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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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38 夏休み最後のイベント


 そんな大人数で街の中をぞろぞろ歩いていると、嫌でも声を掛けられるが、やっぱり拝んでくる人が何人かちらほらと出てくる。

 いままでのふざけた感じじゃなくて、完全に宗教感ある祈り方だから気味が悪い。


 そんな中で一人見知った顔が、私を見るなり拝んできた。

 「ちょっとビーン。あなたまで何やってんのよ…」

 「だから俺はビーンじゃ……、もういいやそれで…。…いやな、街でクリスを見たら拝むと願いが叶うって聞いてな。だから、この前の可愛い子達にまた会いたいなって思って………、………マジか……願い…叶っちまったよ……」

 言ってるそばから、また祈りだす。今度はきつく目を閉じて。

 別に神様じゃないんだから、お祈りしたって、お願い事なんて叶えられないわよ?

 まぁ、実際神様だってそんなくだらないお願い事は叶えないでしょうけどね。


 そして、当のアリスとメタモは忘れているらしい。

 「誰だっけ?」

 「あれよあれ。街中でパンツちょうだいって言ってきたから返り討ちにした人」

 「あぁ、あれかぁ」

 残念。はずれよ。あなた達にかき氷奢ってくれた人よ。なんかちょっと可哀想になってきたわ。

 というか、聞きづてならない事言ってたわね。そんなあからさまな犯罪者がいるんだったら、ちゃんと憲兵隊に知らせないとダメじゃないの。

 まだその辺をうろうろしてるって事よね。危ないなぁ。

 まぁ、私の後ろにも一言一句違わずに言う人たちが十数人程いるから、危機感が麻痺してきちゃってたわ。あとでお母様に言って一回しょっ引いてもらったほうがいいでしょうね。


 しかし、恩をあだで返すというか、無頓着というか…。

 「いやいや、前にクリスをさらった奴でしょうに」

 「そうだね。今はかき氷屋さんで働いているはずだね」

 「え……あれ、そうだっけ?」

 「あー、なんかそんなのあった気がするー」

 お兄様もお姉様も意外と情報得てるんだな。しかし、そこまで言われて記憶が朧げなんて、かわいそう…。


 「なんですって! 私のクリスきゅんを攫った?」

 あー…めんどくさい人が引っかかっちゃった。

 「その手があったわ!」

 「はいはい。あんたは一番そういうのやったらダメだからねー」

 「わ、私だってそこまではやらないわよ。多分……」

 全く。おかしい人はほっといて行きましょ。


 歩き出そうとしたところで、再度ビーンに声を掛けられる。

 「あ、そうだ忘れてたわ」

 何かを思い出したのか、それとも祈り終わったのか、ビーンが続きを話し出す。

 「なによ?」

 「さっき教会の人間かな? 子供とおっさんを馬車に無理やり押し込んでどっかいっちまったぞ?」

 「あなたそれを早く言いなさいよ」

 「いやぁ、憲兵隊の詰所に行く途中でお前を見て、つい、な」

 ついじゃないわよ。


 「お兄様、お姉様これって…」

 「そうだね。夏休み最後のイベントだね…」

 「待ちきれなくて、焦ったみたいね」

 「じゃあ、みんなお片づけしようか…」

 お兄様が言い終わると同時に私達三人以外がどこかへ姿を消してしまった。

 それを唯一目撃したビーンが目を丸くする。

 「お前達って一体…」

 それにお兄様が柔らかい笑顔で返す。

 「ただの貴族だよ」


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