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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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42 帰り道/本物ですか?


           *      


 帰りの馬車の中で、テオドールが私にしがみついて離れない。懐かれる事したかな?

 そんな様子を向かい側の宰相、教皇、アーサーとほのぼのした顔で見ている。


 「クリス好き…」

 「私も好きですよ女神様」

 「はっはっは。君は随分と人に好かれるのだね」

 「婚約者が決まっていなければ、うちの息子をと思ったのだがね」

 「あ…あはは…」

 今思うと、この女神様騒動を利用すれば婚約破棄出来たんじゃないかなって思ったんだよね。


 『私、女神なんで結婚できないです』とか、『シスターは生涯独身です』或いは、『男子禁制なのでもう会えません』なんて方向に持っていけたかもしれないのに。

 しかしテオドールは子犬みたいな懐き方だ。

 ふむ…。この状況なら、いろんな可愛い服を着てもらえるかもしれないな。

 そう考えると早く家に着かないかなと思ってたんだけど、やっぱりこの時の自分をぶん殴ってやりたいなって後になって思うのだった。


 家に着くと、玄関前でメイドさん達が並んで待っていた。

 「クリス様お帰りなさいませ。ご主人様がお待ちですよ」

 そう言って私だけ先にお父様の書斎に案内された。

 今回ばっかりは何を言われるのか想像できない。


 「私達は応接室で待ってるからね」

 お姉様とお兄様が宰相と教皇とアーサーを案内していた。

 テオドールは、別のメイドさんに別室に案内されていた。

 ちなみにアンさんとキャロルさんは、後はどうぞご自由にとの事で、その場で解散となっていた。

 「えぇ…、私達は案内ないんだ…」

 「きっとアンのせいよ」

 「いいわ。いいわよ別に…。やりすぎたのは自覚しているし。……………今のうちにクリスきゅんの部屋漁りましょ」

 「そういうところよ、アン…」


           *      


 書斎へ入ると、お父様が「おつかれ」と言って立って待っていた。

 そして、その横にはさっき到着したばかりのロベルタさんがいた。

 どうして私より先にいるのか不思議だったが、それよりももっと気になるものがあった。


 ソファに座る女性と後ろで侍る女性がいた。

 驚いた事に、どっちも同じ顔と格好をしていた。

 ソファに座る女性はにっこりと笑顔になると、立ち上がり私の前まで来て、両手で手を握る。


 「んふふ〜。一応初めましてになるのかしらね」

 「いや、一昨日も会いましたよね」

 「あぁ…そうだったわね。でもお話ししてないからノーカンよ」

 「はぁ…」

 いったいこの人はなんなんだろう…。


 「私はね、この国であなた達が信仰してるアイデアル教の女神よ」

 「えっ!」

 「この国ではアイデアルとか言われてるけど、他の国ではイデアルとかイデアとかいろいろね」

 「えっ…、本物の女神様なんですか?」

 「そうよー。あなたを転生させたのはこの私イデアよ。あ、イデアってのが正しい名前ね」

 さらっととんでもない事を言われたんだけど。


 「どうかしら、その体は? 気に入ってくれた?」

 「え、えーっと……」

 まぁ、気に入っているといえば気に入ってるけど、どうせこんなにかわいいなら女の子にしてくれれば良かったのに。

 顔はいいのよ。でも、胸はないし、あそこは無駄に大きいし…。


 「あんまり気に入ってないのかしら?」

 「いや…そんなこと…ないですよ……」

 「本当に? わざわざ可愛い男の娘にしたのに不満なの?」

 「分かってて言ってますよね?」

 「いやぁ…最初は私も女の子にしてあげようかなって思ったんだけど、やっぱり自分の趣味に嘘はつけなくってね」

 急に俗っぽくなったな。


 「でも安心していいわよ。ある程度の年齢までいったら老けないから」

 「えっ!」

 「いやいや、それはそれで奇異の目で見られるし、それこそ女神なんて呼ばれちゃうじゃない」

 「それが目的よ。将来的にあなたをスカウトしたいんだもの」

 ただでさえ現時点で結構めんどくさい事やってるのに、これ以上面倒そうな事はやりたくないので辞退したい。

 「あ…ありがたい申し出ですが、辞退させていただきます」

 「もう内定してるから無理よ」

 ははは…。神様流のジョークは笑えないわね。


 「そういう事にしておきますね」

 「全然信じてないわね」

 「まぁ、いきなり自称女神が現れたらそうなりますよ」

 「自称じゃないわよ! もう信じてないのね。じゃあ証拠見せるわ。ジェームズちゃんを見なさいな」

 お父様を見ると、顔に艶があり、血色もいい。

 「いやぁ、私も半信半疑だったけど、こうもいろいろ見せられてはね。今まで神は信じてなかったけど、信じざるを得ないねぇ」

 胃のあたりをさすっているってことは、胃もたれでも直してもらったのかしら?

 激辛料理の食べ過ぎが原因なんだからそれを止めればいいだけなのにね。


 「まぁ、話が進まないので、とりあえず信じますよ。それで私に何の用です?」

 「全然信じてないじゃない」

 だって信じられる要素がないんだもの。仕方ないじゃない?

 「ま…まぁいいわ…。えっと…話したい事はいろいろあるのだけど、時間がないから端折るわね。今回はそこの子に手伝ってもらったのよ」

 そう言って、ソファの後ろで立っていたもう一人を指し示す。


 そうだ。どうして同じ顔をしているのかと思ったら、首のあたりをカリカリした後、そこから皮を剥がすように上へ持ち上げた。

 スパイ映画とかでよく見るやつだ。すげぇー。本物だー。うわぁーかっこいいー。

 「興奮するとこはそこなのね……」

 「いやだって、他人のマスク剥がすことってロマンじゃない?」

 「よくわからないけど、あなたがそう思うんならそうなんでしょうね…」

 マスクを剥がして、現れた人物には意外なことにあーしさんだった。


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