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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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54 後日談 ウエディングドレスは誰だって憧れるもの②


           *      


 「ねぇ、何で私の像が置いてあるの?」

 「それは勿論クリス教が崇める女神様がクリスだから」


 あれから五日程経ち、内装の装飾や家具の搬入・設置が終わったとの事で、こうして確認に来たのだけど、前回来た時には無かったはずの大きな大理石の私の像が聖堂一番奥の目立つところに置いてあった。

 ただ、気になる点がある。


 「ねぇ、こういうのって結構盛って作ってるじゃない?」

 「うん。だから、髪の毛も地面に付く位長いし、大人になったクリスを想像して作らせた」

 「そっかー。じゃあ、何で胸があんなに貧相なの?」

 「巨乳は敵。貧乳は素晴らしい。クリスの育つ見込みのない胸は最高」

 「いやいや、何でそんなに目の敵にするの?」

 「私はもうこれ以上大きくならない」

 プルプルと震え、涙を流しながらロベルタさんは悔しそうに語る。

 そんな私情を持ち込まれても困るんだけど。


 「ねぇそんな大きい胸に憧れるなら、イデアさんに頼んだら? 教皇になるんだから、お願い事の一つくらい聞いてくれるんじゃないの?」

 ハッと顔を上げ目を見開くと、パチンと手を叩いた。

 「その考えには至らなかった。成る程。一考の余地はある」

 大きくなったであろう胸を想像し、ペラッペラの胸をさすりにやけるロベルタさん。


 「だったら、この像も修復しないといけない」

 「そうだね」

 これで大丈夫だろう。女神の像がまな板だったら、関係はないんだけど、私も街でバカにされそうだしね。

 折角『フリー素材』から『女神様』になったのに、今度は『まな板』とか言われたら、どうしようかと…。

 というか普通に流れで女神受け入れちゃったけど、まだちゃんとやるなんて言ってないのよ。


 「ねぇロベルタさん…」

 「ん…、さんはいらない。クリスは女神様。私は敬う側だから」

 「いや、だから女神じゃないって…」

 「そんなことはない。街の人に敬われ、慕われてる。つまりそれは信仰の対象。誇っていい。よってクリスは女神様。QED証明終了……」

 何その理論。というか、なーにが証明終了だよ。ぜんぜん証明出来てないよ。


 それに慕われてるなんて思えないのよね。

 街中で私を模したキャラクターの看板とかポップとか至る所にあるけど、集客効果があるから使ってるに過ぎないと思うの。

 その証拠に風俗街でも私っぽいキャラクターの看板があって、『領主様ホイホイ』なんて言われていたくらいよ。

 まぁ、お母様がお父様諸共鉄拳制裁したから無くなったらしいけど……。


 「それに今更変えられない」

 「どういう事?」

 「アーサーが銅像作って街に設置し始めてる」

 あいつ何してんだよ。しこしこフィギュアだけ作ってなさいよ。いや、よくはないか。


 「別に女神様でもいいじゃないのよぉ…」

 私とロベルタさんの議論が平行線のまま膠着状態になっていると、後ろからエリーが声を掛けてきた。

 「いや、正直遠慮願いたいのよね。平穏無事に生きたいというか…」

 「それは無理」

 「それは無理よねぇ」

 二人して速攻で否定しないでほしい。

 「私達が今更平穏なんて求められるわけないんだから、せめて少しでもいい立場にいれるようにしたほうが賢明よぉ」

 そういうもんなのかな?


 「私もぉ、エリー教ってのを作ったのよ」

 「あー…作ったんだ。やっぱり」

 満面の笑顔で身振り手振りで話すエリー。

 「宰相様が認可してくれたからねぇ…。ちゃーんと教義(ドグマ)もきっちりつくったわぁ…。お陰様で毎日ズッコンバッコンよぉ…」

 あ、もうこの先聞きたくないかも。

 待って、ロベルタさん。気配を消してススススと横に並行移動しながら逃げないで。


 「この前戴いたアイデアル教の神官達なんだけどね、すぐにうちの宗教に馴染んでくれたみたいでねぇ。今では腕まですっぽり入るくらいほぐれて…」

 あーもう聞きたくない聞きたくない。

 尚も嬉々として語るエリーが悪魔に見えてきたわ。


 「もう、毎回涙を流して歓喜の声を上げるの。私もついついやりすぎちゃって、気付くといっつも太陽さんが登ってるのぉ…」

 それからエリーは自領の屈強な男達が皆、毎日鍛錬そっちのけで衆道に励んでいて困っちゃうわ。なんて話を延々と聞かされた。

 「あら、クリスちゃんそんなにげっそりしてどうしたの? もしかして溜まっちゃった?」

 「ちがう」

 「あら、そぉう?」

 こんな苦行、宗教にもないでしょ。

 ようやくエリーの自慢話から解放され、外に出るとテオドールたんが聖女の衣装でみんなと話をしていた。


 「あぁテオドールたんっ…」

 そのまま抱きつく。あぁ…癒されるぅ…。

 「わぁっ! く、クリス……」

 この慣れてない感じいいですね。

 顔が赤いのは寒さかな? それとも…。


 「ちょっとクリス、そういうのは私にやりなさいよっ!」

 ソフィアが怒りながら近づいてくる。

 「そうですよクリス様」「私はいつだってウエルカムです」「フリーハグプリーズ」「でもこれはこれで絵になるのよね」「でも私は抱かれたい」

 そしてうちのメイドさん達からも非難轟々に責め立てられる。


 いいじゃん別に。テオドールたんはなんか癒されるのよ。

 しかし抱いていたテオドールたんがだんだん熱くなってくる。

 そっちを見ると、目をぐるぐる回し、ゆでダコのよに真っ赤になって湯気を立てている。やりすぎたかしら? それにしても免疫なさすぎない?


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