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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

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12 第二騎士団


 翌日は、朝から騎士団が広場で訓練をしていた。

 まだ終わっていないんだけど、どうしてここでやっているんだろうか。

 昨日の団長さんは見当たらなかった。代わりに、多分副団長みたいな人がこっちにやってきた。


 「ここまで修繕が終わっているのであれば、今後はこちらで訓練を執り行う。なので速やかに片していただきたい」

 あまりにも一方的な物言いだ。昨日の団長さんと違って少し感じが悪い。


 「あの、イオ団長はこの事をしってるんですか?」

 「団長には後で伝える。私の決定に何か不服でも?」

 「いっ…いいえ…ないです。ただ、あと少し残っておりますので」

 「あれで十分だろう?」

 「ですが、上からの指示ですので…」

 「チッ…。じゃあ早くやれよ」

 「……はい。ただ、足場の片付け等を含めますと、もう少しかかります」

 「はぁ? ふざけんなよ。んなもんそっちの都合だろ? だらだらやってんじゃねぇよ」

 あんまりな物言いにイラっときたので、私が前に出ようとすると、軽く手で制された。副団長はそれに気づかず、延々と愚痴を零していた。


 「はぁ…。とにかくさっさとやれ、俺を煩わせるな。いいな? 団長には俺から言う。いいか? 決して勝手に報告なんてするなよ」

 「……はい」

 そうして、唾を吐き捨て訓練場の方へ去っていった。


 こういうのパワハラとかモラハラって言うんじゃないんですかね? この世界にはまだ、そういう概念って無いのかしら? 

 社会に出たらこういう事山程あるけどさぁ、久しく忘れてたわ。流石王妃教育。ストレス溜まるわぁ。眉間に皺よってないかしら?

 額をさすりながら、サミットさんに聞いてみる。

 「なんか酷すぎません?」

 「まぁ…第二騎士団はなぁ…」


 第二騎士団。王都警備を任されているエリート集団らしい。

 主に上位貴族や平民の成績優秀者は第二に入るらしいのだが、出世争いばかりやっていて、半分くらいは性格が破綻しているのだそう。主に貴族の方が…。

 同じく、王都を含め中央部を管理する第三騎士団は、下級貴族や平民出身者も多く、比較的穏やかで市民からの人気もあるらしい。

 第二騎士団は、その鼻に付く物言いや態度が災いして人気が低迷しているらしい。

 あの副団長を見ればそうなるのも納得だわ。

 性格の悪さが顔から滲み出してるもの。どう生きたらああいう顔つきになるのかしらね?

 第二騎士団は団長派と副団長派と別れていて、以前教会のやらかしで集まったのは全員団長派だけだったらしい。

 

 そこまで聞いて、あの団長さんがウィリアムのお父さんの弟さんなんだと気付いた。

 確かに四角くて熊みたいな感じは似ているなと思った。他の騎士団以上に神経を使うんだろうな。

 少し髪の毛の密度が少ない気がした。


 そんな事を話しながら修繕をやっていった。仕事と話に集中していて最初は気づかなかったが、昨日の騎士の一部がふざけて足場の横で剣の打ち合いをしていた。

 態とよろめいたり、足場に当てようとしたりしていた。しかも笑いながら。

 一体どういう育ち方をすればそういう事を平然と出来るんだろうか。

 あまりにも危ない行為だが、件の副団長はこっちをみてニヤニヤしているだけだった。つまり、容認されているわけだ。

 つまらない事して、恥ずかしくないのかしら?


 団長派と思しき騎士たちも良くないと思っていても口に出せずにただただ見て見ぬ振りをしていた。

 そんな時、軽くだが剣が足場に当たった。

 「おおっと、あぶねぇあぶねぇ。ひゃはははは」

 笑いごじゃないんですけど?

 ただ悔しそうに俯くだけのサミットさん。ここで私が何か言うとサミットさんにも影響が出てしまう可能性もあるけど、そしたらうちの名前を出せばいいのよ。

 それにこんな事されて黙っていられるほど私も大人しくないのよ。遺憾の意で済ませる気は無いわ。お姉様並に怒り狂ってやろうかしら。


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