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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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58 後日談 ウエディングドレスは誰だって憧れるもの⑥


 そんな感じで着たり見たりと堪能していると、やたら露出の多いウエディングドレスを着たメアリーが近づいてきた。


 「クリス様、いつも以上に嬉しそうですね」

 「あ、分かる?」

 「えぇ。勿論分かりますとも。もう…結婚願望があったなんてっ! 言ってくれてばいつでも結婚しましたのに」

 「いや、そんな日は来ないわよ」

 「えぇっ!」

 「なんでそんな驚くのよ」

 「結婚願望がなかったら、みんなでこんな事しませんよね?」

 「いや、私がウエディングドレス着たかっただけだし、それにウエディングドレス着た人を見るのも好きだから」

 「フェチが過ぎませんか?」

 「ソフィアやマーガレットにも言われたわ」


 だって一番好きな衣装なんだもの。仕方ないじゃない? 男の娘が着たい衣装ランキング一位(クリス調べ)でもおかしくないと思うのよ。

 「じゃ、じゃあ。、これはどうですか? ………じゃーん。これ、クリス様と結婚する時の衣装です。どうです?」

 「まぁいいんじゃない」

 「あれ? もっと背中とかぱっくり開いてる方がいいですか?」

 「うーん。まぁ、好みって人それぞれだし、いいと思うわよ」


 ホント、どうしてそんなに肩とか腕とか露出したシンプルなのが好きなのかしら?

 まぁ、暑い時はいいと思うんだけど、私はもっとこう光沢のある生地に、刺繍とかレースとかタッキングとかリボンを多くつけるとかそういうのが好きなのよ。

 まぁ、普段着ているドレスがそういうデザインのものだから、ただ生地が白のみになっただけって言わたら終わりよね。


 「うぅ…。私はクリス様と結婚する時に、これがいいなって思って選んだんですが…」

 「いや、だからそういうのも好きよ。じゃなきゃ作らないわよ」

 「ですよね。じゃあ、いつしましょうか?」

 「いやだから……」

 メアリーが大声で結婚なんて言うものだから、撮影を一時中断し、みんな駆け寄ってくる。

 その中にテオドールたんがいた事に、心がキュンってなる。


 「今、結婚したいっていいました?」「私ならいつでもオーケーですよ」「ちょっと抜け駆けしないでよ!」「いつも好きって言ってるのになんでこのタイミングで?」「これもう一夫多妻では?」「いや、ちゃんと一人に絞るべきっしょ」「あうあう僕も……」「じゃーあ、私も立候補しちゃおうかなっ」「勝てる気がしない」「もしかして、クリス様の好みのウエディングドレスを着た人が優勝なのでは?」

 「「「「「「「それだ!」」」」」」」


 勝手に盛り上がって、勝手に解釈して、それぞれがいろんなウエディングドレスを着ていった。

 おかげでパンフレットに使うようの資料が早くたまって助かるわ。

 それに、私もいろんなの見れて嬉しいわ。今日このまま死んでもいいかも。


           *      


 「なんかクリス肌ツヤよくない? こんな乾燥してる時期に」

 「そういうソフィアだってツヤツヤしてるじゃないの。どうしたの?」

 「まぁ、いろいろ楽しめたからかな」

 「そうなんだ。まぁ他の人たちもツヤツヤしてるね。そんなにここ空調いいのかな?」

 「クリスそれ本気で言ってる?」

 「?」

 「まぁいいわ。それでクリスは何着くらい着たのかしら?」

 「分からないけど、三十から先は数えてないから、後でパンフレットを見て答え合わせかな」

 「ねぇ、そのパンフレットって貰えるの?」

 「欲しければあげるよ?」

 「じゃあ三冊ちょうだい」

 「誰かに配るの?」

 「違うわよ…」


 ソフィアの考えている事がよくわからないな。

 そんな感じで和気藹々と他の人達とも話しをしていたんだけど、グリさんとグラさんが、申し訳なさそうに会話に混ざってきた。


 「あのー、クリス様…。少し申し上げにくいのですが…」

 「ん、どうしたの? まさか、データ飛んじゃったとか?」

 「いえ、必要以上に撮れているのですが…」

 「じゃあ、何か問題でも?」

 「これ、パンフレットにするんですよね?」

 「そうよ」

 「だったら、タキシードとかの写真もないとまずくないですか?」

 「あっ……」


 あらいやだ。私ったらとんだお間抜けさんね。

 そうよね。いくら男性がドレスばっかり着ると言っても、タキシード着る女性とかもいるものね。

 盲点でした。

 ちゃんとそっちの写真も撮らないとダメじゃない。ウエディングドレス着れるからって浮れてたわ。


 「じゃあ、そっちの衣装も撮らないとダメね。みんなー今度はタキシード撮るから協力してもらいたいんだけどー」

 「はーい」「いいですよー」「そこを忘れるのってクリス様らしいですね」「忘れてた私たちが言えた義理じゃないけどね」「えー、普段と同じ格好じゃん」「んー、肩幅合うかしらぁ…」


 大体はいい返事がもらえてよかったわ。

 「それと、花嫁と花婿が一緒に写ってるのもいくらか欲しいんですが」

 「組み合わせとかこっちで決めていいですか?」

 「あ、お願いしちゃってもいいかしら?」

 「任せてください」

 「良い画撮りますよ」

 最初はダメかなと思ったけど、なかなかどうして優秀じゃないのよこの二人。

 仕事も出来て気がきくし、変な趣味なのはうちのメイドも一緒だから、気にならないし。うちで働いてくれないかしら…。


 その後、タキシードやらフロックコートなど新郎衣装も撮っていったのだけど、なんだろう…。うちのメイドさんとかがああいうの着ると、男装の麗人って感じで格好良いのに、どうして私が着るとこんなに合わないんだろう。


 「どうしてクリスはこんなにも男の服が合わないのかしらね。テオドールでさえ、似合ってるのに…」

 「それ、私も実感してるところだから…」

 「あらぁ…、私も男の服がぜんっぜん似合わないのよぉ。お揃いね」

 「そうだね」

 今日仕事で欠席のロザリーがいたら同じ事を言ったでしょうね。


 「じゃあ、仕方ないから、クリスはドレスのままで良いから、私たちはタキシード姿でそれぞれ撮りましょ」

 「ソフィア様、なんて素晴らしいアイデアでしょう」「慧眼ですね」「やっぱりこの人しかいないのでは?」「わ、私はソフィアお姉様と撮りたいです!」

 その後は、それぞれ好みの衣装に着替えてそれぞれ撮っていったんだけど…。


 「そういえば、お色直し用のカラードレスがあったんだったわ」

 「「「「「「「「「「………………………」」」」」」」」」」

 「クリス様…、そ、それは一旦食事の後にしませんか?」

 あれ、みんな一気にやつれた顔になったけど、どうしたんだろうか。

 普段あんなに私にいろんな服を着せたがっているのにね。


 その後、式場で出す用の食事の写真を撮ったり、式場の内装などを撮り、一息ついた後…。

 「じゃあ、残りの衣装も撮っちゃいましょうね」

 「クリス様勘弁してくれませんか?」

 「どうして?」

 「流石に疲れました」

 「おかしいわね。普段あんなに私に着せているのに、あなた達はもう疲れてしまったの?」

 「き……気のせいみたいだったようです」「えぇえぇ。クリス様の新しい衣装が見れるなら疲れなんて吹っ飛びます」「私達が間違ってました」

 「そうよね」

 楽しい事やってて疲れるわけなんてないものね。

 その後は日が暮れるまで全ての衣装の撮影をしたのだった。


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