32 一旦休憩
とりあえず、話が長くなりそうだったので、一旦調理場へ行きお菓子とお茶を探しに行く事にした。
お菓子を取ってくると言った時のソフィアの変わり身は凄いよね。
『お菓子』の単語だけで、子供みたいにウキウキするんだもの。
早く取ってこなさいと言わんばかりに部屋から追い出された。
まぁ、来ると分かってれば何か作ったんだけどね。生憎今日は何も作る気もおきなかったし、昨日作っておいたお菓子を子供達にあげちゃったから、何が残ってるか分からないし、今日はベルさんは休みなので、下手すると何もないかもしれない。
そうなった場合ソフィアはどういう行動をとるのかちょっと気になってしまうわね。
駄々をこねた子供みたいに喚き散らすか、人生に絶望した人みたいに落ち込むのか。将又自分で作り出すとか言い出すかもしれない。
まぁ、何にせよあるものを適当に預けとけばいいでしょ。
まぁ、急に来たからって、今からいきなり団子を作るほどの時間も体力もないんだけどね。
「何かないかしらねー。ソフィアが満足するものー」
とりあえず、冷蔵庫の中を開けてみると、『メアリー』『サマンサ』と書かれたプリンの瓶が二つずつあった。
「……………まぁ、バレなきゃいいのよ…」
ペリッと付箋を剥がして丸めて近くのゴミ箱に捨てる。
「他に何かないかなー」
お姉様、メアリーと続いてお菓子をバカみたいに食べるソフィアがプリン一つで満足するわけないからね。
冷蔵庫の中を更に確認するが、特に目ぼしいものは見つからなかった。
次に探すのは茶棚。きっと何かあるだろう。
「お、あったあった。ま、これくらいあればいいよね」
メアリーが隠していたであろう、クッキーやクレープ等の保存が利きそうな方の焼き菓子が結構な量出てきた。
「さて、飲み物はどうしようかしら」
さっき冷蔵庫を見た時にはジュース類は無く、あったのは麦茶とお酒くらいしか無かった。
「……お湯沸かすのも面倒だし、暑いから麦茶でいいわよね」
とりあえず、トレーに乗せて部屋に戻る。
こういう時メイドさんが手伝ってくれてもいいと思うのよ。
一階から二階に持ってくわけだから、ちょっとしんどい。
「ねぇ、プリンとクッキーに麦茶ってどういう組み合わせよ。おばあちゃん家行った時の組み合わせみたいじゃない」
開口一番、ソフィアが飲み物にケチをつけた。まぁ予想通りではある。
「嫌ならいいよ。お菓子があっただけでもいいじゃない。来るとわかってれば用意してたんだけどねっ」
「飲むわよ。誰もいらないなんて言ってないでしょ」
腕で大きく隠すようにするソフィア。別に取ったりしないんだから、そんな独り占めみたいな事しなくてもいいのよ?
「なんか、クリスって大変なのね?」
「分かる? そうなのよ。この人っていっつもこう…」
「ちょっと好感度下がっちゃったなぁ…」
まぁ、食い意地以外はまともだから。多分…。




