表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

247/546

59 後日談 ウエディングドレスは誰だって憧れるもの⑦


           *   

   

 最終的にはグリさんとグラさんにも着てもらったんだけど、しきりにウエディングドレスに血糊を着けようとしたり、挙句破こうとしたり、ゾンビメイクやデスマスクで撮影に臨もうとしたり、どうしてもホラーよりにしようとして大変だったわ。

 というか、よくドレスをダメにしてもいいって発想になったわよね。着ておしまいってわけじゃないんだし。


 まぁ、私とソフィアできつめに叱ったら理解してくれたみたいだし、今日の撮影のほとんどを行ってくれたのは分かるけど、流石に自分の趣味を優先しすぎじゃない?

 ハロウィンはとっくに終わったというのにね。

 素材が良いだけに本当に勿体ない。なんとか普通に撮ってもらったけど、終始不愛想なのは、この際諦めよう。まぁ、それはそれで様になっているしね。


 そんな感じで本日予定していたものが全て終わったので、普段着に着替え、ホールから出ようとした時、疲れて眠ってるメリーちゃんを背中に抱っこしているソフィアの機嫌が悪い。

 一体どうしたんだろうか? もしかして、おやつがあまり食べられなかったとかかな?

 引き出物用のお菓子のサンプルを出したんだけど、もしかしてソフィアのお腹に収まる量を出せなかったのだろうか?

 いや、でも結構な量を出したと思うし、ソフィアも両手に抱えて食べていたからお腹が空いて不機嫌になっているとかではない筈…。

 じゃあ不満の原因はなんだろう。


 「ソフィア、そんなに不機嫌になってどうしたの?」

 「あの…さ、今度はさ…二人きりで来れない?」

 「別にいいけど、どうしたの?」

 「どうしたもこうしたもないわ。折角クリスと撮れると思ったのに、なぜかずっとメリーがクリスから離れないし、挙句抱っこまでしてもらうなんて羨ましすぎるっ!」

 そういえば、メリーちゃんがやたらと私と一緒に写真を撮りたがっていたのよね。

 それに輪をかけてグリさんとグラさんが拍車をかけたのよね。

 確かにソフィアと一緒に撮ったのって数枚くらいだった気がする。


 「いいよ。ソフィアの気が済むまで撮られてあげるわよ」

 「ホント! 絶対よ絶対!」

 途端に表情が明るくなる。まぁ、私もまた着たいなとは思っていたしね。

 しかし、それを聞きつけた他の面々が「私も私も」と参加を表明したため、またぞろソフィアの表情は険しくなったのだった。


 「あ………」

 「今度はどうしたの?」

 「や、なんでもない…」

 「なんか気になった事があるんでしょ? いいわよ。なんでも言って」

 「……今更こんな事言っていいのか躊躇われるんだけど、ドレスとかをトルソーに着せ込んで撮ればよかったんじゃないの?」

 ソフィアのその言葉に一同がこっちを振り返る。


 「まぁ、それも考えたわよ。そっちのが効率がいいだろうし…」

 「じゃあなんで?」

 「最初に言ったけど、私が着たり、着ている人を見るのが好きだからよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」

 「なんかクリスらしいわね…」

 その言葉に無表情で眺めていた面々は、フッと笑って出口へと向かっていった。


 「もう一つ言いたい事があるんだけど…」

 他の面々がいなくなったのを見計らってソフィアが神妙な面持ちで口を開く。

 「結婚前にウエディングドレス着ると婚期が遅れるって言うじゃない?」

 「あぁ、そんなこと…」

 「あれってどうなの?」

 「さぁ? あれって迷信でしょ? それに私婚期遅れてもいいし。寧ろそっちのが助かるし」

 「じゃ、じゃあ…さ、もし、私が行き遅れたら貰ってくれる?」

 まったく…。ソフィアは心配性なんだから。公爵家のご令嬢が行き遅れる事なんてないでしょうに。


 「ソフィアはそんな心配しなくてもいいと思うのだけれど」

 「…………もう…。ホントクリスはニブチンね」

 「えっ?」

 「ふぁ〜あ」

 このタイミングで起きたメリーちゃんが、眠たい目を擦りながら私に両手を伸ばしてきたので、そのまま抱っこすると、プンプンと音が聞こえてきそうなほど不機嫌になったソフィアがメリーちゃんを置いて外へ一人で行ってしまった。

 そんなメリーちゃんが扉が閉まるのを確認したのか、そのタイミングでこっちを向いた。


 「クリス姉様、いくらなんでも鈍すぎます。流石にソフィア姉様が可愛そうです」

 「もしかして聞いてた?」

 「えぇ、全部」

 なんてこったい。

 

 それはそうと、もう一つ計画している事があるのだが、外で待っていたみんなにその話をすると、快く引き受けてくれたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ