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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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26 外堀が埋められていく


         *      


 お父様に面倒そうなものを押し付けて逃げてきちゃったけど、まさかお母様も一緒に付いてくるとは思わなかったわ。

 「私あの人苦手なのよね」

 まさかそんな単純な理由で⁉️

 そしてアーサーとかいう教皇の息子さんも神官達を引き連れてこっちに来てしまった。

 別に何かするというわけでもないし、あのままあそこで何か打ち合わせとかすると思ってたんだけど、違うのかな?


 しかし、ずっと真横でニコニコしてる。布教してきそうな笑顔だ。

 「アーサー様、どうかしましたか?」

 「いえいえ。女神様のお近くにいられるだけで私は幸せです」

 「女神じゃないんですけど…」

 スンッ………………

 途端に真顔になるの怖いから止めてほしい…。


 「ちょっと皆さんにお伺いしたいのですが、どうして皆さんはそのような格好をしているんですか?」

 「それは勿論。我々がクリス様を崇拝しているからですっ!」

 おい! とんでもないこと言いだしたぞ。


 「我々の日常の中にいつもクリス様はおられるのです。まさに幸運の女神様です」

 それは、自分たちで描いた私のキャラクターグッズのことでしょ?

 それに幸運って、ただ売り上げがいいってことじゃない。


 「我々はいつもクリス様にお会いできた時は感謝を捧げています」

 ただのセクハラ行為の事だよね?


 「もうクリス様なしじゃ生きていけないんです」「クリス様のいない生活には耐えられません」「クリス様の笑顔で毎日が幸せです」「ネタを毎日ありがとう」「毎日が充実しています」「クリス様が私の推しです」

 みんな思い思いに自分の思いを語るけど、なんか嬉しくない理由ばっかりだ。


 「あらあら、みんなクリスの事が好きなのね」

 「やはり女神様は愛されているのですね」

 何か退路を断たれた気分だ。

 お母様の場合は素直にそう思ってるのか、面白がってるのか表情からは分からない。


 「ところで、ずっと思っていたのですが、その……、普通の修道服とは違うようですが…」

 「はい。こちらは、女神クリス様が考案されまして、敬虔なる信者である私達はクリス様がお喜びになるこのシスター服を着ているのです」

 「ちがっ…、それは勝手に」

 「女神自ら着ていることが、その証左です。我々はそれに従っているだけなのです」

 「なんと、そうでしたか…」

 私が口を挟むこともできずに、どんどんと嘘が膨れ上がっていく。


 確かに、こういうコスプレ感強い服って好きよ。大好きよ。

 でもね、これを企画・制作したのは、私じゃないのよ。

 当の本人達は満足げに讃え合ってるけど、後で覚えてなさいよ。

 しかし、私抜きで勝手に盛り上がる様子を見ると、頭空っぽなトップが祭り上げられる気分ってこういう感じなのかしら。

 外堀を埋められて、本丸まで侵入されるのも時間の問題ね。

 最終的には降伏させられちゃうんだろうなぁ…。


 「そういえば、お一人だけ神父の格好でしたが、男の子も同じ格好なんですね…」

 「それは………」

 「勿論男女兼用です。クリス様をお慕いするのに男も女も関係ありません。皆同じ格好でクリス様を慕うだけです」

 「すばらしいっ…………」

 涙を流しながら、手が痛くなりそうなタイプの拍手をするアーサー。

 他の神官の人たちは白い目で見ている。あれが普通よ。

 いや、女性の方は涙を流しながら口元を手で押さえている。

 ねぇ、聞きたいんだけど、感動するポイントって一個でもあったかしら?

 私全然分からなかったから教えてほしいんだけど。


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