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女装趣味の私が王子様の婚約者なんて無理です  作者: 玉名 くじら
第4章

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21 この人たちに任せて大丈夫なんだろうか


 そう思った瞬間に部屋の三箇所から人が飛び出してきた。

 「大丈夫です。そうならないよう私たちがフォローします」

 そう言ったのは、床下から現れたエペティスさん。

 「話は聞きました。その日までに衣装を作っておきます」

 そう言ったのは、天井から降り立ったアマベルさん。衣装とは…?

 「私に任せておけばすべてうまくいきますよ」

 本棚の下の扉から現れたのはロザリー。ロザリーに任せてうまくいった事あったかしら?


 一体いつから聞いていたのだろうか。

 私の横に三人並ぶと、エペティスさんが一歩前に出る。

 「我々オパールレイン家メイド隊服飾担当が、当日までにその場に相応しい衣装を作ってきます。どうかここは我々にお任せいただけませんでしょうか」

 メイド隊とは一体…。初耳だわ。


 「うーん…まぁ、そうだね。お願いしちゃってもいいかな?」

 「「お任せください」」

 「大船に乗った気でいてくださいよ」

 泥舟にならなきゃいいけどね。

 というか、ロザリーは衣装担当なのか。そんな下半身丸出しみたいな格好してるのに? 変な事にならないといいんだけどなぁ。


 「信じてませんね」

 「ロザリーがいなければ信じたわ」

 「私の普段の格好を見て尚、信じられませんか…」

 「その普段を見てるから信用できないわ」

 アマベルさんがロザリーの肩をポンポンと叩く。


 エペティスさんが、机の上の薄い本やらフィギュアを見て頷く。

 「これは私達が撒いた種かもしれません。ここはちゃんと発芽させないといけませんね」

 いやいや、刈れよ。刈り取れよ。

 きっとその欲望の結果が招いたワケでしょ?

 なーに澄ました顔で解決してみせますだよ。全然信じられないんだけど。


 「まぁまぁクリス。今はうまくやり過ごす事が先決だから、ここは任せてみてはどうかな?」

 「はぁ…。どうやるのか知らないけど、うまくいきそう?」

 「えぇ。うまくいきますよ。それにクリス様も気にいると思いますよ」

 すごい自信だわ。多分とか恐らくとか使わないあたり、何か秘策があるのね。


 「じゃあお願いするわ」

 「えぇ。任せてください」

 「あぁ、これは大忙しになるわね。他の担当にも手伝ってもらわないといけないわね」

 「ふむ。では、今日はカレーはお預けですね」

 三人はニコニコしながら、ぶつぶつ言いながら扉から()()()()出て行った。


 しかし、この家に隠し通路みたいのがあるなんて知らなかった。

 これはあとで調査する必要があるわね。非常に気になるし、是非とも使ってみたい。

 しかし、今までの会話を全部聞いていたんだろうか。

 もしかして私の部屋にもいたりするのかな? ちょっと寒気がしてブルッときた。


 「じゃあクリス。邪魔が入らなくなったから、本題に入ろうか」

 「本題? 今までのは何だったんです?」

 「いや、さっきまでのも問題ではあったんだけど、これを見て欲しい」

 そう言って机の引き出しから一冊の薄い本を取り出した。

 受け取り中を検めると、何とも言えない内容だった。


 「あの…これって……」

 「ここ最近巷で配布されているもののようでね。まぁ内容を見れば分かるけど、どう考えても他所の人間が描いたものだよね」

 お父様の言う通り、これに関してはうちのメイドさん。或いは街の人が描いた内容ではない。

 絵柄は確かに似せてあるし、ところどころエッチな表現もあるんだけど、明らかに偏ってるんだよね。思想が。


 「これは明らかに宗教の教えみたいな内容ですね。同人誌の皮を被った経典や聖書みたいな感じです」

 「そうなんだよ。調べたんだけどね、これを街で配っていたそうで、殆どの人が持っているらしい」

 だからこの前街に行った時におかしい人たちが多かったのか。


 「その描いた本人も視察に来るらしいから、彼らの意図を探って欲しいんだ」

 「いやいやいや…。お父様、流石にこれは私には手に負えませんよ」

 「最初はただ話を聞くつもりだったんだけど、メイド達がクリスなら解決出来るみたいな事言ってたから、任せちゃおっかなーって、パパは思いました。まる」

 面倒くさいから押し付けたのね。何かあっても助けないですからね。

 はぁ…。どんどん厄介な事が増えるなぁ…。


 「そうそう。もう隠れているメイドはいないから、今のうちにクリスに聞いておきたい事があるんだけど、いいかい?」

 「今度はどんなめんどくさい事押し付ける気ですか?」

 「なっ! そ、そんな言い方しなくても良くない? 私だって好きでクリスに押し付けてるワケじゃないんだよ。やる事だって結構あるし……」

 「はいはい。分かりましたよ。で、何ですか?」

 「(反抗期なクリスもいいね)……って、あぁ、そうそう。このフィギュアを幾つか購入した時に気になったのがあって、これなんだけど」


 床に置いた箱から、一番慎重に抱えて置いたのは魔改造されたフィギュアだった。

 それもある一点が異様に長くて大きい。

 「お父様はこういうのが趣味なんですね。私もです」

 「いやぁ、そうなんだよ……………えっ?」

 目が点になっている。たまにはこういう返しもいいわよね。

 実際まぁ、嫌いではないわ。寧ろ好きな方よ。でもね、大きすぎるのが難点よね。そこを常識的なサイズにすれば私の好みなんだけどね。

 ………って何考えてるのかしらね私は。

 最近暑いから頭がおかしくなったのかしらね。

 そうよ。ぜーんぶこの暑さが悪いのよ。


 「で、これのどこが気になるんです?」

 「あ、あぁ…。えっと、このスカートからはみ出しているところなんだけど、どうして先のない靴下みたいのを履いてるんだい? これだと、先っぽがはみ出したままで、何かに当たったら痛いと思うし、萎えたら脱げちゃわないのかなって思ったんだが…」

 「どうしてそれを私に聞くんです?」

 「この前、メイド達が話しているのを聞いてね。年の割に大きいって話をね。クリスは一応男の子だから、胸じゃないとすると、あそこしかないかなって、それで、もしかしたら詳しいんじゃないかと思って聞いてみたんだけど」

 「そういうのは、作った人に聞いてください」

 最後の最後でとんでもないセクハラな質問されたわ。それも親に。


 でも、確かに不思議よね。普通あんなに持続しないし、あの部分を保護するくらいなら全部被せちゃえばいいのにね。

 それに伸縮性のある生地とも思えないから、絶対脱げるわよね。

 お父様が変な事言うから私も気になってしまったわ。

 「そうそう。こっちは男の子と女の子の二つが……」

 そんなお父様が別の魔改造フィギュアを出したところで、部屋を抜け出したのだった。


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