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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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27 止める人がいない怖さ


           *      


 宗教の恐ろしさをまざまざと、現在進行形で体感しているわけだけど、これ収束できるのかしら?

 こんなにみんなで女神を讃えているけれど、これが洗脳によるものじゃなくて自発的なところが怖いわよね。


 「男女兼用………」

 アーサーが顎に手をやり考える。

 そうだよね。やっぱりおかしいよね。

 「何か気になることでもありますか?」

 ロザリーがアーサーに近づき声をかける。そういえば知り合いなんだっけ。


 「ロジエ! ロジエじゃないか」

 「…その名は捨てたと言ったじゃないですか。今はロザリーです。次間違えたら去勢しますよ?」

 「うっ…、そ、それは困る。私には叶えたいことが夢があるのに…」

 叶えたい夢とはなんだろうね。


 「ところで、その……、ロジ…ロザリー、凄く扇情的だね」

 女性に言ったら、即警察呼ばれるタイプの文句だね。

 「えぇ。普段着ているメイド服より好みです。特にこの部分が素晴らしい…」

 そう言って短い前垂れの辺りをさする。


 「ゴクリ………」

 大きな生唾を飲み込むアーサー。

 私もそれを見て思わず唾を飲み込んでしまった。

 ロザリー? そこから先はダメよ。教皇の息子さん相手にそれはダメよ。


 「見てみますか?」

 「い、いいのか⁉️」

 いいのか⁉️ じゃないわよ。ロザリーも既で止めなさいよ。

 「えぇ。いいですよ。勿論履いておりません」

 「おぉ! 是非! 是非とも見せてくれないか。どんな感じになっているのか気になっていたんだ」

 「ふふ。アーサー様はイヤらしいですね」

 そう言って前垂れを持ち上げ、「ほ〜ら」と言いながら見せつける。


 「おおすごい! 前より大きくなったんじゃないか?」

 「えぇ。苦労しました」

 「それにツルツルだ!」

 「頑張りました」

 バッカじゃないの? 何でこんなところでそんな事するの?


 しかも誰も止めようとしないどころか、どこから取り出したのか、スケッチブックを持ち出したメイドさん達の写生大会になってしまった。


 「ありがとうございます!」「これで次の新刊は決まりね」「良かった〜。今回は落とさなくて済むわ」「エタらなくて良かった。女神様ありがとう!」「ホント。女神様さまさまだわ」「ロザリーじゃなくてクリス様なら捗ったのに」「それな」


 なぜかメイドさんに混じって女性の神官さんもスケッチブックを取り出して、必死に描き込んでいた。

 呆気にとられた男性の神官さんと目があって、そのまま同時に会釈してしまった。

 本当に気まずいから止めてほしいんだけど、止める人がいないと、この暴走状態って止まらないのね。


 アンジェさんとか居ないのかしら?

 辺りをキョロキョロ見渡すと、なんということでしょう。娘二人と一緒に見ているじゃない。

 お母様は? お母様はどこかしら。流石にこんな馬鹿な事止めてもらわないとって思ったら、お母様は描いているメイドさん達のスケッチブックを覗き込んでいろいろと話し込んでいた。

 もうこれ、描き終わるか、飽きるまで続きそうね。


 いつの間にか外へ追いやられていたから、中がどんな事になっているかうかがい知る事ができない。

 そんな時、周りのメイドさん達から「「「おおっ!」」」と歓声が上がる。

 一体中で何が行われているんだろう。

 どうしよう。私も気になってきちゃったわ。

 歓声と拍手。時折聞こえる指笛。マジで何してんの?


 後で責任とか取らされたりしないかしら?

 勝手に女神に祭り上げられていたんだもの。勝手に責任者にされる可能性も否定できないのよね。

 こんな事になるならお父様についていけば良かったわ。

 馬車の方を見ると、お父様達が馬車に乗り込んで出発するところだった。

 どうやら少し遅かったようだ。


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