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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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44 いろんな事がトントン拍子に決まっていきますね


 「とりあえず、話はいいかな?」

 お父様が、収拾のつかない会話をぶった切る。


 「そうね。ところで、どうしてあーしさ…………、クオンさんが手伝ったの?」

 「今あーしさんっていいかけたでしょ? まぁいいけどさー」

 「この子含めた三人が本当の転生者だからよ。あの筋肉ダルマは違うわ。それでー……」

 「ちょ! そんな重要なことさらっと流さないでよ」

 「えぇ…、知ってたんじゃないの? まぁ、そっかーそういう設定にしてるんだものね」

 「まぁー……………そうね。アレにバレちゃったから口裏合わせたらそうなったのよ…」


 という事は、プロフィアさんもそうなのか。あと名前しか知らないけどギガさんだっけ。どうりで、違和感があったわけだよ。

 「ちなみにあーし達三人とも前世は男よ」

 グリンと音を立てて女神に振り向く。

 「どうして私は中途半端に男に……」

 「いいじゃないのよ別に…」

 全くこっちをみて話そうとしない女神。


 そんな時、書斎のドアがノックされ、返事も待たずにドアが開けられた。

 「そろそろ話はすんだかな?」

 宰相が入ってきたが、これ以上ここで話すわけにもいかず、全員で応接室へ向かった。

 全然話も進まなかったし、まとまらなかった。聞きたい事も聞けなかったけど、いつか聞く機会があるのかな?



 応接室へ行くと、宰相が教皇の横に座った。

 アーサーは父親である教皇の横に座って待っていた。

 お兄様とお姉様はその反対側に座ってお茶を飲んでいたが、自称女神様を見ると、席を空けてソファの後ろへ回った。

 「あら、ありがと」

 そう礼を言って座る。

 お父様はお誕生席みたいなとこに座った。

 ロベルタさんはお父様の横、宰相のいる側に立った。

 私とクオンさんはお姉様の横に並ぶように立った。


 「では…今後のアイデアル教とクリス教についてだが………」

 宰相が言うには、今後アイデアル教は縮小、もしくはクリス教の下部組織として管理するとの事。そのクリス教だが、今まで好き勝手やってきた事、特に信者や孤児達を食い物にしてきた事や強引なお布施や寄付の強要。監視できていなかった事を踏まえ、国の裏組織で管理(公には国教として国で管理)していく事となった。

 そして。現アイデアル教教皇は引退し、新しく作ったクリス教の教皇としてロベルタさんが、学園卒業後に就くそうだ。卒業までの一年である程度整えていくそうだ。

 とまぁ、こんな感じである程度決まり、あとは根回ししておしまいだそうだ。


 特に、議会で話し合わないのかなと思ったんだけど、王家に反旗を翻す可能性のある貴族も結構いるので、足元を掬われかねないと判断し、なし崩し的に成立させちゃおうとの事だそうだ。

 私の知らないところでこんなにも決まっていたなんて。

 しかし、結構急ごしらえでやったものだから、結構粗が目立つな。ちょっと弁の立つ人とかが、難癖を付けてきそうな気がするのよね。

 まぁ、女神様がいるんだから大丈夫よね。って思ったら、船を漕いでるんだけど、大丈夫なのかしらね?


 そんな感じで議論は進み、改善点を修正し、ある程度まとまったあたりで、オーガストさんが一つお願いをしてきた。


 「こんなことになって、非常に申し訳ないのだが、息子のアーサーは何とか、クリス教で見習いとして置いてはもらえないだろうか? わがままだとは思うのだが、この子には宗教以外の道を教えていなくてな…」

 あー…、そういえば、設定では未来の教皇様になるんだよね。あんなんだけど、エリートなんだよね。それが、道を断たれたら何をしていいのか困るよね。


 「いえ、父上いいのです。私はこの街に来て見てやりたい事を見つけたのです」

 「そ、そうか…。それは一体なんだね?」

 一瞬驚いた後、嬉しそうにしてアーサーに向き合うオーガストさん。

 「はい。この街の皆さんは大変女神様を敬愛されておりまして、そんな皆さんが一人一つ。熱心な方は複数個の女神様の偶像、フィギュアというものを持っていまして……」

 なんか嫌な予感がする。


 「皆さん、それに祈りを捧げているのです。私もそれを幾つか見させていただいたのですが、とても精巧で女神様の素晴らしさを余す事なく表現していました」

 「ほう…。そんなものがあるのかね」

 「はい。ですので、私はそれを作り広める活動をしたいのです」

 それ布教活動って言うんじゃないですかね?


 「私はいいと思う。うちで作って広めるのは大賛成。流石に最初から幹部では問題があるから、まずは見習いとしてならいいと思う」

 「ロベルタ殿もこう言っておられるし、アーサーの好きなようにやりなさい」

 「はい。父上!」

 いい感じな雰囲気だけど、お宅の息子さんがフィギュア職人になりたいって言っただけですよ?


 「そして、ロベルタ様。私をクリス教の末席に入れていただいた事、感謝します」

 「ん…。励むように」

 誰が始めたか分からないが、どこからか拍手の音が聞こえ、私とアーサー以外のみんなが拍手をしていた。

 流石に気まずいので、私も拍手したんだけど、なにこれ?


 「ありがとう……。みなさんありがとうございます。これからも精進いたしますっ……」

 感極まって涙を流しているけど、なにこの茶番。

 そこで、アーサーは何かを思い出したかのようにロベルタさんの前に、再び跪く。

 「あのっ…、こんな事をお願いするのは大変不躾ではあると思うのですが…」

 「なに?」

 「クリス様が女神様であるのは、異論を挟む余地も無い事実ではあるのですが…」

 事実じゃ無いんだけど?

 というか、みんなうんうん頷いてるけど、どんどん異論を挟んでいいのよ?


 「クリス教の聖女にテオドールを指名したいのですが…」

 「分かった。認める」

 「おぉ」

 いや、馬鹿じゃないの? なにそんなあっさりと認めてるのよ。

 分かってるの? テオドールは男よ? まぁ確かにかわいいし、天然物の男の娘ではあるのだけど、聖女が男ってどうなのよ?

 こんな馬鹿らしい事、流石の自称女神様も納得しないんじゃ?

 そう思って声を掛けようとしたんだけど……。


 「いいじゃない。いいじゃないのよ。アーサー、あなた最高よ。とっても見る目があるし、素晴らしい考えだわ。見習いなんて卒業よ。あなたは一人前のクリス教の信者よ」

 「あ、ありがとうございます…。ですが、私はまだまだ修行の身。見習いで結構でございます。それよりも、聖女であるテオドールには、是非ともあのシスター服を着せてあげたいっ!」

 それが本音でしょ? 


 まぁ……そうね。テオドールは似合うでしょうね。

 でもいいんですか? お宅の息子さん聖女になって女装する事になるんですけど?

 そんな事を言おうと思ったら、最初は、眥を抑え涙を拭う仕草をした。

 ほらぁ…。涙が出るほど悲しくなったんでしょ。

 「…そうか。私の息子が聖女か…。確かに…そうだな。聖女級にかわいいものな………。うむ。私も賛成だ」

 えぇ……。ここにまともな人はいないの?


 ちらっと横を見ると、満足そうな顔をしたお兄様とお姉様がこっちを見ていた。

 「女神の姉として誇らしいわ。女神の姉って事は、私も女神よね」

 「そうだね。僕も女神の姉として嬉しく思うよ。僕も女神だよね?」

 今度は自称女神が二人増えてしまった。

 女神という割には、随分と慎ましい胸ですよねお姉様。

 まぁ、お兄様は私と一緒で無いので仕方ないですが…。


 「悪かったわね女神みたいな体型じゃなくて! これから大きくなるのよ! 見てなさいよクリス!」

 どうやら、どこを見ていたのか分かっていたようだ。

 ボソッと、本家自称女神様が「もう無理だと思うな」と言った後、お姉様に胸を鷲掴みにされて助けを求めていた。

 女神ならその状況、自分でどうにかできるんじゃないですかね?


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