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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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30 メイドの奇行のレベルが上がってる気がする


 三人が部屋を出て行ったので、どうせどこかで見ているであろうメイドさん達に呼びかける。

 「ねぇ、いるんでしょ? お客さん来てるんだから、もう少しまともな服に着替えさせてよ」

 その瞬間、部屋の至る所から出てくる出てくる。


 ………いや、ちょっと待って。多くない? どんだけ隠れていたのよ…。

 天井から三人。床下から二人。クローゼットから一人。チェストから一人。ベッドの下から一人。天蓋の上から一人。ベランダから二人。扉から一人……………。

 流石に壁からは出てこないのね。

 そんな事よりも、仕事しなさいよあなた達。仕事しないでいいのはメアリーくらいよ? いやよくはないんだけどさ。


 「一番手フィジーいきます。では、こちらはどうでしょう…」

 「今着てるのとほぼ変わらないし、どっちかというと水着じゃない。却下」


 「二番手ロココ…。では、こちらを……ぐふふ……」

 「お前さぁ……、これ服って言える? 紐じゃん。却下」


 「ふふ…ロココはバカですね。着てもらえなければ意味がないのです。ビシューがオススメするのはこちらです。こちらをどうぞクリス様」

 「あーなるほどねぇ…。なるほどなるほど。胸と股間部分だけ隠すタイプね。却下」


 「クリス様、そうやってなんでも否定してはいけませんよ。そんなに露出が嫌ならこれでどうです? ヒナナは逆のパターンを提案します」

 「そうくるとは思わなかったわ。なるほどねぇ…………この夏の暑い時期に拘束衣ですか……。はい却下」


 「あなた達はクリス様の趣味を分かっておられませんね。メイド長たるものクリス様の好みを把握していないといけませんからね。これなら満足いただけるかと…」

 「わーすごーい。全部スケスケだぁ。却下却下アンド却下。全部丸見えじゃない!」


 「もう…。わがままばっかりですね。マーブルはこういうのがいいとおもうのです。これならどうです? わがままなクリス様が求めてるのはこういうのですよね?」

 「あ、いいじゃん。ちょっと短いけど、今までのが酷すぎるからすごくまともに見えるわ」

 「では、私ので決まりですね?」

 「そうね。ところでマーブル、この飛び出してる紐は何かしら? 解れてるわよ?」

 「あぁ、それは引っ張ると、こうして全て分解するようになってます。どうです? 画期的じゃないですか?」


 「……………………はぁ………」

 その後もロクな衣装は無く、今着ているのが一番マシという結論に達したのだった。

 「あなた達、そこに正座しなさい。少し説教が必要ね」

 どうせ従わないんだろうなと思っていたら、全員二列に並んで正座した。

 やけに素直で気持ち悪いんだけど…。


 ソフィア達が来るまでの間、『もう少し慎みを持て』とか、『節度を守りましょう』とか初歩的な事から、コスプレとは何か。ただ露出させてればいいいというわけではなく、そのキャラクターの個性や魅力を最大限表現するものだと、ただ着るだけじゃダメなんだと言っているんだけど、どうもメイドさん達の視線が同じ場所を見ている気がする。


 本当に反省してるんですかね? 話聞いてます?

 視線の先を確認すると…………。なるほどね。丁度視線の高さと合うのね。

 ほんっとこいつらは………。

 呆れて、手でもう立っていいと促すが、全然立つ気配がない。


 「お構いなく…」「お気になさらずに」「どうぞ続けてください」「ビシューもうちょっと右にズレてくれない?」「あのメイド長がはっちゃけるなんて」


 そうね。私の理想の大人像のアンジェさんが、他のメイドさん達と一緒にはっちゃけるなんて私も思わなかったもの。

 もしかして一番のむっつりすけべさんだったのかしら?

 それなら娘のアリスとメタモがあんなんなのも納得だわ。

 ちなみにアリスとメタモに関しては衣装を出す前に却下したわ。だって二人とも荒縄だったんだもの。見なくても分かるわ。


 着替えが終わったのか、ソフィア達が入ってくるなり、ソフィアがまたもや意味不明な事を言う。

 「くっ…クリスが()()の説教している」

 本当のとは?

 まぁ説教には違いないんだけど、聞いてないんだったら無意味なのよ。


 「ほら、ソフィア達が戻ってきたから、あなた達は仕事に戻りなさいな」

 「「「「「「「えぇ~~っ」」」」」」」

 なんでそんな不満なの? だって正座よ? そろそろ足に来る頃だと思うのよ?


 「じゃあ、強制執行しますね?」

 メイドさん達の背後に回り足の指の辺りをそれぞれ蹴っていく。

 「「「「「「「~~~~~~~~~!!!!!!!!!」」」」」」」

 「「~~~~……ぃ……いぃっ!!!」」

 「あっ………………」

 どう? 普段正座なんてしないから、痺れた足の辛さを知らないでしょ? って、待って二人くらい恍惚の声出してたわね。誰よ?


 悶絶しているメイドさん達の中で一人正座の体制を崩していない強者が一人いた。アンジェさんだ。

 流石メイド長。メイド長たるものちょっとやそっとの事では動じないんですね。

 でも、顔を真っ赤にして涙目になっているのはやっぱり辛いんですね。

 無理しないほうがいいですよ?


 なかなか立とうとしないアンジェさん含めメイドさん達を無理やり掃き出すように廊下へ追い出す。

 あれ? 何か床が濡れてる? 正座のしすぎで汗でもかいたのかしら?

 まぁ、暑いからそのうち乾くでしょ。


 ソフィアが唇に指を当て羨ましそうにしてるけど、何も羨む要素なんてないでしょうに…。

 エリーとマーガレットは半ば呆れた表情をしている。これが正解よソフィア?


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