表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

264/546

02 最近めっきり寒くなりましたね


     *     *     *


 年が明け、外は連日の大雪で一面銀世界。

 比較的温暖な地域のはずなのに、西側にある山脈のせいで、毎年のように雪が降るのだが、ここまでのドカ雪は例年以上だ。


 私なんて体の半分以上が埋まってしまうので、下手に外に出て雪合戦なんてできない。

 それに、こんなに寒いと動きたくなくなるもので、毎朝の稽古は昨年末には止めており、朝ごはんの後には、部屋に置いたコタツで、プレゼントされた(押し付けられた)同人誌を読みながらぬくぬく過ごすのが日課になっている。


 お兄様もお姉様も学園での授業があるため、家にはいない。

 二人がいる間は賑やかだったけれど、いないとこんなにも静かになるのね。まぁ、お姉様一人が姦しかっただけな気もするけどね。

 メイドさん達や使用人さん達も、年が明けて実家に帰省でもしているのか、今屋敷中にいる人の数は少ない。

 やっぱりメイドさん達もいないと寂しいわね。いつも誰かしらべったりくっついていたので、こうも少ないと調子が狂う。


 そうそう、冬休み期間中にお兄様とお姉様と一緒についていったメイドさん達も戻ってきていたけど、アリスとメタモは悪戯せずに、ずっとゲームしようとせがむくらいだったけど、お姉様についていったフィジー・ヒナナ・マーブルは帰ってくるなり、抱きついてきてびっくりしたわ。

 余程学園でのお世話って多忙で辛いんだなと思ったわ。

 だって、九月に出て行って、年末に戻るまでそんなに空いてないのに、めちゃくちゃ窶れてたもの。特にマーブルなんて割りかしグラマーな体型なのに、驚くほどスレンダーな体型になっていてびっくりしたわ。

 三年後には鉛筆くらいの細さになってるんじゃないだろうか? 

 現にお兄様についていったイノなんて深窓の令嬢並みに顔が青かったもの。まぁ、もともとそう見えるんだけどさ、疲れてたのか帰ってくるなり寝込んだのよね。そこまで病弱じゃなかったと思うんだけど、お見舞いに行った時、この家で一番令嬢感があってびっくりしたわ。薄幸の美少女ってああいうのを言うのね。アリスとメタモの対局の存在よねぇ。

 そんな六人も学園に戻る前日には今生の別みたいな挨拶をして出て行った。いやいや…。春になったらまた戻ってくるんでしょ?


 と、短いながらも賑やかだった分、今のこの閑散とした状態がより寂しく、屋敷が今まで以上に広く感じる。実際広いんだけどさ。

 それにこんなに広く感じるという事は、より寒く感じるのよね。

 まぁ、実際に寒いんですけどね。去年はここまでじゃなかった気がする。


 こんなに寒いと屋敷に残っている人も動きたくないらしく、最低限の事をしたら大体が部屋に引きこもっている。

 それにこんなに寒いと、私もお菓子を作る気にすらならない。

 調理場は寒いし、水は冷たいし、何よりやる気がない。だから、コタツの上にはカゴに入ったみかんしかない。


 勿論、メアリーも仕事をせず私の対面で突っ伏して寝ている。

 ただでさえ仕事をしないメアリーが年末からずっと私の部屋に居っぱなしなのはどうなのだろうか?

 しかし、ホント幸せそうな顔して寝てるわね。憎たらしいほどに。

 そんな感じで、お兄様達が学園に戻ってからここ半月ほどは、こんな風にだらだら過ごしているのだが、そんな私に無理難題が降りかかるかもしれないと、私の中のゴーストが囁く。


 「クリス様ー、旦那様がお呼びですよー」

 メイドのビシューが私を呼びに来た。

 「えぇ……今度は何ぃ?」

 「知りませんよ。とりあえず、ここは私が死守しておきますのでどうぞ」

 そうやって私の入っていた場所を奪い、私を外へと追い出す。

 ただコタツでぬくぬくしたかっただけでしょに。


 「あぁ~~っ………癒されるぅ……」

 余程外が寒かったのが、ブルブルッと震えた後、そのままだら~んとして、顔から突っ伏してしまう。

 コタツの魔力には誰も抗えないが、それだったら、自分達の部屋にもおけばいいと思うのよ。

 どうしてみんな私の部屋を溜まり場にするのかしらね?

 寒いからなのか、天井裏や、床下にも誰も潜んでいないことから、みんな寒いのは嫌いなのね。


 まぁ、とりあえず、お父様に呼ばれたからには行かないわけにはいかないんだけど、廊下寒いのよね…。

 そんな極寒の地に私を追い出そうというのだろうか?

 追い出そうとした張本人は、そんな事露知らずといった感じでメアリーと同じ格好で突っ伏して眠ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ