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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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43 本物ですか?②


 そういえば、あーしさんうちに来たのに、殆ど会わなかったんだよね。最初の頃にパジャマパーティーしたくらいだ。

 マスクを外した途端、気だるげに腰に手を当てる。


 「はぁ…。今回あーしだけ、大変だったんだけど。一人だけ忙しかったし…。全然バカンス出来なかったし」

 「悪いと思うのよ。でも私だけじゃ出来ないから、あなたを頼ったのよ。でもほら、ちゃんとお願いは叶えるからさぁ」

 「そんなの当たり前だしー」

 クオンさんのお願い事ってなんだろう? 新しいシュシュが欲しいとかかな?


 「ほんっと、融通きかないむっさい男の中で仕事とか、嫌なトラウマ思い出しちゃうし」

 クオンさんの愚痴で自称女神様がタジタジになっている。

 このままだと話が進みそうにないので、とりあえず止める。


 こういうのはお父様が止めるべきだと思うのだけど、ただただニコニコしているだけで全然使えない。

 「ねぇ、話が進まないから、言い争うなら後にして」

 「むぅ…。まぁ、しゃーないか…。えっとねー、この自称女神がおこなんだけど、代わりに私が手伝った感じ?」

 なんで疑問系?


 「まぁ、まとめると、この国の教会って悪いことしかしてないのよね。今も昔もね。それで、上の方の神(上司)にもどうなってんだ? って詰め寄られて怒られちゃってー、それなら一回潰して、別の宗教作ったほうがいいかなって思ってー」

 「そんな簡単にやっていいんですか?」

 「いいのいいの。他の国ではちゃんとやってるみたいだし? 私としてはー、最高傑作のクリスちゃんを女神様にして新しい宗教作ったほうが利点多いし。私の後輩女神として布教させるもの」

 「いや、私は女神とかやりたくないんですけど…」

 「大丈夫よ。『見た目は一緒ですが、実際のクリスちゃんと女神は別です』って注意書きしておけば大丈夫じゃない?」


 そんなのうちの領民が信じるわけ………。

 うん…。今日の様子を見ていたら上手くいきそうな気もするわ。でもね、そんな雑な詐欺まがいの注釈でどうにかなるわけないと思うんだけどな。


 「そんな無責任な…」

 「まぁまぁ…。落ち着いて。そもそも、あのまま残しておくと内戦に発展しそうだったからね」

 「えっ!」

 内戦って、国家転覆でも狙ってたんですかね?


 「だから、ジェームズちゃんに事情を話して、クオンちゃんと一緒に手伝ってもらったのよ」

 「ちなみに、全部じゃないけど、宰相と教皇も知ってるよ。だから、クリス教は認可されるだろうし、この国でのアイデアル教は無くなるだろうね」

 そんなやばそう事知りたくなかった。

 そもそもお父様と自称女神様はどうやって知り合ったんだろうか?

 お父様の伝なら可能なのかな?


 「だから、この宗教は我々裏の方で管理する事になったんだよ」

 「そうそう。で、最初の教皇として、ロベルタちゃんにお願いしようと思ってねー」

 「えぇ…そんな勝手にいいんですか?」

 「構わない。うちは兄弟多いし、私に取っても得だから」

 そう言って前髪を持ち上げた。


 「その目って……」

 「そう。私には半分女神の血が流れてる。うちの家系はそういう家。特に私はその血が色濃いの」

 自称女神様のイデアと同じ金色の瞳をしていた。


 「私の野望も実現しやすいから受け入れた」

 「野望って?」

 「ちっちゃい胸は素晴らしい。最高のステータス。平たいほどいい。私はそれを普及させたい」

 「あんたの胸が育たないだけでしょうに」

 「脂肪の塊をそんなにぶら下げているのは不自然。異常…」

 ちらっと女神を見る。


 「悪かったわね。小さくて。女神の癖に大きくなくてすいませんね!」

 「何も言ってないじゃないですか!」

 「そのくらいわかるわよ! 女神なめないでよねっ! もう、そんな言うんなら、クリスちゃんのお胸おっきくしちゃうわよ」

 「え、本当に?」

 「…………やめた。嫌がるならやったけど、そんな風に期待するならやらない」

 「そんなっ………」

 胸だけじゃなくて、あれも付けて欲しかったんだけどな。

 でも、こんなんじゃ暫くは無理かな…。


 「もうクリスちゃんを改造する予定はないですよーだ」

 「⁉️」

 「女神として徳を積んだら考えないでもないわ」

 お姉様みたいにイタズラっ子みたいな表情で見下ろされた。なんか腹たつなぁ…。


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