる。中に挟まっているのは赤いジャムのようなものだ。

 「……………………」

 「どうかな?」

 うん…。見た目のファンシーさと味のデストロイヤー感の差がえぐい。

 ………なるほど。完璧にかわいいテオドールたんにも欠点があったのね。でもこのくらいは何とかなるかもしれない。ソフィアの何を作ってもダークマターにするのと違って、テオドールたんは組み合わせの問題。

 つまり、この場さえ乗り切ればいいわけで…。


 「…す…すごく……エキゾッチクな味ね」

 「そうかな…えへへ…」

 褒めてはいない。

 なんとか飲み込み、お茶で流し込む…………! このお茶も甘いんだけど…。

 甘い中にもえぐみにも似た苦さと辛さが渾然一体となっているわ。

 これ後半ちゃんとできるかしら?


 「あれ、クリス美味しくない? 進んでないけど…」

 「いや、私、元から食が細いのよ」

 「そうなんだ…」

 「そうなのよ。残念な事にこんなにいっぱい食べられないの。もっと胃袋が大きければよかったにね」

 テオドールたんを悲しませたくない一心で必死に取り繕う。

 横見で見たディンゴちゃんが「ふっ」と鼻で笑っているのが見えた。


 言い訳した都合上、精々あと一個は食べないといけない訳だけど、どれを食べれば被害が少ないかしら?

 青や紫は論外。緑は苦そう。となると残りは茶色かオレンジか黄色かピンクか………。普通に考えたら茶色はチョコ、オレンジはマーマレード、黄色は卵、ピンクはめんたいマヨ辺りだと思うのだけど、さっきの赤いのが魚の唐辛子漬けみたいのだったから、期待できない。でも飛び飛びで取ったらおかしいから横のピンクを仕方なく取って食べる……………。


 まさかのすあま!

 もしかして色だけで選んでる? だったら赤は苺ジャムでもよくない? でもそんな事テオドールたんに言えない…。

 一人嬉しそうに涙を流し、えづきながら食べるタロンさんに残りを後であげよう。


 その後、残りの部分を手分けして植えていき、空が暗くなる頃には中庭全部に植物を植え終わっていた。

 「凄いわ。うちの近くの山がこんな感じだわ」

 「凄いな。まさか城の中にこんな自然を作り出すとは…。これなら王妃様も喜んでくれるかもね」

 二人ともいい仕事をしたって顔つきで眺めていた。

 ちなみにテオドールたんは疲れたのか、お眠の状態になっている。

 細かい微調整や片付けは明日やれば大丈夫でしょ。


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