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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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45 昔を思い出す


           *      


 その後、別の部屋で眠っていたテオドールに、うちのメイドさん特製の聖女の衣装を渡して着てもらう事になったのだが…。


 「えっ! こっ……こここ……これを僕が着るのですか?」

 「はい。そうです」

 「こ、こんなフリフリの………」

 「とてもお似合いかと思いますが…」

 「で…でもでも、こことか開いてるし、丈も…短いし……は……はず………恥ずかしいです……」

 「こちらは聖女様の正式な衣装になりますので、着ていただかないと」


 「ど、どうして僕が聖女に?」

 「女神様以下、信者の方々がテオドール様を聖女とお認めになったからです」

 「うぅ……どうしてぇ? ねぇ? アーサーもお父様も?」

 「えぇ。嬉しさのあまり、涙を流すほどに…」

 「そ……そっか……。なら着ないと…いけないよね………」

 「えぇ。お着替えは我々がお手伝いいたしますので」

 「うん…………」


 うちのメイドさん達が、何人も取り囲んでテオドールを説得している。

 壺とか買わせる時の詐欺の手口みたいに、退路をどんどんと絶っていく。

 最終的には契約しないと解放してくれないのは一緒よね。


 そんなテオドールを見て、昔の自分と重ね合わせていた。

 まぁ、実際最初に女装する時は勇気いるよね。


 どの服を最初に購入するか、どこで購入するか。

 届いた箱の軽さに意外と驚いたり、物によっては、生地が薄くて安っぽかったりして、失敗したなーとか、今回は当たりだったなーとか。

 このパーツはどうやってつけるんだろうとか、ボタンが左右逆なんだなとか。

 初めてスカート履いた時とか、頼りなく感じたし、下見えちゃうなと思ったり、ホックがなかなか止まらなかったり。

 フリフリの袖を通した時、意外と先まで行かないで下に垂れたりとか、着ている最中興奮してるのに、鏡を見た瞬間萎えたりね。


 どの化粧品買っていいのか分からなくて、買ったはいいけど使い方がわからなかったり、落とし方も知らなかったのよね。

 ウイッグも、自分の趣味で買ったら似合わなかったりしたわね。

 ……………いろいろと過去の事を思い出してしまったわ。

 ふっ…。あの頃は若かったわね。右も左も分からないし、情報もそこまで多くなかったからね。ネットって偉大だわ。

 今ならいくらでもやり方や失敗談が載っているものね。


 まぁ、口では散々嫌だと言っているけど、あの表情を見るに期待に心含ませているのは分かるわ。

 だって、服から視線を離さないもの。テオドールの心の音がこっちにまで聞こえてきそうなくらい、ドキドキしているのが伝わってくる。

 ………………………。

 メイドさん達が自分の趣味でいろいろ提案しているけど、それだとテオドールたんの可愛さが全部表現出来ないわ。


 「あなた達、自分の趣味を押し付けないで、もう少し全体を見なさいな」

 「クリス様が自発的に意見するなんて…」

 「表舞台から去って、長いこと沈黙を守っていたクリス様がついに……」

 「久しく聞いていなかった、あのコーディネート術がまた聞けるのね?」

 そんな大仰な事してないし、ただ、自分の好みを言っていただけでしょうに。

 それに、最近私が特に意見しないのは、満足しているからよ。


 まぁ、そんな私が口を挟んでしまいそうになるくらい、テオドールたんはかわいいし、そのかわいさを台無しにしてしまう可能性があるってだけの話なんだけど。

 まぁ、たまには私が口を出したっていいわよね。

 私がニッコリ笑うと、テオドールたんは袖で顔を隠してしまった。

 やっば。まじかわいいんですけど。

 これは腕がなるわね。


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